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更新日:2011年2月9日

平成23年第1回千代田区議会定例会 招集挨拶

平成23年第1回区議会定例会の開会に当たり、私の区政運営における所信を申し上げます。

はじめに(地方自治の発展に向けて)

私は、区長に就任し満10年を経過しましたが、この10年間、日本社会全体には依然として不透明感が漂ったままであります。こうした社会状況だからこそ、自治体には住民生活に直接関わる安心を支える役割が求められています。まさに、地方自治のあり方として、各自治体がどのような施策を計画的かつ着実に実行するかが問われており、千代田区政もしか然りであります。私たちは、もう一度、地方自治、住民自治の発展経過を振り返り、今後の自治制度の方向性を示しておくことが必要だと思います。
そこで、先ずはじめに、我が国における戦後の地方自治制度を振り返ってみたいと思います。昭和24年に来日した米国のシャウプ博士を団長とする使節団は、「世界で最も優れた税制を日本に構築する」という理想に燃えていたと言われます。この使節団が提出した報告書、いわゆる「シャウプ勧告」は、戦後税制の骨格を作ったと言われるものです。この勧告は、税制のみならず、地方自治の強化にも言及しており、教員の採用権限を市町村とするなど、事務配分における市町村優先の原則を明確に打ち出しておりました。
しかし、勧告が出された当時は、戦後の復興をできるだけ早期に進めるため、国が強いイニシアチブのもと全国の均衡ある発展を図る必要があり、必ずしも諸制度がシャウプ勧告に沿ったものではありませんでした。地方自治制度も、地域のことは地域で自主的・主体的に責任を持って決めるという本来の趣旨に沿った枠組みが作られず、内容が十分でなかったものと思われます。
その後、国と都道府県との財源や事務権限を巡るせめぎ合いばかりに論議が集中し、都道府県と市町村との間で「市町村優先の原則」の論議が不十分のまま、今日を迎えております。30年以上「地方の時代」が叫ばれ続けておりますが、100年河清を待つごとく、自治の進展は道半ばであります。さらに、23区は特別地方公共団体ゆえに、一般市より課税権や事務処理権限が制約されており、国と地方、都道府県と市町村との自治権の拡充に向けたせめぎ合い以上に、都区間での自治を巡る動きは根が深く、時には不信感が漂う状態が起こっております。
さて、日本社会は高度経済成長時代の終焉を迎え、成熟社会へと移行しております。このような社会経済状況の変化に伴い、新しい自治制度を目指す動きが巻き起こっております。すなわち、都道府県と区市町村との二層制が時代に合致しているのかが、今、問われています。全国津々浦々で中央集権的で画一的な地域づくりから、それぞれの地域に相応しい地域づくりが進められていますが、これは、「多様な地域づくりと仕組みの構築こそ、真に質の高い日本社会を創出することに繋がる」との想いが噴出したものと確信しております。
私は平成13年、大都市東京の自治制度の将来を見据え、現行の23特別区制度から「千代田市構想」を目指すと宣言しましたが、当時は、必ずしも理解者が多くなかったと思います。その後、23区区長会は、「それぞれが市になった上で、広域的な事務処理などで連携協力する23市の基礎自治体連合制度を創る」ことについて特別区制度調査会から答申を受け、現在その前提で検討を進めることとしております。
今回、大阪、名古屋、新潟などが地域自治制度を提起したことは、「千代田市構想」や23区を市として考える「23市の基礎自治体連合構想」を提起して以来、やっと他の自治体でも独自の自治制度が提起されたものと感じております。従来の国と地方との権限や財源を巡る綱引きとも言える自治権拡充運動から新しい動きの萌芽であります。
昨今の大阪・名古屋などを中心とした地方自治をめぐる議論は、従来の中央からのお仕着せによる自治制度とは異なり、自らの地域に相応しい自治制度をどう構築していくかという新たな視点から問題提起を行っているものであると考えます。こうした議論は、全国一律の二層制ではない、新たな地方自治制度創設へ広がっていく可能性を感じております。
私は、区長就任以来「動かなければ何も変わらない」との思いで区政を進めてまいりました。地方自治制度の改正は耐久レースのようなものですが、そのようなレースを持続するためには、それぞれの自治体が、国の決めた仕組み以外の独自施策として、住民に身近な、とりわけ、子育てや教育、高齢者施策の新たな取り組みを繰り返し実施していくことが必要だと考えます。そのことが、良い意味での自治体間の「政策の競創」を通じて、競い合いながら創造する関係を構築し、更なる住民自治の発展に繋がるものと考えます。
千代田区で平成14年4月から全国で初めて幼稚園と保育園を一元化した「いずみこども園」を創設したことをきっかけに、様々な自治体が本区と同様の取り組みを開始しました。国もこうした自治の新たな胎動を正面から受け止め、平成18年に「認定こども園」制度を創設しました。このような制度を例として、千代田区も含め、自治体が様々な独自施策を繰り返し行っております。

