ブックタイトル未来へつなぐバトン 千代田区戦争体験記録集

ページ
70/214

このページは 未来へつなぐバトン 千代田区戦争体験記録集 の電子ブックに掲載されている70ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

未来へつなぐバトン 千代田区戦争体験記録集

スール(先生)も大勢いらっしゃいましたから。子供同士、「あの方たちも戦争が終わって良かったわ、お互い家に帰れるんだもの」と思ったはずですよ。焼け焦げた母校で再開した授業──戦後のお話を、お聞かせください。終戦を迎え、私と妹は強羅から戻って、5歳上の姉と両親とで富士見町の家に戻ってきました。──身内の方で、戦争中に亡くなった方はいたのでしょうか。3番目の姉の義兄が召集され、ミンダナオ島で戦死しました。1番上の姉の義兄もだいぶ年長でしたけれど赤紙が来て、出征しました。そういえば今思い出したけれど、義兄が戻ってきたときに私たちも中野の姉の家にいたのですよ。軍服姿で戻ってきた姿を見て、私たちも喜んで「お義にい兄さま!」と駆けよろうとしたら、「そばへ寄るな!」ってすごく怖い顔で言われて。「お義兄さま、何を怒っているの」といったら、シラミがいるからお湯を沸かせと。庭でお湯を沸かして、軍服を消毒したんです。その時の義兄は、汚れた服で、がりがりに痩やせて。なんだか別人のようで、恐ろしかったのを思い出しました。姉はとても喜びましたね。というのも、義兄が出征したあとに赤ん坊が生まれていたので戦後、学園に戻った教室で。机はベニヤ板66未来へつなぐバトン千代田区戦争体験記録集