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更新日:2008年2月15日

平成20年第1回千代田区議会定例会 招集挨拶

平成20年第1回区議会定例会の開会に当たり、私の区政運営における所信を申し上げます。

I.区政の基本理念「共生」(はじめに)

かねてより私は、千代田区のあるべき姿、また全ての施策を貫く基本的な考え方として「共」に「生」きる「共生」の理念ということを申し上げてまいりました。今回、改めてその考え方を述べさせていただきます。
「共生」の理念とは、人間社会において民族、文化、宗教、国家、社会システムなどの様々な違いを乗り越えて理解し、認め合い、尊重しあうことであります。そして、その背景には、千代田区の地域特性があります。

区内には、定住人口4万6千人をはじめ、昼間人口約100万人とも言われる人々が生活しています。定住人口の約20倍もの人々が同じ地域で活動する自治体は、世界の首都や大都市をみても例がありません。
これら、4万6千人の区民、昼間区民、そして企業が千代田区を形成し、日本の経済社会の発展を牽引しているのであります。
昼間区民としての事業所や商業機能、大学などの存在が千代田区にもたらす「メリット」は、数多くあります。
まず、都市を代表する、非常に高密度に発達した交通アクセス、即ち交通の利便性の高さがあります。
また、文化、芸術、学術などの学びの場が多数存在することも挙げられます。美術館7館、博物館24館、ホール等35館、大学20校、専修学校・各種学校38校などの文化教育資源が区内の随所に立地しています。
さらに、企業の本社機能が集中するなどによる活発な経済活動が、在住区民の商業をはじめとする事業活動を支えている面もあります。
皇居や北の丸公園などの広大な緑地が存在することも見逃せません。区民一人当たりの公園面積に換算すると41.03平方メートルとなります。

一方、都市化の進展による課題が生じていることも事実です。
まず、コミュニティ崩壊の危機であります。地域で生活する身近な人々で構成している町会活動などの弱体化をはじめ、人々が支え合うという意識の低下が懸念されます。
また、生鮮三品をはじめとした生活関連店舗も減少しております。
そして、身近な地域の生活環境の悪化であります。特に、タバコやペットボトルなどのゴミの投げ捨て、障害物となるポスターやサラ金などの看板の氾濫、放置自転車の増加などにより、まちが汚れてしまうことです。開発に伴う、居住者との相隣関係の悪化や、冷暖房の使用などによるヒートアイランド現象、さらには地球温暖化が快適な生活環境の大きなマイナス要因となることも深刻に受け止めなければなりません。

より良い千代田区のまちづくりを進めるには、昼間区民や企業、学生など、千代田区に「住み」「働き」「学ぶ」、全ての方々により「お互いを理解し」「助け合い」「協力し合う」関係が継続的に創られ維持されることが不可欠です。それが区民の皆さんの生活向上に繋がり、延いては千代田区の魅力を更に高めることになります。共生社会の姿であるとも言えましょう。

II.共生社会を実現するためのこれまでの取り組み

これまで区は、こうした共生社会を実現するため、様々な取り組みを進めてまいりました。
以下、順に述べてまいりたいと思います。

身近な地域の生活環境改善

まず一点目として、歩きタバコなどを規制する「生活環境条例」であります。非喫煙者と喫煙者とが対立することなく「共」に理解しあい「生」きていく「共生」の考え方が生み出した条例といえます。
条例の中には、路上障害物となる違法広告物、捨て看板、放置自転車の撤去も含まれています。因みに、自転車駐輪場は、平成14年度603台でしたが、施設の設置拡大も進めた結果、現在は1千5百98台が収容可能となっています。

この条例により、地域の生活環境は大きく改善しましたが、その基本は、町会を中心として、地域の事業所や大学などが協働で様々な取り組みを実践していることであります。まさに千代田区の定住区民と昼間区民とによる共生社会実現のためのモデルとなる取り組みと言えましょう。
なお、この条例の波及効果として、地域の皆さんの自主的な発意による「安全・安心パトロール」の実施があります。
これは、夜間や日中を中心に身近な地域で子どもたちの安全・安心を確保するための通学路のパトロールを行っていただいているものです。
また、タバコの吸殻やゴミが減り、まちがきれいになることで犯罪防止や地域の連帯感の高まりなど、良好な地域づくりに寄与する考え方に発展してきたことも見逃せないと思います。