千代田区は日本・東京の心臓部であり、千代田区から発信される施策が全国の自治の中身を更に充実するものと考えると同時に、こうした取り組みは、将来千代田区に相応しい自治制度を構築するための着実なステップであると確信しております。「こども園」は、「動かなければ何も変わらない」ことを示した象徴的な事例だと思います。
また、国、自治体、企業、いずれの場合においても、足元を固める、すなわち、強固な財政基盤を創り上げることこそ、組織の存亡・発展の要であると考えます。ちなみに、国の財政状況、特に、いわゆる借金(起債等)は、平成12年度の約500兆円から平成22年度には約900兆円と、債務が8割程度も増加しました。赤ちゃんから大人まで全国民で返済したとすると、一人当たり750万円程度になると推計されております。これは、子どもや孫の代まで借金返済を分担しなければならないことを意味しております。
こうした約10年間の国の財政運営は、果たして国民生活にどのような影響をもたらしたのでしょうか。厚生労働省の国民生活基礎調査によると、一世帯当たりの平均所得金額は、平成20年には547万5千円であり、10年前と比べると100万円以上も減少しています。国の借金は増え、個人所得が減少している状況にあります。
一方、千代田区の財政状況は、この10年間、新たな起債をすることなく、過去の起債を計画的に返済した結果、現在の区債残高は約49億円で、区民一人当たりに換算すると約10万円であり、国の75分の1となっています。
「ローマは一日にして成らず」。本区は、組織体のスリム化を図るべく、この10年間で職員を(九段中等教育学校の後期(=高等学校)分の増員を除き)378人、率にして27%純減しました。その結果、筋肉体質の財政への転換を図るとともに、様々な行財政改革を各年度の予算編成を通じて地道に実行し、今日の財政基盤を創ったとも言えます。繰り返し申し上げるならば、自治とは自主的・主体的に地域のことは責任を持って決定する事でありますが、その前提は、自らが強い財政基盤を有することです。
さらに、自治の充実発展と本区に相応しい自治制度を創設するもう一つの鍵は、住民自治の強化であります。イギリスの政治家ジェームズ・ブライスは、著書の中で「地方自治は民主主義の学校である」と述べています。この有名な言葉は、住民自らが地域の政治に参画することの重要性を端的に言い表していると思います。幸い、住民の政治参画という視点から見ますと、国と地方の制度は大きく異なります。国政への参加は選挙という仕組みにほぼ限定されますが、地方自治の仕組みは、選挙による間接民主主義を前提としつつも、条例の制定・改廃請求や住民監査請求など、様々な住民参画の仕組みが用意されています。それは、住民と自治体との距離が極めて近いことが行政への参画に結びつくからであると認識しております。今後は、こうした参画の仕組みを積極的に活用し、更なる住民自治を確立していくことが必要です。「住民力」こそ、自治の内容と制度設計を揺り動かす大きなエネルギーになると確信しております。
本区が来年度から検討することとしている「(仮称)自治基本条例」は、区における住民と行政相互間の役割・権利・義務や、参画と協働の仕組み、公共と民間、住民との連携などを定める条例であり、区の最高規範とも言えるものです。本区の特性に相応しい条例とするために、まずは論点を整理した上で、区民や区議会と十分議論を積み重ねながら、検討を進めてまいります。これからも、こうした新たな手法を取り入れながら地域力を涵養し、本区の住民自治をより一層推進していく考えであります。
今後とも「動かなければ何も変わらない」という強い信念のもとに、当面23区と連携し「23市の基礎自治体連合構想」を推進し、さらに本区に相応しい自治制度創設のため、鋭意邁進してまいります。
それでは、平成23年度予算(案)を中心に主な施策について申し上げます。

