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更新日:2012年2月17日

平成24年第1回千代田区議会定例会 招集挨拶

平成24年第1回区議会定例会の開会に当たり、私の区政運営における所信を申し上げます。

はじめに

東日本大震災によって明らかになった課題

東日本大震災から間もなく一年を迎えようとしております。マグニチュード9.0の大地震と千年に一度と言われる大津波が東北地方を襲い、これに伴う福島第一原子力発電所の事故により、未だにご自宅に戻ることすらできない方々が多数いらっしゃることに胸が痛みます。
一方、今冬の厳しい寒さの中にあっても、被災地では、多くの被災者が大切な家族を失った悲しみや、家や財産を失った困難を乗り越え、一歩一歩、復旧、復興に向け取り組まれております。東北の方々の粘り強さや行動力に敬服いたします。
また、社会の中でお互いに助け合う心を育むこと、暖かい地域社会、地域コミュニティを形成することの大切さを改めて認識しているところであります。
私共といたしましても、被災者の方々に対し、可能な限りの支援を継続してまいりたいと思っております。

今回の大震災を経験し痛感いたしましたことは、基礎的自治体の役割の重要性であります。発災後に起る様々な問題について、住民が相談し、解決を求める相手は、国や都道府県ではありません。発災時に、住民の生活に密着した基礎的自治体が、国や都道府県の指示がなければ動けないという体制では、住民の命を守り、生活を支えることは到底できません。区市町村が主体的かつスピード感をもって対応することが何よりも重要であります。

これまで本区では、災害時における区内大学との連携協定や、帰宅困難者対策地域協力会の設立など、独自の防災対策を講じてまいりました。これにより、東日本大震災においては区内大学が5千人以上の帰宅困難者を受け入れただけでなく、区内の企業でも自主的に受け入れが行われました。
しかし、情報の提供や収集が円滑に行われたとは言えないこと、一時的に多くの人が屋外に滞留したこと、そして帰宅困難者が一度に移動を開始すると混乱や交通マヒの原因となることなど、現行の防災対策では想定していなかったことや、対策が十分ではなかった点が浮き彫りとなり、多くの課題が明らかになりました。特に昼夜間人口の差が大きく、区内居住職員が少ない本区では、区職員の態勢も発災時間帯によって状況が全く異なります。
そこで、今回明らかになった課題について、平日の昼間、休日、夜間など発災時間帯ごとに検証し、当面の初動対応を「防災対策見直し案」として取りまとめたところであります。今後、災害対策特別委員会でのご議論や区民のご意見等も踏まえて、見直し案に「肉付け」をし、その内容を地域防災計画へ反映させ、年度内に改定してまいりたいと考えております。
また、今回のように、災害時において情報の提供が十分になされなかったということは、常日頃の区政情報の発信にも大きな課題があるということの現れであります。課題が明らかになった以上、区の考え方や、区政の方向性などについて、広く区民の皆様方に知っていただき、ご理解いただくための方策を検討し、具体的な対応をとってまいります。

未来志向の区政運営

これまで、私の区政運営の方針として未来を見据え、様々な施策を先行して実施してまいりました。これからも次代を担う世代が安心して暮らせるよう将来へ備えることを常に意識し、各施策を推進してまいります。
そのために、従来のやり方を大胆に見直し、時には批判を恐れることなく「今を変えること」を積極的に取り組むことも重要であると考えております。

将来に負の遺産を先送りしないために

将来を見据えた施策を幅広く実施していくためにはその実現に向けて、十分な財源を確保することが肝要であります。将来に負の遺産を先送りしないためには、できる限り借金(負債)をしないこと、あるいは借金を減らすことが重要であり、これは「借金との戦い」とも言えます。

今、世界経済に目を向けると深刻な状況に陥っており、世界の国々でまさに「借金との戦い」が繰り広げられている状況です。
欧州政府債務問題では、IMF(国際通貨基金)は、EU加盟国が来年度にも域内総生産(GDP)のおよそ16%に相当する多額の債務借り換えが必要になると指摘しています。
アメリカ経済も回復の原動力が見当たらず、連邦政府債務残高は歴史的な高水準が続いています。
また、我が国においては、国債及び借入金の現在高が、平成23年3月末現在約924兆3,000億円で、1990年代後半に財政の健全化に着手した主要先進国と比較して急速に悪化しており、最悪の水準となっています。
国家財政はもとより、多くの地方公共団体においても借金は増加し、財政状況悪化の原因となっております。地方財政の借入金残高は、平成23年度末現在で約200兆円と見込まれております。これは20年前の平成3年度と比較いたしますと2.9倍、130兆円もの増となっております。
財政状況が悪化し、「借金で首が廻らない」状態になれば、当然のことながら行政サービスの質の低下と量の切り下げが行われます。これに加え、利用料などの負担が増加され、住民生活を直撃することになります。このような自治体では、個々のサービス内容以前の問題として、「住み続けたいまち」ではなくなってしまいます。
一方、今後、我が国の総人口が減少していく中で、高齢化率はさらに上昇します。30年前の昭和55年(1980年)には、65歳以上の高齢者1人を7.4人で支えておりました。それが、約40年後の平成67年(2055年)には65歳以上の高齢者1人を僅か1.3人で支えなければならないと言われております。
現役世代にとっては大変な負担増になります。また、年金や医療、介護などの社会保障給付費の増加は、国や地方公共団体の財政をさらに圧迫していきます。