さらに特筆すべきは、この条例と同様の取り組みを都内をはじめ全国の大都市が開始したことです。現在では全国の約30の自治体が同様の条例を制定し、実施自治体の人口累計では、約2千6百万人にものぼります。
千代田区発の取り組みが、今や全国的な潮流となっているのです。

開発に伴う相隣関係の改善

次に二点目として、開発に伴う相隣関係の改善にも努めてまいりました。
都市の変化は、都市の活力であり、都市の魅力を形成しています。しかし同時に、開発は周辺の生活環境や地域コミュニティのあり方に大きな影響を与えます。
そのため千代田区では、開発に伴う影響を緩和するため、地域の多様な主体が、「共にまちをつくる」仕組みとして「地区計画制度」を活用してまいりました。
地域の方々が、話し合いを重ねてまちの将来像を共有し、建築物の「高さや用途」、「形態や色彩」等の開発ルールを地域の合意事項として定めることにより、良好な近隣関係を維持するとともに、節度ある開発行為を誘導してまいりました。

現在、皇居を除く千代田区面積の約五割に「地区計画」が定められています。
合意形成には時間を要しますが、「まちづくりは、立場の違いを互いに理解しあうこと」の実践として今後とも推進していきます。
また、具体的な建築行為から生じる、「騒音・振動」や建築物による「日影」、「プライバシー侵害」等の相隣問題についても、紛争を未然に防ぎ、また当事者間の自主的解決を図るため「建築計画の早期周知に関する条例」や「解体工事の事前周知制度」を、他の自治体に先駆けて制度化し、運営してきました。
建築計画にかかる情報公開を徹底し、近隣住民の不安を、相互理解を促しながら解決を図ってきたところです。
この共生の仕組みも、今日、他の自治体において同様な制度が運営されるまでになっています。

大学・企業・NPOなどとの協働

三点目は、区内大学や企業、NPOなどとの多様な協働関係の構築であります。

(1)大学との協働

まず、大学との関係です。

区内11大学と千代田区が連携協力に関する基本協定を締結し、教育や文化、生涯学習、防災、生活環境条例などにおいて相互に協力を行っています。具体的な内容としては、例えば、大学図書館の一般開放として、現在7大学9図書館で利用が可能となっています。
また、大規模災害時の協力体制としては、現在、6大学と「大規模災害時における基本協定」を締結し、学生ボランティアの養成・派遣や大学施設の提供などを行うこととしています。

これら以外にも、

  • 区民や事業者等が楽しみながら環境配慮行動に取り組む千代田エコシステム(CES)の仕組みづくりに参加する。
  • 大学で行う講座・講習会を区の生涯学習バウチャー制度の対象とする。
  • 小学校で行う「放課後子どもプラン」にボランティアスタッフとして協力する。
  • 児童家庭支援センターの運営に協力する、などの取り組みがあります。
  • さらに、「神田雪だるまフェア」への出展、「500円ワンコインドリーム事業」で協力店舗を紹介するフリーペーパー「クーラン」の発行、「ふれあい神田市場」や「ファミリーバザール」への参加・協力、ファミリーサポート事業における大学生の協力、「江戸天下祭」、「区民体育大会」、「町会の各種事業」への参加・協力など、枚挙に暇がありません。

(2)企業・NPOなどとの協働

次に、区内の企業やNPOなどとの関係です。
例えば、ちよだボランティアチケットの参加協力があります。企業のマンパワーを地域福祉に結びつけることを目的に、地域の企業と行政が協働するシステムを作っているものです。現在、10社の従業員が、33の福祉施設などにボランティアとして活動しております。

また、高齢者等困りごと支援事業「困りごと24」は、千代田区社会福祉協議会が、区内企業が有するコールセンターとの協働により、ひとり暮らし高齢者等が抱える日常生活上の困りごとについて、電話での相談を24時間365日受け付けているものです。1年間に150件前後の相談があり、協力員として登録している地域住民の協力を得て、解決の手助けをしています。
財団法人まちみらい千代田において実施している「まちづくりサポート事業」も特筆すべき取り組みであります。これは、各団体の自主的なまちづくりへの取り組みに対して助成を行い、千代田区の活性化を図る事業であります。
さらに、区においてもNPOやボランティア団体などの政策提案を受け、活動支援を行う事業を展開しております。NPO等の政策提案の例としては、江戸ソバリエ認定制度や障害者の就労支援を行うジョブコーチ事業があります。