I 平成23年度予算(案)について

先ず、平成23年度予算(案)の予算規模は、一般会計で489億1千800万円となり、前年度に比べて約45億円、10%ほどのプラス、特別会計を含めた全会計で586億4千600万円、前年度に比べて約50億円、9%ほどのプラスとなります。
我が国の景気は緩やかな回復基調にあるものの、依然としてデフレ状態が続き、個人消費の回復や雇用状況の改善には、まだしばらく時間が必要な状況にあります。
また、社会全体を覆う閉塞感の一因と考えられる、急激な少子高齢化の進行に伴った社会保障の制度疲労に対し、改革の必要性が唱えられているものの具体的な方向性は未だに示されておりません。
千代田区では、地価が高いことから住居費をはじめ生活コストは他の自治体より高く、社会経済状況の不安定さ、個人所得の減少などが、区民生活に大きな影響を与えています。
これらの状況を踏まえるなら、区民生活に直接かかわる基礎的自治体としての役割は、将来への不安を少しでも軽減することであり、平成23年度予算案は、「区民生活の安心を支え、未来への希望を育む予算」を目標に、生活に密着した高齢者等の福祉と学校教育を含めた次世代育成の分野に重点をおいて編成いたしました。
特別区民税などの一般財源が増えない中では、徹底した内部努力や事務事業の見直しが不可欠であり、平成23年度予算の編成にあたっては、経常的な経費に使われている一般財源に対して、10%のマイナスシーリングを実施し、約9億5千万円の一般財源を捻出し、区民サービスの一層の充実を図るために新規・拡充事業等に充てるよう努めたところであります。
就任以来、私は、区民の皆様に質の高い行政サービスを、継続的かつ安定的に提供していくために、「強い財政」の構築が必要であるとの認識を明確にし、厳しい内部努力を続けてまいりました。
行財政改革を着実に進めるために、区議会のご理解をいただいて制定した「千代田区行財政改革に関する基本条例」に掲げた数値目標を踏まえ、毎年の財政運営にあたってまいりました。
その結果、今日のような厳しい財政状況にあっても、これまで蓄えた基金を活用し、新規の区債を発行することなく麹町中学校の整備、九段中等教育学校の改修整備、日比谷図書文化施設の整備などを当初の計画どおりに予算計上することが可能となったものであります。
これらを踏まえ、平成23年度に取り組む施策について、区政を担う立場から私の区政運営の所信を申し上げます。

II (仮称)高齢者総合サポートセンターと旧庁舎跡地の活用について

次に、(仮称)高齢者総合サポートセンターと旧庁舎跡地の活用について申し上げます。
社会が成熟し、生活レベルや医療技術が進歩する中で、長寿命化が進み、日本は世界に誇る長寿社会になりました。それゆえに、欧米諸国が未だに経験したことのない速さで高齢化が進み、様々な「ひずみ」が顕在化してきています。
その結果、財政面では社会保障と税の課題がクローズアップされ、認知症高齢者やサービスの担い手、施設の不足などに象徴される介護保険制度のあり方が問われています。一人暮らし高齢者世帯の増加に伴い、孤独死や介護も医療も必要になった場合の住まいの問題も社会的に大きな課題になっています。
社会保障制度として、平成12年4月に「介護の社会化」を掲げてスタートした介護保険は、高齢社会が進行する中で定着し、一定の評価を得ています。
千代田区は、介護保険制度発足当初から「保険制度だけでは高齢者の生活、介護を支えるには不十分である」という認識の下、区民生活の安心を支える基礎的自治体の役割を果たすために、高齢者福祉施策の充実に努めてまいりました。
そのため、千代田区の高齢者福祉は、「きめ細かく、かゆいところに手が届く」と全国的にも高く評価されております。
65歳になれば高齢者の仲間入りをしますが、今の65歳はまだまだ現役で活力あふれている方が少なくありません。しかし、70歳、75歳ともなれば、介護も医療も必要な状況になる可能性が大きくなります。
団塊の世代が75歳以上になる時が迫っており、そのために、必要な介護や医療の基盤を整備することが求められています。

