条例名
『 安全で快適な千代田区の生活環境の整備に関する条例』
(平成14年千代田区条例第53号)
【議決】平成14年 6月24日 【公布】平成14年 6月25日
【施行】平成14年10月 1日(罰則の適用は、同11月1日より)
1.条例制定の背景 〜地域の「声」が生んだ新条例
(1) 住民の深刻な悩み
千代田区は、夜間人口(いわゆる住民)が約4万人ですが、昼間人口は買い物客などの出入りを含めると90万人とも100万人ともいわれるほど昼夜の人口の差が大きいまちです。これだけ多くの人々が区内に集中するということは、地域の生活環境も悪化しやすい状況にあるといえます。こうしたことから、「ポイ捨て」や「歩きタバコ」、「置き看板」などの路上障害物といった、まちの環境を悪化させているものへの苦情や改善を求める強い要望が、以前から区役所に数多く寄せられていました。また、定期的に行っている、地域住民と区長との対話集会でも生活環境改善への要望は、常に上位を占めていました。
(2) 従来の取組み
区では平成11年4月に、いわゆる“ポイ捨て禁止条例”をスタートさせ、きれいなまちを目指してきました。(☆ゴミのポイ捨てや公共の場での喫煙を努力義務として禁止した。)例えば、街角に数多くの灰皿を設置したり、駅前などでの携帯灰皿の配布(10万個以上)、徹底した清掃や各種PR活動など、区と住民がいっしょになり、懸命に取り組んできました。
区は、罰則を伴わない条例のもとで人々の「モラル」に訴えかけてきたわけですが、残念ながら、ほとんど目立った効果はありませんでした。
(3) 今の社会に見た限界
一方、「歩きタバコ」については、他人の迷惑である以上に、衣服の焼け焦げ、火傷などの危険性があります。特に小さな子どもや車椅子の方にとっては、大変危険です。しかし、タバコを吸う側がその迷惑や危険を認識してないことが少なくありません。
このように、「マナー」や「モラル」に期待しながらまちの環境を良くしていくことは非常に難しく、人々の道徳心のみに頼ることは、もはや限界であると考えました。
このため、議論を重ねた末に、やむを得ず一定の「ルール」(罰則付きの条例)を設けて、住民の悲痛な叫びに応えていくこととしました。
2.条例ができるまでの流れ
条例案の作成に着手したのは、平成13年6月でした。区役所内に検討組識(主に課長級)を設置して内容を固める一方、所轄警察や東京検察庁との協議を重ねていきました。
その後、平成14年2月には条例の骨子案を発表し、区議会で審議されました。
区のホームページにも骨子案を掲載し、非常に多くの方から意見が寄せられました。
また、各地域団体、商店会などと意見交換を行い、様々な角度から検討を加えていきました。
そして、平成14年6月24日、第2回区議会定例会で条例が可決、成立しました。
3.条例のねらいと特色
(1) 地域全体での取り組み 〜自治の原点に立ち返った住民参加型の条例
この条例は、行政のみが行動するのではなく、区民・事業者など地域のあらゆる人々が一体となり、ともに汗をかきながら、安全で快適なまちを実現することを目指しています。すなわち、地域ぐるみで考え、行動する、「自分たちのまちは、自分たちできれいにする」という『自治の原点』に立ち返り、まちをあげて取り組んでいます。
→ 元来、地域自体に“行動”を呼び起こす強い“動機”があった。
(1)推進団体の設置(当初8団体、現在は10団体)
町会や商店会、地元企業や大学などの教育機関(大学11、専門学校31など)、学校PTAなど、地域を構成するあらゆる人々が集結し「環境美化・浄化推進団体(推進団体)」を条例の施行時に新たに立ち上げ、自主的にまちの生活環境の改善に取り組んでいます。
(2)地区協定の作成
推進団体が自らが「地区協定」を定め、地域の特性に合わせた重点的な取組み事項などを盛り込んだ独自のルール(ローカルルール)をつくり、これに基づき活動しています。
(3)合同パトロールの実施
条例がスタートしてから、ずっと継続して各地区が月2回程度、推進団体や所轄警察署、各道路管理者などの関係機関と区が合同で地域のパトロールを行い、路上障害物や放置自転車への注意・警告、清掃活動、PRなどに定期的に取り組んでいます。
(2) 重点地区の指定 〜指定地区での着実な成果をもとに指定を順次拡大
(1)路上禁煙地区(現在、皇居を除く区の面積の約70%が指定地区)歩行者の往来の激しい駅周辺や通学路がある地域など、路上での喫煙行為により、他の歩行者に対する迷惑・危険のおそれがある区域
*路上禁煙地区でなくとも、区内全域で「公共の場での歩きタバコをしないように努めなければならない。」という義務があります。(条例第9条第2項)
(2)環境美化・浄化推進モデル地区
歩行障害となる路上放置物(自転車・看板等)や空缶・吸い殻等の散乱が著しい区域
(3)違法駐車等防止重点地区
違法駐車が多く、それが歩行者への危険や交通管理上問題が生じる恐れの多い区域(路線)
(3) 罰則の適用 〜人々の行動を変える強いきっかけ、あくまでモラル向上の「手段」
条例では、「路上禁煙地区」での喫煙や吸い殻のポイ捨てをした場合、「環境美化・浄化推進モデル地区」での置き看板などの路上障害物により明らかな通行の障害や危険がある場合、空き缶などのごみを捨て、著しく生活環境を害している場合などには、2万円以下の過料(当面は2千円)を罰則として適用しています。このため、休日や夜間を含む毎日巡回パトロールを行っています。
☆「罰金=刑事罰」では実効性の確保が困難と考え、行政罰である「過料」を導入しました。
また、「環境美化・浄化推進モデル地区」内で、改善命令を受けても従わないなど悪質な場合には、区長が氏名公表または告発し、5万円以下の罰金に処することとしています。
◎罰則は、あくまで人々のマナー・モラルの向上を呼び起こす「手段」であり、それにより、安全で快適なまちを築いていくことが本来の「目的」です。
4 これまでの普及啓発活動等(主なもの)
(1) イベント・キャンペーン
(1)条例スタートのプレイベント平成14年9月29日に秋葉原駅周辺で実施し、条例にちなんだ標語・ポスター入選者表彰、タバコの着きぐるみを着た「タバコ隊」のパレードなどにより、条例を広くPRしました。