このほか、企業やNPOとの協働の取り組み事例として、まちづくり分野では、千代田区をより安全で魅力的なまちにするために、「こども110番」の運営、「道路・公園アダプトシステム」などの事業を行っております。
また、環境分野では、「日本橋川・神田川の清流をよみがえらせる会」との協働により、電動式ボートによるエコツアー事業を行っています。

昼間区民のための象徴的な施策

四点目は、通勤・通学者など昼間区民のための施策の推進です。

(1)図書館・区民ホール

その端的な例が、新庁舎内の図書館の運営です。
平成19年5月のオープンから平成20年1月までの来館者が約73万人に達しています。図書館の面積から見た場合、床面積あたりの入館数は全国でも最大級になります。
来館者の約83%が在勤・在学者などで占められています。このことから、多くのビジネスパーソン(会社員)を支援しているといえます。

因みに、往々にして、図書館と本屋さんは対立関係になることがありますが、新図書館は「本の街」神保町と共存共栄「共」に「生」きていくことを目指して、古書のショールームや区内の観光・文化資源の案内などにより「共生」を図っています。
また、新庁舎1階の区民ホールは、近隣のビジネスマンが日中は憩いの場として、また、大学・高校生はミーティングや読書の場として活用しています。

(2)防災対策

次に、昼間区民にとっての防災対策も重要です。例えば、帰宅困難者対策訓練です。
大企業が集まっている千代田区での災害の被害は、日本経済に大きく影響します。マグニチュード7レベルで、千代田区で発生する帰宅困難者は、約57万人と言われています。企業と行政が連携し、帰宅困難者対策に着実に取り組んでいくことは、日本経済を災害による危機から救うことにも繋がります。

昨年11月には上智大学真田堀グラウンドを帰宅困難者支援場所として新たに指定し、現在区内には6箇所の帰宅困難者支援場所があります。ここでは帰宅困難者への避難誘導や主要ターミナル駅の状況や公共交通機関の運行状態などの情報提供、応急トイレの提供といった支援を行います。こうした活動を行政と連携して担うのが地域協力会です。
平成20年度には区内で4箇所目となる地域協力会を秋葉原駅周辺地区に設置するなど、帰宅困難者対策地域協力会の整備拡充に努めてまいります。(秋葉原駅周辺、東京駅・有楽町駅周辺、富士見・飯田橋駅周辺、四ツ谷駅周辺)
なお、日頃から地域の活動に参加し、自主防災組織との協力関係を結んでいる企業・事業所には、社員用等の備蓄物資購入費用を助成しています。

地方都市との共生

五点目は、地方都市との「共生」です。
平成19年度の「江戸天下祭」では、地方の山車や特産品の紹介・販売による参加と併せて、地方の9自治体の首長自らが参加しました。地方の観光振興のPRの場として最適だと認識されているためです。
こうした場を通じて、区民と地方の住民との交流が発展し、地方都市と千代田区との「共生」に繋がるものと期待しております。
また、千代田区は江戸・東京の中心地として、多くの歴史的文化財・文化資源をもっています。その文化は、全国各地に見られる小江戸や銀座を冠した地名が示すとおり、広く全国に波及し、千代田区内では既に失われた江戸時代の有形・無形の文化財が、地方で保存されていたということも珍しくありません。
昨年度には、「徳川御三家江戸屋敷発掘物語」と題して、御三家に縁のある新宿区・文京区と当区が共同で展示会を開催し、大変なご好評をいただきました。こうした試みを拡大し、江戸・近代東京の貴重な文化財を所蔵する各地の博物館・資料館と連携した展示会の開催や資料の相互利用を通じて、江戸・東京文化と地方文化との共生を図ってまいりたいと考えます。

III.ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)

さて、企業とそこに働く社員との「共生」に目を向けると、自治体が行う施策として「次世代育成支援」があります。私は以前、これからは働き方を変えなければ子どもを産み育てることが不可能な社会になると申し上げました。
企業とそこに勤める社員との「共生」ともいうべき、ワーク・ライフ・バランスを実現するためには、働き方そのものを変えていく必要があります。
当区では、次世代育成やワーク・ライフ・バランス推進の観点から、既に様々な施策を進めているところです。