都市化が進み、マンション居住が多数を占め、一人暮らしや高齢者のみ世帯が多い千代田区で、暮らし続けることに不安を感じている方も少なくありません。
一方で、特別養護老人ホーム等の施設整備も検討しているところですが、介護や医療が必要になっても、自宅で住み続けたいと思っている区民の方が多くいらっしゃるのも事実です。
そこで、私は、医療と介護の制度の狭間にある高齢者の生活の問題を受け止められる、そして、即座に具体的な対応がとれるようなシステムが必要だと考えました。制度の枠にとらわれないシステム、サービス提供までを視野に入れたよろず相談が提供できる高齢者生活・介護の拠点施設として、「(仮称)高齢者総合サポートセンター」の構想を提示したのであります。
この高齢者総合サポートセンターの機能を十分に発揮するためには、医療と介護の連携が必須であります。医療と介護の連携は、様々な場面でその必要性が述べられているものの、難しい課題があるのも事実です。
それを「高齢者総合サポートセンター」で解決できれば、超高齢社会において、都市部で、住み慣れた地域で、安心して在宅療養を続けられる、と考えております。
この施設では、医療と介護が連携して、いつでもどんな相談にも対応するとともに、区内に不足している訪問医療・訪問看護やリハビリなどのサービスを提供します。また、高齢者センターを移転し、充実して整備するとともに、多世代が交流する機能や介護人材の育成・研修機能も設けるものです。
この高齢者総合サポートセンターの機能を十分に発揮し、安心して在宅療養ができるようにするためには、医療機関との連携が不可欠ですが、区が医療機関を整備することは困難であり、病院との密接な連携協力が必要です。
一方、九段坂病院から、現在の建物が老朽化したため、区役所旧庁舎跡地に移転したいとの要請があります。要請の内容は、単に現在の病院を移転改築するだけではなく、高齢者総合サポートセンターを支援するために、次のような取り組みを行うという提案になっています。第一に、センターの機能である訪問診療や訪問看護、リハビリを実施する、第二に、区の地域医療向上のために、地域の医療機関等と連携した在宅医療の支援や救急医療の提供、区民の緊急入院受け入れ体制確保や災害発生時の医療対応などを行うというものです。
旧庁舎は、長年にわたり区民の皆様に親しまれてきた中核的施設であり、その跡地につきましては、区民共有の財産として相応しい活用を図っていく必要があります。そこで、跡地活用の進め方について、広く区民の皆様方のご意見をいただく機会を設け、その結果、福祉や医療系の活用を希望される声が強いことも認識しております。
区議会において、様々なご議論をいただいた経緯を踏まえ、このたび高齢者総合サポートセンターと九段坂病院の併設について、病院設置者である国家公務員共済組合連合会と仮基本合意書を締結するに至りました。
この仮合意書は、高齢者総合サポートセンターの機能確保、地域医療の向上、施設や土地・建物の権利関係など、連合会が九段坂病院を併設し、センターを支援する計画に関する基本的な事項を定めたものです。
区民が、高齢になり介護や医療が必要とされても、在宅で安心して暮らし続けられるよう、高齢者総合サポートセンターの早期整備に向けて、具体的な協議を精力的に進めてまいります。

III 子ども関連施策について

次に、子ども関連施策について申し上げます。
子どもは、私たちの未来を担う宝物であります。次代の社会を担う子どもたちが健やかに産まれ、かつ、一人ひとりの育ちを社会全体で支援していくことこそ、今を生きる私たちに課せられた責務であります。
一方、少子社会は、労働力人口の減少や、税や年金・医療保険の担い手の減少など、社会のあらゆる場面で、様々な影響を及ぼすことが懸念されます。そのような中、子どもを産んでも、仕事と子育てが両立できる社会。障害があってもなくても平等に社会に出て、自己実現を図りつつ活躍できる社会。更には、喜びや楽しみを味わいながらゆとりを持って子育てをすることのできる社会の構築が必要不可欠であります。こうした次世代育成支援施策に関して、本区独自の条例である「子育て施策の財源の確保に関する条例」を制定し、財源確保の目標を定めることで、子育て環境の総合的かつ計画的向上を推進しているところであります。
今後とも、高齢者施策を「後期社会保障」とするならば、次世代育成支援施策を「前期社会保障」的な位置づけで取り組んでまいる所存であります。