本区においては、将来を見据え、平成14年3月、財政の硬直化状態を表す経常収支比率、人件費比率を数値目標として設定した「千代田区行財政改革に関する基本条例」を制定し、内部努力を継続的に行ってまいりました。特に、指定管理者制度や民間委託などを活用し、行政サービスを提供することによって、職員給与費が財政を圧迫しないように努力してまいりました。
そして、平成13年4月1日には1,362名であった職員数を、平成23年4月1日には1,060名と10年間で300名以上も削減し、20億円以上の効率化効果額を捻出してきたところでございます。
このように、「行革条例」で定めた数値目標は、本区の行財政運営上のメルクマールであり、こうしたことを十分に踏まえ、毎年度の予算を編成し、あるいは執行してきているところでございます。
一方、平成12年度以降、新たな借金とも言える区債を発行せず、借金残高の削減に努めてまいりました。私が就任をした平成12年度末、千代田区の区債残高は174億3千5百万円でしたが、平成23年度末には40億5千2百万円と、この10年間で133億8千3百万円を削減、残高を4分の1以下としたところでございます。
さらに、貯金である基金の残高は、平成12年度末時点では約527億5千7百万円であったところ、平成22年度末現在では737億2千7百万円と、10年間で209億7千万円あまりも増加させることができました。この増加額は、本区の一般会計予算額の2分の1に相当するほどの規模であります。
こうした行財政効率化の取り組みは、様々な税財政制度の変更にも耐え、区民の皆様方に質の高い行政サービスを継続的かつ安定的に提供していくために「強い財政基盤の構築」が必要であるとの認識によるものでございます。
多様化し、増大するニーズに即応しつつ、行財政効率化の内部努力に取り組むことは極めて厳しいことであります。しかしながら、少子高齢化が進展する未来に目を向け、将来に負の遺産を先送りしないために奮励努力することこそが、未来志向の行政運営の土台となるものであり、次の世代への最大の「贈り物」になると確信しております。

「今を変える」具体的施策

(1)生活環境条例

今を変える具体的施策として、第1は地域社会を含め、社会全体で人への思いやり気遣いなどマナーが欠落している状況への対応であります。
私は、特に道路など公共の場で顕著に見られる歩きタバコやポイ捨てを抜本的に変革する必要性を強く感じておりました。
そこで、平成14年10月から施行した「生活環境条例」があります。この条例は、歩きタバコ・ポイ捨て・空き缶・ペットボトルの投げ捨て禁止を含め、千代田区内の街全体の環境美化を強力に推進することにあります。その結果、主要道路沿いは、この10年間で見違えるようにきれいになり、その様相は一変しました。
一方、ホテルやレストランなどでの受動喫煙防止対策を盛り込んだ健康増進法の施行もあり、裏通りや公園等での喫煙が増加し、様々な課題が表面化してきております。しかし、この条例は、全国の都市部の自治体へ多くの影響を与え、各自治体が本区と同様の趣旨で条例を制定し、環境美化に積極的に取り組むことになりました。

(2)幼保一元化・待機児ゼロ・学童保育・中高一貫・子育て財源確保

第2は、日本の次代を担う子どもたちに向けた次世代育成施策(0歳~18歳まで)であり、このことこそ、喫緊の重要な課題であると認識しております。
その1点目は、幼稚園と保育園という就学前の子どものための施策であります。
従来は、就学前の子どものための施設は、共働き世帯等の「保育に欠ける子ども」を対象とする保育園と、3歳以上の「保育に欠けない子ども」を対象とする幼稚園という2区分に分かれていました。しかし、幼稚園も保育園も義務教育就学前の子どもの健全育成のための施設であることに変わりありません。むしろ、保護者の就労状況によって子どもの就園先を区別するような制度・仕組みそのものを抜本的に改革する必要があると考えました。
その具体化として、平成14年4月、幼稚園と保育園を一元化した、千代田区独自の「こども園」を全国で初めて創設しました。こども園は、子どもと保護者の視点に立ち、「保育を必要とする」すべての子どもが、等しく良質な幼児教育・保育を受けられる施設であります。この施策も、千代田区の取り組みを契機に全国の自治体へ波及しております。
このことは、国の教育を担う文部科学省と乳幼児養育を担う厚生労働省の縦割りの厚い壁を打破したものであり、動きの遅い国も重い腰を上げ、平成18年の「認定こども園」制度の創設につながりました。