(1)中小企業への助成制度等

第一に、「中小企業従業員仕事と育児支援助成」「育児・介護休業者職場復帰支援」「次世代育成支援行動計画策定奨励金」であります。
「中小企業従業員仕事と育児支援助成制度」は、男女が共に働きやすい環境づくり、仕事と家庭の両立支援を充実していくため、区内の中小企業事業主を対象に助成する制度です。
また、「中小企業育児・介護休業者職場復帰支援制度」は、育児・介護休業中の従業員が、円滑な職場復帰ができるよう、職場への適応性や職業能力の維持・回復を図る措置を講じている区内の中小企業事業主に対して、その経費の一部を助成し仕事と家庭の両立を推進する職場風土づくりを促進する制度です。
また、「次世代育成支援行動計画策定奨励金」は、次世代育成支援行動計画の策定義務のない従業員300人以下の事業主に対して、従業員の仕事と家庭生活との両立を支援する行動計画づくりのための経費を助成し、仕事と家庭が両立する雇用環境の整備を促進していくものです。
なお、これらの制度については、国や都においても本年度よりようやく同様の取り組みが始まったところであります。

(2)常勤と非常勤の格差是正

第二に、常勤と非常勤の格差是正であります。
働き方が多様化している時代、区役所においても、非常勤職員の報酬に職務内容や職責をより適切に反映させ、常勤職員と同様の職務や職責を担う者にはこれに相応しい処遇をしていくこととしました。

(3)子育て施策の財源確保に関する条例

第三に、「子育て施策の財源の確保に関する条例」であります。
本区では、条例で、平成17年度から21年度までの5年間を子育て環境の向上に重点的に取り組む期間と定め、各年度の特別区民税歳入見込額の概ね1パーセント程度の額を子育て環境の整備・充実のための新規・拡充施策に要する経費に充てることとしました。
こうした取り組みにより、23区で唯一の保育園の入園待機児童ゼロの実現や、妊娠時から18歳までの子どものいる家庭に所得制限なしに手当を支給する次世代育成手当の創設などを実施しました。

(4)こども園

第四に、こども園の創設であります。
幼稚園と保育園に関する国の縦割り行政が行われる中、「こども園条例」を制定し、従来の幼稚園や保育園といった枠組みに捉われない新たな乳幼児育成施設である「いずみこども園」を創設しました。こども園では、保育所の入所要件に定められている「保育に欠ける」という要件を緩和し、地域の子どもが年齢や保護者の就労形態で区別されることなく、同じ内容の育成課程を受けられるようにしました。
本区におけるこの先進的な取り組みによる成功事例が、国をも動かし、平成18年10月、新法に基づく「認定こども園制度」が設けられ、現在では「認定こども園」が全国で設立されるに至っております。

(5)九段中等教育学校

第五に、九段中等教育学校の設置です。
教育は次代を担う子どもたちへの先行投資であります。高等学校への入学がほぼ100%に達している現状においては、高校教育についても、義務教育と同様に身近な自治体が自ら積極的に推進すべきものと考えます。
心身ともに急激に成長する中学・高校段階において、一貫した教育方針のもと、中学校と高等学校を一体化したものとして、23区唯一の区立の中等教育学校を設置しました。教育理念と校風を大切に育て、特色ある教育活動を展開しています。

(6)チャイルド・ケアプランナー

第六に、チャイルド・ケアプランナーの設置です。
チャイルド・ケアプランナーは、子育て中の区民の視点で情報収集を行い、保健所や児童館に出向いて、子育て支援サービスなどの相談に応じています。
昨年秋には、この取り組みの成果を生かし、保健・福祉・教育などの組織を越え、子育て支援情報を網羅した初の子育て情報誌「千代田区子育てハンドブック」を刊行いたしましたが、子育て中の保護者が手にしやすい、利用者の目線に立った冊子として好評を得ております。