(1)保育園の待機児童対策

そこで先ず、保育園の待機児童対策についてであります。
保育所や学童クラブの待機児童が社会問題となり、今や、「就活」ならぬ「保活」の時代であります。少子社会の中にあって、保育所に入れるかどうかが住居を決める大きな要素となっているものと認識しております。
本区では、平成21年までの8年間、23区で唯一、保育所の待機児童ゼロを実現してきました。しかし、昨年4月、例年の約3倍に相当する乳幼児人口の増加により、33人の待機児童が発生しました。
本年1月1日現在、乳幼児人口は、前年と同数の151名の増の2,184人となっており、たった2年で約14%もの大幅増となりました。
この結果、本年4月には、区内で唯一の私立認可保育所である(仮称)アスク二番町保育園が開設予定ですが、待機児童ゼロをめざすには、厳しい情勢にあるものと考えています。

次世代育成支援施策は「待ったなし」であります。
「安心して子どもを産み、育てることができるまち」の実現には、保育供給総量の増加は不可欠であり、不退転の決意で取り組むことといたしました。
具体的には、保育ニーズの高い麹町地区において、おひさま広場を含む旧麹町保育園園舎跡地に、認可保育所を新設することとし、当該施設は区が責任をもって建設いたします。
また、幼稚園と保育所のニーズと施設配置のミスマッチの解消については、先ず、昌平幼稚園について、幼保一体施設として再整備を行います。
幼保一体施設では、幼稚園認可を継承し、敢えて保育所認可を取得しないことで、保育を必要とするすべての乳幼児を受け入れ、地域の核である小学校との併設メリットを活かした、質の高い幼児教育・保育施設としてまいります。
こうした取り組みにより、改定基本計画期間である平成26年度までに、保育供給総量を、現状の約4割にあたる400人以上増やすことをめざします。

(2)発達支援・特別支援教育の充実

次に、発達支援・特別支援教育の充実についてであります。
近年、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)等を持った子どもたちへのきめ細やかな対応や、早期からの教育的対応の必要性が高まってきております。
発達支援・特別支援教育の領域は、福祉分野・教育分野等の広範囲に及びますが、本区では平成19年度に次世代育成支援部門と教育部門を組織統合したこともあり、総合的かつ統一的な検討をしやすい環境が整っております。また、教育委員会では、学識経験者や保護者代表等からなる「発達支援・特別支援教育推進協議会」を組織し、各種施策の充実に向けた先進的な取り組みについて鋭意検討を重ねております。
検討結果等を踏まえ、障害を持つ子どもたちの福祉の向上と適切な教育の一層の推進を目指し、来年度は、児童療育事業の一層の拡充等に努めるとともに、新たに、「特別支援学級登校時通学支援」「小学校における校内通級指導の推進」「発達支援・特別支援教育の理解促進」等に取り組んでまいります。

(3)家庭の教育力向上

次に、家庭の教育力向上とスクールライフサポーターについてであります。
昨今、児童虐待の増加や校内暴力・不登校といった子どもの問題行動が深刻化しております。こうした問題の背景として、近年の都市化・核家族化・少子化のほか、地域における地縁的な繋がりの希薄化等が挙げられております。そして、子育てを支える仕組みや環境が崩れ、親の間に、子育ての負担感や子どもの教育の仕方がわからないといった育児に関する悩みが広がっていることが指摘されております。
子育てはまさに未来の日本を支える人材を育てる重要な営みであります。家庭の教育力が低下していると言われる今日、子どもを育てる親は勿論のこと、地域・学校・企業等の一人ひとりがこのことを理解し、社会を構成するすべての者が子育ての主役なのだという気概を持つ必要があります。
そこで来年度は、具体的な支援として、早い段階からの育児や社会体験学習のほか、いわゆる「親学」や「親育ち」についての講演会の開催等に積極的に取り組み、家庭の教育力の向上を積極的に支援してまいります。
また、社会状況等の変化に伴い、子どもたちの規範意識や人間関係形成能力、心の逞しさが低下してきております。そこで、多様な人生経験を持つ外部人材「スクールライフサポーター」を学校に投入し、子どもたちが豊かな人間性や社会性を育むための一助としてまいります。子どもたちは人生経験豊富な大人と触れ合うことにより、基本的な生活習慣を身に付け、人間関係を築く力を伸ばすことができます。また、保護者は子育てについての心構え等をサポーターから学ぶことで、家庭の教育力の向上を図ることが可能となります。こうした取り組みは全国的にも例がないものであり、学校風土にも新風を吹き込み、教育現場の活性化も図れるのではないかと期待しております。

