ブックタイトル未来へつなぐバトン 千代田区戦争体験記録集

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概要

未来へつなぐバトン 千代田区戦争体験記録集

国のために命など惜しくはない」と教え込まれていた時代とは、考え方がまったく違います。そんな日本が、いまさらよその国民と戦えるとは思えません。それでいいのだ、このままの平和な国を守ってほしいと心から願っています。様子が空くうさつ撮されている。アメリカ兵が上陸すると、日本人はみな洞どうくつ窟に逃げ込んで抵抗したんですね。そこを今度は火炎放射器で──あの映像は、本当に恐ろしかったですよ──まず油ゆし脂がばーっと撒まかれて、そこに火がつけられる。中では全員が焼け死んだでしょう。投とうこう降を呼びかける映像もあって、ボロボロの白シャツを棒に巻き付けた兵隊がおっかなびっくり洞窟から出て来る。その後からぞろぞろ続いた日本人の姿が、悲しいくらいみすぼらしくてね。──同じ日本人として、見ているのがつらかったでしょう。私がいちばん目を覆おおいたくなったのは、ひめゆり隊の記録でした。自分とたいして年の違わない沖縄の娘さんたちが、もんぺ姿で崖がけから次々と飛び降りて亡くなっていくんですから。あんな映像は、日本ではまったく知られていなかった。アメリカのニュースだから観られたんです。──戦前から戦後にかけての、こうした貴重な経験を通じて、広瀬さんが若い世代に伝えたいことがあれば、最後にお聞かせいただけますか。いろいろな論ろんぎ議はあると思いますが、戦争はもう絶対にしてはいけない。国と国との争いも、できるだけ話し合いで、お互いの妥だ協きょう点てんを見つけていくことが大切でしょう。今の若い人たちは、「命は何よりも大事なもの」と教えられて育っています。私たちが「お写真左から、松野さん、伊達さん、広瀬さん、三輪田さん122未来へつなぐバトン千代田区戦争体験記録集