IV.高齢者の安心・障害者との共生

次に、高齢者・障害者が、住みなれた身近な地域で安心して住み続けられることも、共生社会実現に大きな意義を持つものであります。

(1)高齢者施策

まず、高齢者施策について述べます。
この施策は介護保険制度を基本としつつ、自治体の独自施策として知恵と工夫が最も求められるものです。千代田区では全国に類例のない以下の取り組みを行い、高齢者が住みなれた地域で安心して過ごせる事業を行っています。
第一に、介護保険料の増額抑制策であります。
千代田区は区独自に5億円の運営基金を設置しています。介護保険料は3年ごとに、サービス利用に応じて算定されます。この基金を活用することで、サービス利用が急増しても保険料が急騰しないようすることが可能です。
介護保険制度では、紙おむつの支給や配食サービスなどは、介護保険サービスとして介護保険料を財源として実施することが想定されています。しかし、これらのサービスを介護保険の対象とすると保険料負担が増大することから千代田区では福祉施策として一般会計で実施しており、高齢者の自立支援に向けて一層の充実を図っております。
また、在宅介護重視の観点から施設入所者と在宅サービス利用との格差を是正するため、在宅の要介護者を対象にホームヘルプサービスの上乗せを実施しております。
さらに、生活の質の向上や自立生活支援に必要であっても、介護保険のルールとして認められない外出介助や同居親族がいる場合の生活支援について、主治医意見書や担当者会議などで必要性が認められた場合に対応できることとしております。
第二に、(仮称)麹町地域高齢者施設の整備であります。
住み慣れた地域で、安心して暮らし続けられるよう旧番町出張所跡地に認知症対応デイサービス、グループホーム、入居施設など高齢者の状態に応じてきめ細かな対応が可能となる多機能の高齢者施設整備を進めております。開設は平成21年10月を予定しています。

第三に、後期高齢者の入院時の負担軽減事業であります。
平成20年4月からスタートする後期高齢者医療制度の導入に先行し、高齢者が入院した際に必要となる自己負担額の軽減を図るものです。高齢者の経済的な負担に配慮した全国的にも珍しい取り組みとして注目されております。

(2)障害者施策

次に、障害者の施策について述べます。
障害者の働く場としての「ジョブ・サポート・プラザちよだ」を新庁舎3階に設置し、あわせて、パン工房を1階に開設しました。
自治体庁舎内に障害者施設が併設されることは、全国的にも珍しく、障害者と区職員が同じ場所で共に働く「共生社会の実践の場」となっております。

今後はさらに、(仮称)障害者福祉センターの整備に取り組みます。
富士見福祉会館の機能を拡充し、身体・知的・精神の3障害のサービスを一元化した障害者の生活を支援する24時間365日対応の施設として、神田駿河台に建設するものです。開設は平成22年1月を予定しています。

V.さらなる共生社会の実現に向けて

このように、当区は「共生」の理念のもと、様々な施策を推進してきたところでありますが、さらなる共生社会の実現に向けた重要な施策があります。

(1)地球温暖化対策

第一に、地球温暖化対策であります。
昨年12月に、インドネシアのバリで、第13回気候変動枠組条約締約国会議が開催され、「京都議定書」に引き続く2013年以降の新たな実行ある枠組み作りが話し合われました。そこで得られた成果として、今後はアメリカや中国、インドなどの主要排出国すべてが参加して検討することとなりました。このことは世界の二酸化炭素削減に向け、大きな前進であります。
わが国は、本年7月の洞爺湖サミットにおいて、「環境技術立国」としてリーダーシップを発揮すべく、温室効果ガスの大幅削減に向けた取り組みを本格化させておりますが、こうした中、本年1月1日、「京都議定書」の第一次約束期間がスタートし、本区においても、同日「千代田区地球温暖化対策条例」を施行いたしました。
千代田区は、わが国の政治・経済の中心地として、今後もますます発展してまいります。しかし、これからは環境に配慮した経済発展を心がけなければなりません。本区のエネルギー消費構造を見ますと74%は業務部門であり、このまま放置すればさらに業務部門の二酸化炭素排出量は増加し続けます。先進国によって温暖化対策には差異がありますが、本区も地域特性に応じた取り組みを進めてまいります。なお、普及啓発キャンペーンなど、周辺区と連携することでより効果があがる事業については共同で実施してまいります。
地球を、そして、こどもたちの未来を守るためには、人類の手による地球温暖化の針を止めなければなりません。私どもには、良好な地球環境を子どもたちに引き継ぐ責任があります。
昨年公表されましたIPCCの第四次報告を見ましても、いまや地球温暖化の状況は、信号に例えれば黄色ではなく、赤信号であると考えます。このため私どもに求められるのは、スピード感と責任感であります。「地球規模の話だから」、「私一人が行動しても」と考えるのではなく、一人ひとりが自らできることを実践することが大切です。
地球温暖化は、まず途上国などに悪影響をもたらしますが、いずれは加害者である先進国にも甚大な被害をもたらします。「ひとごと」、「遠い先の話」などと考えず、自らのこととして考える必要があります。加害者も必ず被害者となるのです。
こうしたことから本区では、区に関わるすべての人々と手を携え、率先して具体的な対策を進めます。こうした行動が、次代を担う子どもたちへの最大の贈り物となります。
また、事業活動が特に顕著な本区では、経済と環境の「共生」を考え行動すべきと考えます。
今、地球温暖化対策に向けた行動を怠ると、自然体系は破壊され、貴重な生物が絶滅するなどの悪影響が日一日と増していきます。
そのような環境で、今の子どもたちが大人になり、生活するという悲惨な姿を想像してみて頂きたいと思います。
地方分権の時代に、「地球温暖化対策」こそ、基礎的自治体として、それぞれの置かれている自治体の状況に合わせて、地域が一体となって対策を講じる必要があるのです。まさに分権社会において取り組むべき大きな課題です。
「地球温暖化対策の推進に関する法律」でも地方公共団体の責務として、「地方公共団体は、その区域の自然的社会的条件に応じた温室効果ガスの排出の抑制等のための施策を推進するものとする」とされております。
平成20年度は、総額21億円を投じ、省エネルギー型道路照明の設置や区有施設の温暖化対策調査、こどもサミットの開催などソフト・ハードの両面から施策に力を入れてまいります。
具体的な推進制度は、今後、企業の皆さんのご意見をお聞きし、議会と論議しながら構築いたします。低炭素型社会の実現を目指し、実効ある温暖化対策を推進してまいります。