2点目は、仕事と子育ての両立を支援する「保育園の待機児童ゼロ対策」であります。
平成15年から、認証保育所の誘致や区立保育園の定員の弾力化を実施し、平成14年から21年まで待機児童ゼロを継続してきました。
現在、わが国は、出生数が年々減少する少子社会でありますが、本区の充実した次世代育成支援施策を頼る子育て世代の本区への転入が急増し、本区の0歳から5歳の乳幼児人口は、過去10年間で約5割増となり、子どもの声が響くまちへと変化してまいりました。
その反面、平成22・23年には、丸9年ぶりに保育園の待機児童が若干名発生しましたが、今後とも、待機児童ゼロをめざし、取り組んでまいります。

3点目は、小学校就学後の学童保育であります。保育園卒園後の保護者の大きな心配事は放課後に子どもを預かる学童クラブに入会できるかであります。
そこで、平成14年から、全国的にも珍しい、学校施設を活用した民設民営の学童クラブ、「アフタースクール事業」を開始し、その増設を図り、学童クラブの待機児童ゼロを実現してきました。その際、小学校3年生までは全員受け入れることとし、高学年の6年生までは希望のある家庭の受け入れを可能とし、最長、午後7時までの延長を実施しております。

4点目は、中学校と高等学校の6年制の中高一貫教育校の創設であります。
中等教育学校は、高等学校への進学率が高まり義務教育化した今日、心身ともに急激に成長する6年間を高校受験の重圧から開放し、子どもの個性や資質に応じてその長所を伸ばすよう指導するとともに、在来型中学校とあわせて公立学校における教育の復権をめざすものであります。
そのため、平成18年4月に、都内区市町村で唯一の区立中等教育学校として創設したものであります。

5点目は、本区の地域特性を踏まえた施策であります。
千代田区は、住居費を始め生活にかかわる経費、いわゆる「生活コスト」の非常に高い地域であります。そのため、子育てにかかわる経済的負担の軽減と、子どもが怪我や病気に罹患しても安心して医療機関を受診できるよう、次世代育成手当の創設や0歳から18歳までの医療費の無料化を図りました。
なかでも、高校生医療費無料化は、23区で唯一の制度であり、次代を担う子どもたちの健全な育成を進め、安心して子育てのできる千代田区づくりにつながるものと考えます。
このような子育てに関する施策を進めるためには、財源的裏づけが必要・不可欠であり、区の最大の自主財源である特別区民税徴収見込み額の約1%を、子育て施策の新規・拡充事業に充当することを定めた全国で唯一の「子育て施策の財源の確保に関する条例」を制定したのもそのためであります。

(3)高齢者対策

次に、第3は高齢者対策であります。
超高齢社会にあって、生活への不安、とりわけ介護問題はますます深刻になってきております。国は、介護保険制度を設けていますが、在宅での生活を望む区民の目から見ると、介護保険制度の枠内で利用できるサービスと、実際に必要とされるサービスとの間には隔たりがあり、介護保険だけでは十分とはいえない現実があります。区としては、この差を埋め、介護問題解決に向けて、工夫をしていかなければなりません。
そこで、特に在宅で介護を受ける方々に対し、介護保険では、十分賄いきれない在宅での介護サービスを平成14年度から独自に拡充することといたしました。具体的には、紙おむつの支給、介護度に応じたサービス時間の上乗せを行うホームヘルプサービスなどを、介護保険の枠外で実施しております。これにより、介護サービスや在宅支援サービスの水準を確保しながら、介護保険料負担の軽減を図っております。
さらに、日常生活圏域で高齢者の様々な相談の拠点となる「高齢者あんしんセンター」には、区独自に、在宅医療福祉・認知症相談員の看護師をはじめ、国の基準の倍以上の専門職員を配置し、体制を強化しております。これにより、ケアマネジャーと連携しながら、介護保険や区独自施策などの制度の区別なく、サービスをコーディネートして、一体的なサービス提供につなげております。
また、計画中の(仮称)高齢者総合サポートセンターも、医療保険制度と介護保険制度の狭間を埋め、医療と介護の緊密な連携を具現化する施設として整備するものであります。
一方、後期高齢者医療制度が導入された折には、本区では独自に、75歳以上の方が病院等へ入院された際の医療保険外の諸経費を年10万円を限度に助成する制度も創設しました。ひとり暮らし等の高齢者の方が入院した際にヘルパーを派遣する入院生活支援事業もあわせ、このような高齢者向けのサービスは、これからの高齢者医療を見据えた制度として創設をしたものであります。
このように、高齢者対策においても、国の制度だけに安住することなく、未来を見据えた区独自の施策を推進してきております。

