ブックタイトル未来へつなぐバトン 千代田区戦争体験記録集

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未来へつなぐバトン 千代田区戦争体験記録集

な」と強く印象を受けました。石川千代田区では、平成7年度から平和教育の一環として区内の中学生・高校生に広島、長崎、沖縄を訪れてもらっています。横山はい、僕も昨年度に行きました。安田私も九段(中等教育学校)へ通っているときに参加しています。石川その時にも、参加する生徒さんには事前に勉強会などを開いて、広島・長崎の原爆、沖縄戦について調べてもらいます。ただ帰ってきてから話を聞くと、ほとんど全員が「教科書や映画で知ったことと、ぜんぜん違う」と言います。それは現地で、実際に経験した方のお話を聞いてくるからなんですね。横山戦争というと悲ひ惨さんな話ばかりだから、体験者の方も思い出したくないだろう。だから記憶にも残っていないのではと想像していました。でも実際にお会いしてみると、皆さんすごく細かいところまでリアルに覚えていて、びっくりしました。石川それだけ、強きょうれつ烈な体験だったということでしょう。三輪田悲しい記憶ばかりではなく、戦前戦中にあった、楽しい思い出などを語ってくれる人もいたことが、僕は印象に残っています。長嶋空襲の最中に、家財道具が火にあおられて離れて行ってしまう様子を「リヤカーが散歩にいってしまう」と表現された人がいました。そんな大変な状況を、ユーモアを交えて話してしまうことも、なんだかたくましいなあと思いました。安田私は、千代田区に生まれ育った人同士でお話ができたことが、非常に良かったと感じています。この町内に住んでいたけれども空襲に遭あって、どこまで逃げたといった体験を聞くと、「この道を通ったのだろうな」と順路や距離感までぱっと思い浮かぶからです。長嶋「麹町から坂の上を見上げたら、水道橋駅のホームがまるみえだった」と聞くと、あの一帯がすべて焦しょう土どと化したのか…と。石川戦争があった、その現場に立つというのは、非常に大切なことですね。三輪田僕たちの班がインタビューをした福地貞子さんは、麹町にB29が墜ついらく落した時のお話をしてくれました。取材後、その交差点まで案内してもらって、B29の機体がどこからどこまであったかを聞いて。とても大きな飛行機だったことが実感できました。安田本当に大変だったお話やその時の気持ちなどを聞くと「実際に体験したことのない人に、本当のところを伝えるのは難しいと思う」という言葉も、いろいろな方から聞きましたね。長嶋特に従じゅう軍ぐんした永井さんの、「戦争は、行ったことがない人間には分からないよ」という言葉は、ずしんと心に響ひびきました。石川永井さんはきっと、目の前で仲間が195未来へつなぐバトン千代田区戦争体験記録集第4部千代田区の誓い