(2)地域社会の活動支援

また、身近な地域社会(コミュニティ)の活動への支援も、極めて大切です。
身近な地域で生活する人々を構成する自主的な組織である町会活動が活性化することが共生社会の実現の礎と考えます。
町会活動は、様々な行事や活動を通じて、近隣との絆を深め、まちを支え、まちをつくり、地域の「安全・安心」を提供するために、なくてはならない存在です。
一方では、100万人の昼間区民(事業所や大学など)やボランティア、NPOなど様々な活動主体への支援と町会活動がより深く連携できるような施策に取り組むことも肝要であります。
第6期生涯学習推進委員会議から、去る1月末にいただきました提言では、まちづくり・学習活動での町会の役割の再認識について触れられております。
町会は地域コミュニティの中核として様々な活動を行っており、事実、今までも地域課題にかかわることにより、地域づくりや地域の活性化で大きな実績を有しています。今後も町会をひとつの単位として積極的に生涯学習活動を推進してもらうための町会支援策の提案も出されています。
このような貴重な提案も、施策を進めていく上で大変重要であると考えます。

VI.共生社会実現の前提条件

さて、これまで共生社会の実現に向けた施策を述べてまいりましたが、その前提条件について申し上げます。

(1)広報広聴による情報共有

信頼される区政の基本は、まず、広報広聴の重要性をいかに認識するかにあります。
区という組織体には、常に説明責任が求められます。その責任を果たすための方法論として、広報広聴機能があります。この機能には、組織を成長させ発展させるためのインフラをつくる効果があります。インフラの構築には、区民サービスを供給する側(行政等)とその受け手(区民等)の信頼関係が不可欠であり、組織体にとって最大の財産になります。

多くの皆さんとの強力な信頼関係を築くためには、サービスの受け手の本当の気持ちがわかるどうかが重要なカギになります。すなわち、行政サービスの供給側と受け手が、同じ土俵の上で情報を共有し施策を進めていくことが、区政参画の基本であります。

情報の共有化を推進するためには、区の広報紙やホームページだけでなく、新聞報道やテレビ・ラジオなどのマスコミによる情報提供や町会などを通じて地域で直接行う対話形式など、様々な媒体を活用しなければ実現できません。
これらの広報媒体をフルに活用することと併せて、「区民の声」や「世論調査」をはじめ、窓口や地域での様々な区民等の意見を取り入れ、行政サービスの質を向上させていくことが、今後の施策の充実と発展に寄与することにつながります。

