ブックタイトル未来へつなぐバトン 千代田区戦争体験記録集

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概要

未来へつなぐバトン 千代田区戦争体験記録集

鹿屋に行って半年くらいたってから、予備学生が入ってきました。予備学生とは、大学在学中で志願してくる者です。私たち予科練は1年間教育されて実戦部隊に配属になると、陸軍でいう伍ご長ちょう、海軍でいう2等兵になりますが、彼らは1年で少尉に任官します。それくらい待遇がよいものでした。そのかわり、私が今こうして生きていられるのは、予備学生が入ってきたおかげです。そうでなければ、とっくに特攻で飛ばされていたでしょう。予備学生は実戦部隊に配属になったら、半年後はほとんどが特攻機に乗せられました。班長から、私たち予科練卒は莫ばくだい大な金をかけて教育したのだから簡単には死なせない、というようなことを言われたことがあります。私は、予備学生が入ってきたために助かったのです。──訓練日数が短い予備学生は飛行機を操縦できるのでしょうか。予備学生がどのような訓練をしていたかは分かりません。ただ、飛行機の操縦だけは覚えていますが、完全にはマスターしていないです。なぜなら、予備学生は目標に突っ込むことしか教育されていませんから。空中戦もやらなければならない私たちとは違いました。特攻隊員が特攻機に乗って涙を流している映画がありましたが、私が知る限りでは誰1人としてそんなことはありません。あの当時、特攻機に乗る人間は神様以上です。特攻隊員は「行ってくるよ」、送り出す連中も「必ず成功しろよ」明治海軍航空基地に配属された小野寺さん(後列右)と同僚127未来へつなぐバトン千代田区戦争体験記録集第2部体験記軍隊