IV 地域課題に対応したまちづくりについて

次に、地域課題に対応したまちづくりについて申し上げます。

(1)マンション要綱の制定

まず、(仮称)マンションの建築及び適正な管理に関する要綱の制定について申し上げます。
本区の総人口は、本年2月1日現在、4万8千16人で、平成12年以降、11年連続で増加しております。この人口増加に合わせてマンションの建設もピークを過ぎたものの平均して毎年20件程度が着工されております。
こうした、マンション等の集合住宅に居住する区民が確実に増加する中で、これらマンション居住者の地域コミュニティへの参加は、安全・安心で活力ある地域社会の構築にとって欠かすことのできない重要な要件となっております。
これまで、区では、マンションの建設に当たっては、ワンルームマンション指導要綱などによる行政指導を行うとともに、地域との協定など、地域の理解を得ながら工事を進めてもらうよう、事業者に働きかけてまいりました。
しかしながら、建物竣工後、マンションの居住者と地域との繋がりが十分に形成されず、日常生活や緊急時の対応などにおいて、地域から適正な管理を求める声も寄せられております。
現在検討中のマンション要綱は、ワンルームマンション指導要綱と一体的に運用しながら、これから建設されるマンションはもとより、既存のマンションが適正に管理され、安全・安心で活力ある地域社会の構築を目指して制定するものであります。
さきほど、自治の重要性について述べましたが、マンションは「大勢が一つ屋根の下で暮らす」共同体であり、身近な自治組織であります。
こうした自治は、行政だけで達成できるものではなく、『この地域、このマンションを自分たちの手で』という区民一人ひとりの共同体意識が自治を支え、参加型社会をつくり上げていくのであります。マンション要綱は、計画に当たって地元の理解を得ることから始まり、地元との協議及び協定の締結、建物完成後における管理組合などの所有者や管理会社への協定の承継、コミュニティへの参加や地域に配慮した住まい方、マンション内のコミュニティ形成などを盛り込んでいくことを考えております。
当該要綱策定に当たっては、地域をはじめ、マンションの建設事業者・所有者等、幅広く関係者の意見を聴取することが必要と考えており、パブリックコメントも実施して、まとめてまいりたいと考えております。
年度内を目途に要綱を制定し、要綱制定後は、より具体的な進め方を各方面と議論し、この要綱が実効性のあるものとなるよう、全庁をあげて取り組む体制をつくってまいります。

(2)道路等の公共空間の活用

次に、道路等の公共空間の活用について申し上げます。
平成20年6月に発生した無差別殺傷事件後、中止されておりました秋葉原の歩行者天国が、去る1月23日、2年7か月ぶりに再開されました。
改めまして、犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の方々に対し、謹んで哀悼の意を表する次第でございます。
私達は、「二度とこのような事件が起こってはならない、命の尊さや大切さを実感できる地域社会を創っていかなければならない」との強い思いのもと、地域の方々とともに取り組んでまいりました。
勿論、こうした思いは秋葉原に限らず、どこの地域でも言えることであります。
そこで、都市の中で重要な位置を占めている道路や広場などの公共空間が、人々にとって「安全・安心」をベースとした「憩いや賑わい」の場として、多様な活用が可能となるよう検討会を立ち上げ、議論を進めてまいりました。
ご案内のとおり、道路は重要な交通インフラであるとともに、人々の交流や生活の場であり、地域コミュニテイの創出の場でもあります。近年、自動車交通を中心とする利用の傾向が強いものの、まちの賑わい創出や地域の活性化を図る上で、大変貴重な空間であることから、道路のあり様を見直し有効活用を図ることが求められております。
この取り組みは、まさに時代の流れであり、歩行者天国をはじめ自転車やランナーの利用など、多様な活用が考えられますが、今回は秋葉原を一つのケースとして、地域全体の魅力や価値を高めるための大きな視点から検討を進めてまいりました。
検討会では、秋葉原における公共空間活用の基本的な方向性を示すとともに、地域が一体となって取り組みを行う推進体制を整え、防犯パトロールや防犯カメラの設置・運営、地域の自主ルールである「秋葉原協定」を策定しました。さらには、地域の自主運営を基本とした歩行者天国運営組織の設置など、具体の取り組みが見える形で着実に進められ、今回、試験的にではありますが再開の運びとなった訳であります。
こうした取り組みは、地域の皆様方と行政関係者が、まちを思う気持ちから、一体となって英知を結集させ築き上げた、いわば「まちの財産」であります。
すなわち、単に歩行者天国の是非だけを論ずるのではなく、公共空間をどう活用していくかという観点から、具体の行動を起こすことによって、地域の結束力を生み出し、まちに新たな息吹を吹き込んだものと思っております。
この「まちの財産」は「動かなければ何も変わらない」という具体的な事象、すなわち地域力の賜物です。
私達は、今後とも、こうした地域力を大切な「まちの財産」として、鋭意、育んでまいります。

