ブックタイトル未来へつなぐバトン 千代田区戦争体験記録集

ページ
113/214

このページは 未来へつなぐバトン 千代田区戦争体験記録集 の電子ブックに掲載されている113ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

未来へつなぐバトン 千代田区戦争体験記録集

いろいろ付けるものです。話し合い、理解し合うことが大切ではないでしょうか。今から20年ほど前ですが、私が区役所に関係するようになって、ある人から「親や祖母が空襲から逃げた時、九段の写真屋さんでおにぎりをもらってとてもありがたかったと言っていたけれど、そういう話を聞いたことありますか」と尋ねられました。ああ、うちの祖母のことだと。あんなにうれしかったことはありませんでした。戦争体験は一人ひとり違うでしょう。それを次の世代にバトンタッチしていかなければと思います。一つひとつの体験に耳を傾け、聞いたことを思い出してほしい。そして歴史を検けん証しょうしつつ、自分に問いかけることを忘れないでほしいと思います。ちのものでしたが、土地は借りていたんです。少しでも早く家を建てれば、借りていた土地の権利が保持できると聞いて、バラックを建てて家族5人で住み始めました。──戦争がなかったら、ご自身の人生は違っていたと思われますか。叔父のように自分の命を取られた人は、その時点で人生を閉ざされてしまいます。自分の子孫も残せませんでした。小学生だった私は、戦争で人生が変わったということはないでしょうけれど、6年生の時に受じゅせん洗(カトリックに入信して洗礼を受けること)したのは、やはり地獄に落ちたくなかったからです。その頃のカトリックって、悪いことをしたら地獄に落ちると教えられていました。それ以来、権力とか体制の不合理とかに、自分なりのアンテナで抵ていこう抗し続ける人生になりました。やはりそれは、戦時下の経験や、叔父の死があったからだと思うんです。──今、竹田さんの人生で大切にしていることを教えてください。とにかく平和でなければいけません。私だってケンカはしますよ。きょうだいでも周りとでも。でも殺し合いになるようなことをしてはいけない。その信念を持って、体力が許す限り抵抗していきたいです。それが叔父や、あの戦争で亡くなった人たちへの償つぐないだと思うんです。戦争は、いったん始めたらノンストップ。始まってしまう前には、自分の国に都合のいい理屈を写真左から、西山さん、大須賀さん、竹田さん、谷垣さん109未来へつなぐバトン千代田区戦争体験記録集第2部体験記暮らし