ブックタイトル未来へつなぐバトン 千代田区戦争体験記録集

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概要

未来へつなぐバトン 千代田区戦争体験記録集

ることになったので、私がまず麹町に呼び戻されたのです。──すぐに家が建てられたのはすごいですね。復興住宅といって、2間だけの平屋の家が配給されたのです。そこに両親と私と弟の4人でしばらく暮らしていました。1間は畳敷きですが、もう1間は土間。父はその土間で、理容店を再開しました。そうして家を持てた私たちは幸運なほうで、中国などから引き揚げて来た方たちは麹町小学校などに、しばらく暮らしていましたよ。授業が再開された教室のかたわらで、おしめなどの洗濯物が校庭に干してあったのを覚えています。──僕は麹町小学校の出身なのですが、戦後はそんな時期があったのですね。想像もつかないでしょう?それが戦争なんです。皆さんは、今日の私の話を聞いてどう思ったか、聞かせてくれますか?──教科書などで読んだときは、「遠い昔に大変なことがあったんだな」くらいにしか思っていませんでした。でも実際に体験した福地さんのお話を聞いて、当時の人たちの大変な暮らしが分かりました。初めて聞いた方は、刺激が強かったかもしれませんね。でもあなた方のような若い人が当時のことを知って、いろいろなことを考えてくれたら嬉うれしいですね。人間のすることですから、今後も間違ったことが起きるかもしれません。そのときにぜひ、今日私がお話ししたことを思い出して、一生懸命に自分におできになることを頑張って、平和な世の中を守っていただきたいと思います。──当たり前に送ってきた生活が、戦時中や戦後の人には難しかったことが分かりました。自分たちは幸せなんだと思って、一つひとつのことに感謝をして生きていきたいと思いました。分かってくださって、とてもありがたいです。大変なこともあったけれど、良い家族にも恵まれて、私は今とても幸せです。あなた方も、このままよく勉強なさって、今よりもっと幸せになるように心からお祈りしています。写真左から、三輪田さん、福地さん、吉岡さん53未来へつなぐバトン千代田区戦争体験記録集第2部体験記空襲