V 第3次千代田区一般廃棄物処理基本計画について

次に、第3次千代田区一般廃棄物処理基本計画の策定について申し上げます。
清掃事業は、区民生活と密接に結びついており、限りある資源を有効に活用するためには、住民の皆さんの協力が不可欠であり、地域の実状や、住民の皆様の要望に応え、より利便性を高いものとすることが求められています。
区は、ごみの発生抑制、再使用と再利用を一層進め、環境への負荷の少ない資源循環型社会の形成をめざすために、平成23年度から32年度までの10か年を計画期間とする第3次千代田区一般廃棄物処理基本計画を策定したところです。
今回の計画策定に当たりましても、区の諸施策と連携を取りながら、本区の実状に即した清掃事業となるように見直しを行ったところです。
区が収集する可燃ごみの約半分は、再生利用可能な紙類が占めています。これまで可燃ごみとして処理していたボール紙、写真、ファクス用紙やレシート、オフィス用紙やシュレッダーくずなどを資源として回収するモデル事業を試行してまいります。これは全国的にも例の少ない先駆的な取り組みです。
また、ごみを集積所に出すことが困難な高齢者世帯などから、清掃事務所の単独事業として「ふれあい収集」を行っておりましたが、これまでは、玄関の外での収集でした。今回、この事業を清掃事務所と福祉部門が連携して、「高齢者安心生活見守り隊」活動の一環として行うこととし、玄関内の収集も行うことにより、訪問時に声かけをするなど、見守りも行うように見直します。また、ふれあい収集の申込みの際は、清掃事務所職員と高齢者あんしんセンター職員などが家庭訪問も行います。
このような収集の訪問時の声かけ・見守りにより、高齢者の方々などが住み慣れた地域で安心して生活を続けられるように支援する体制を整備します。
このほか、区内から出されるごみ量の約9割を占める事業系ごみに対する指導を強化するなど、区の特性を活かした「資源循環型都市千代田」の構築に向けて、区民・事業者の方々などのご理解とご協力のもと、積極的な施策を展開してまいります。

VI 議案

最後に、今回ご提案いたしました予算案件及び条例関係等の諸議案についてであります。

先ず、予算関係でありますが、

  • 平成22年度の補正予算が4件
  • 平成23年度各会計予算が4件であります。

次に、条例関係でありますが、

  • 新たに条例を制定するもの2件
  • 条例の一部を改正するもの7件
  • 条例を廃止するもの1件
  • 契約関係4件
  • 指定管理者の指定について1件

今回の付議案件は、合計23件であります。

なにとぞ、諸議案につきましては、慎重ご審議の上、原案どおりご議決賜りますようお願い申し上げまして、平成23年第1回区議会定例会開会のご挨拶といたします。

平成23年2月9日 千代田区長 石川 雅己

※本文は口述筆記ではありませんので、表現その他が実際の発言とは若干異なることがあります。

お問い合わせ

政策経営部総務課総務係

〒102-8688 東京都千代田区九段南1-2-1

電話番号:03-5211-4134

ファクス:03-3239-8605

メールアドレス:soumu@city.chiyoda.lg.jp

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