ブックタイトル未来へつなぐバトン 千代田区戦争体験記録集

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概要

未来へつなぐバトン 千代田区戦争体験記録集

施設で折ってもらうんです。その意味は、折った子供の心にも刻まれます。そして、その子たちも中学生くらいになると今度は現地に行こうかという話になる。毎年10人ずつのバックグラウンドには、相当の数の子供たちがいます。そうやって長い時間をかけて、戦争のこと、未来のことを考えていってもらいたい。私も渡辺さんも、これからそう長く生き続けるわけではありませんからね。未来はもう始まっているという思いなんです。渡辺私もいつまでできるか分からないですが、できる限り種を蒔まき続けていきます。石川種から花を咲かせるには、空気や水や肥料も必要です。渡辺さんが続けておられることは、種だけでなく、清せいれつ冽な空気や水、肥料を注ぎ込む活動でもありますね。渡辺ぜひ千代田区の方でも、水と肥料をお願いしますね。石川そうありたいと思います。今日はありがとうございました。あそこは無名戦士の墓です。いつも思いますのは、若くして亡くなり、しかも名前も分からないままの方たちのことです。こんな悲劇はありません。今も100万を超える遺骨は還かえってきていません。こうした悲劇を繰り返さないよう、平和な未来を作っていくのは若い方たち。だから彼らに式典をリードしてもらうことには意味があると思っています。若い人たちには戦争を生き抜いた人の話をできるだけ聞いて、語り継いでもらいたいですね。憲法を含め、戦後の平和を守ってきたのは戦争経験者です。この70年間の価値をぜひ次の世代に継承してもらいたいんです。渡辺本当にそうですね。70年間、人を殺すことも殺されることもなく。石川それも、話すだけでは消えてしまいます。ものとして残さなければいけない。この戦争体験記録集を作ったのも、そのためなんですよ。今回は中学生や高校生、大学生らがインタビュアーを務めました。戦争を経験した方々の思いを若い人たちにじかに受け止めてもらいたかったんです。渡辺私も朗読劇をやっていると、聞いたり一緒に読んだりしてくれた子供たちが、次は僕たちが語り継いでいきますと言ってくれます。嬉しいことです。こうして何かの種を蒔まいているんだな、と感じます。石川毎年、平和使節団で行く中高生は千羽鶴を持って行きます。区内あちこちの子供のは仕方がないけれど、戦争は自分たちがノーと言えば防げると気づき、それから参加する人が増えたんだといいます。普通の生活が人間にとってなにより大切なんだと感じて活動する人に触れ、すごく嬉うれしかったですね。石川毎年7月には千鳥ヶ淵で戦せんぼつ没者しゃ追ついとうしき悼式をしているんですが、司会などは平へい和わ使し節せつ団だんに参加した高校生にやってもらっています。208未来へつなぐバトン千代田区戦争体験記録集