(2)公平・公正な区政の実現

また、公平・公正な区政(区政のコンプライアンス)の実現に向けた取り組みも極めて重要です。
当区においては、違法・不当な行為を防止する必要から、「公益通報制度」を条例により設置しています。
昨年を表す漢字「偽」に象徴されるように、介護サービス企業の介護報酬の不正請求、食品の賞味期限の改ざん、さらには冷凍餃子に代表される食品関連の事件など、私達の生活を脅かす記事が毎日目に入ります。日常生活の中で、何を信頼してよいのかがわからなくなってしまっているというのが現状ではないでしょうか。
企業の社会的責任が果たされなくなると、企業は国民から信頼を失い、「安全・安心」の社会は瞬く間に崩れ去ってしまいます。改めて、企業としての「コンプライアンス(法令遵守)」が問われています。
一方、公務員の社会では、年金の着服や不適切な契約行為など公務の信頼性が失われ事件が発生しています。コンプライアンスは、ビジネスの中で使われる言葉でありますが、区政運営においても、区政のコンプライアンス、すなわち行政の社会的規範を表す言葉でもあると考えております。住民の信託を受けて行政サービスに努める自治体では、不祥事の起こらないシステムづくりが重要になります。
千代田区の公益通報制度は、行政の自浄能力を高めるために、民主的で透明性の高い区政運営を図ろうとするものです。この制度を内部の要綱などにせず条例で定めている理由は、行政としての倫理性や透明性を広くお約束をするためです。
具体的には、公益通報者を完全に保護する仕組みや公益通報の受け皿を区から切り離した外部の「行政監察員」による公正な調査を行い、「区政における違法・不当な事実」は全て明らかにする事を基本としています。この取り組みも他の自治体に広がっております。
この公益通報制度の実績といたしましては、平成15年8月の条例施行以来4件で、この内調査の結果、「違法・不当な事実」があると指摘を受けた事象は1件であります。この1件につきましては、直ちに是正措置を行うと共に、事実を公表しております。

(3)効率的な区政の実現

さらに、効率的な区政の実現も大きなテーマです。質の高い行政サービスを継続的かつ安定的に提供していくためには、強い財政力が不可欠であり、徹底した内部努力により得られた果実を区民サービスの向上に投入していく必要があります。

当区ではこれまで、職員数の削減により人件費を抑えてまいりました。
平成13年4月1日現在の職員数は、1,362人でしたが、平成20年4月1日には1,096人となることが見込まれ、平成13年度対比で19.5%、266人の職員数の削減となります。また、予算額では、平成13年度予算額と平成20年度予算額との対比で、約20億円あまりの削減となっております。
また、平成14年から平成20年までに、学校や保育園の給食調理の委託化など49事業で9億7百万円の削減を行いました。
さらに、職員の厚遇問題への対応ですが、平成16年度から2ヵ年わたり特殊勤務手当ての抜本的な見直しを行い、滞納整理等外勤業務手当や土日勤務手当等の廃止により、当初約4千4百万円の予算規模を僅か100万円あまり(清掃事業移管分を除く)に縮減いたしました。この他にも行政視察旅費や福利厚生事業、被服貸与などについても社会経済情勢の変化や区民感覚に照らし合わせて適切であるかの観点から不断の見直しを行い、改善を図ってまいりました。
広報広聴機能を充実させ、公平・公正かつ効率的な区政を実現すること、これこそが共生社会実現の前提となる区民からの信頼を育むのであります。

VII.今後の区政課題と平成20年度の重要施策

さてここで、これまで申し上げてまいりました内容を踏まえながら、改めて今後の区政課題を整理したいと思います。

ある全国紙の一昨年の調査によりますと、千代田区は、政令指定都市・特別区を含む全国800の市において、福祉や子育て、教育など30項目にわたる行政サービスの指標の総合評価で全国一となっております。この他にも、経済誌などから、「安心して住める街」として、福祉や教育の分野で高い評価を受けています。

これらの評価項目には、区の施策だけではなく、国や都、民間のサービス内容も含まれていますが、この評価は、区議会のご理解を得ながらこれまで着実に諸施策に取り組んできた成果の現われだと認識しております。
しかし、私たちは、区政のこうした状況に甘んじることなく時代の変化に適切に対応し、区民の生活実態を大切にした施策を、区議会のご協力をいただきながら着実に実施してまいります。

以下、具体的に平成20年度の重要施策を申し上げます。
平成20年度予算案につきましては、冒頭で申し上げました、「共」に「生きる」「共生社会」の理念の具体化に向け、積極・果敢に行動する予算として策定いたしました。一般会計446億円あまりの歳入歳出予算規模となっております。(新規事業50事業、レベルアップ事業61事業)
この事業を達成するため、新規や拡充事業に必要な経常的経費を生み出すために、人件費を大幅に抑制するなどの工夫を行いました。

重要施策の第一は、地球温暖化対策であります。
平成20年度を「地球温暖化対策元年」と位置づけ、21項目の事業を盛り込みました。
例えば、区内の主要路線や街路に設置されている街路灯のうち、現在の水銀灯から高圧ナトリウムランプへ取替えることにより、消費電力の削減と二酸化炭素の発生抑制を図ります。
また、地球温暖化対策を総合的に推進するための計画を定めます。短期及び中期の二酸化炭素削減シナリオのほか、対策促進に役立つメニューとして、指針の策定や計画書制度の構築、基金制度のスキーム検討など、区の地域特性を踏まえた具体的な計画を策定します。
さらには、「こどもサミット」を開催します。
次代を担う子どもたちに地球温暖化への認識を深めてもらうとともに、周辺区や他県で暮らす同世代の子どもたちとの交流を通じて、実効ある対策に向けた提言をまとめ、広く内外にメッセージを発信します。

次いで、医療福祉関係であります。
私はこれまで、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる千代田区を実現するために、介護保険サービス基盤の整備と独自の高齢者福祉施策の充実に努めてまいりましたし、今後もその方針は変わりません。
しかし、昨今、さまざまな要因から施策を実現するための基盤である福祉人材確保が深刻な状況に陥っております。
高齢化の進行に備えた抜本的な対策の検討が始まってはおりますが、区民生活の安心を支える区として機動力を発揮し、国や都、他の自治体に先駆け人材確保に効果が期待される新規事業として「福祉人材確保・定着・育成支援」を実施することといたしました。

また、高齢期における一元的な医療制度の運営を図るための体制を確立します。
生活習慣病のもとになる「メタボリックシンドローム」に着目した「特定健診」を実施し、保健指導を充実してまいります。平成27年度までに、メタボリックシンドロームの該当者・予備軍を25%削減します。

成人健診については、後期高齢者を含め、今までの誕生月健診の内容を維持するとともに、がん検診の充実も合わせて区民の健康づくりを推進してまいります。

さらに、2011年の地上波デジタルへの完全移行に伴い65歳以上の高齢者のみ世帯、重度の心身障害者のいる世帯等に対するデジタルテレビ用アンテナ設置に係る費用の一部の助成、ひとり暮らしの高齢者に対し、安心できる生活支援の観点から住宅用火災報知器の設置費用を一世帯3台までの助成などをいたします。

妊婦健康診査も充実させます。
安全な出産に向けての母体と胎児の健康確保を図るため、次世代育成手当と健康診査受診券をあわせて健診14回相当分の助成を行います。

このほか、個々の体力に応じた運動や休養、適切な栄養の摂取など、知・徳・体のバランスがとれた児童・生徒を育成します。そのための専門家を小・中・中等教育学校へ派遣します。体力・運動能力の個人別データや生活習慣などの状況から、児童・生徒や保護者、部活動、学校全体に運動分野・栄養分野のアドバイスを行います。

また、マンション等耐震促進事業として、住まいは生活の基盤であり、その耐震性は非常に重要であります。そのため地震時における建築物の安全性の向上を図り、災害に強いまちづくりを目指すため、耐震診断や改修に要する費用を助成します。

VIII.議案

最後に、今回ご提案いたしました予算案件及び条例関係等の諸議案件についてであります。
まず、予算関係でありますが、

  • 平成19年度の補正予算が2件
  • 平成20年度各会計予算について、従前の4会計予算のほかに、今回新たに「後期高齢者医療特別会計予算」が加わり5件、予算関係が計7件であります。

次に、条例案件関係ですが、

  • 新たに条例を制定するもの2件
  • 条例の一部を改正するもの18件
  • その他、特別区人事及び厚生事務組合、東京都後期高齢者医療広域連合の規約の一部変更2件

計22件で、今回の付議案は、合計29件であります。

この他、専決処分の報告1件であります。

なにとぞ、諸議案件につきましては、慎重ご審議の上、原案どおりご議決賜りますようお願い申し上げまして、平成20年第1回区議会定例会開会のご挨拶といたします。

平成20年2月15日千代田区長石川雅己

※本文は口述筆記ではありませんので、表現その他が実際の発言とは若干異なることがあります。

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