I 平成24年度予算(案)について

それでは平成24年度予算(案)について申し上げます。
平成24年度予算は、これまで申し述べたような、未来に目を向け、将来に負の遺産を先送りしないという取り組みを継続的に実施することを踏まえ、編成したところでございます。そして「選択と集中」の視点に立ち、「次世代育成に関する取り組み」や高齢者福祉をはじめとする「保健福祉に関する取り組み」を重点事項として位置づけ、地域の実情を踏まえた独自の施策展開を図りました。
一方、東日本大震災時の混乱により、本区においても災害対策をはじめ多くの問題点や課題が浮き彫りとなったことを踏まえ、防災対策の抜本的な見直しなどの「危機管理に関する取り組み」についても、重点事項に加え、様々な課題に迅速、的確に対応するための予算としたところであります。
一般会計の予算規模は、約462億円であり、前年度と比較して、約27億6千万円、5.6%の減となりました。これは主に、麹町中学校の整備や日比谷図書文化館施設整備などの減によるものでございます。
国民健康保険事業会計などの3つの特別会計の合計は約102億円であり、前年度と比較して、約5億円、5.1%の増となりました。これは、いずれも保険給付費などの増によるものでございます。
特別会計を含めた全会計の総額は、約564億円で、前年度と比較して、約22億6千万円、3.9%の減となっております。
次に、平成24年度に取り組む主な施策について申し上げます。

II 子ども関連施策について

まず、子ども関連施策について申し上げます。

発達支援・特別支援教育の推進

特別な支援を必要とする子どもに関する施策についてであります。
近年、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)、高機能自閉症等の発達障害がある子どもが増えております。
このため、平成17年に発達障害者支援法が制定され、また、平成18年には学校教育法が改正されて、従来の特殊学級に変わって特別支援学級が制度化されました。これに伴い、特別な支援を必要とする子どもへのきめ細やかな対応や、小・中学校における特別支援教育の重要性が高まってきております。
本区では、発達障害のある就学前の子どもを対象に、心理・言語・作業療法などを行う療育事業を実施しており、現在、78名の就学前の子どもが参加しています。事業の成果が周知されてきたこともあり、参加者が年々増加傾向にあります。
こうした状況を踏まえ、本年11月を目途に「(仮称)子ども発達センター」を開設し、年齢や発達段階に応じた小集団指導の導入など特別な支援を必要とする子どものための事業の拡充を図ってまいります。
また、小学校1年生まで対象者を拡大することにより、小学校就学という環境変化に対し、継続的に支援してまいります。
さらに、小・中学校における特別な支援を必要とする児童・生徒については、これまで千代田小学校と神田一橋中学校それぞれに、固定学級と通級指導学級を設置していましたが、本年度から、九段小学校においても校内通級指導の試行を開始しました。
本年4月からは、新校舎が竣工する麹町中学校に神田一橋中学校から固定学級を移設するとともに、校内通級指導も拡大します。なお、神田一橋中学校には、引き続き通級指導学級を設置し、在籍校における個別支援の充実を推進してまいります。
今後とも、個別のニーズがある子どもが安心して育まれるよう、適切な時期に効果的な支援を実施するとともに、義務教育における支援・指導の充実を図り、学校・園に在籍するすべての子どもが自己を生かす能力を養い、可能性をよりよく伸ばしていけるよう、発達支援・特別支援教育の充実に取り組んでまいります。

幼稚園と保育園のあり方

次に、今後の幼稚園と保育園のあり方についてであります。
区では、これまで、区立小学校全校に幼稚園を併設し、幼稚園と小学校6年間の幼・小連携教育を推進するとともに、女性の社会進出や共働き家庭の増加などに伴う保護者ニーズに対応した取り組みを行ってまいりました。

その一例として、平成14年4月に創設した、千代田区独自の幼保一元化園である「いずみこども園」は、保護者の就労状況にかかわりなく、0歳から5歳までの子どもの一貫した育成指針に基づき、保育を必要とするすべての子どもが質の高い幼児教育・保育を受けることができるものです。
また、平成22年4月には、区立で2園目となる「ふじみこども園」が開設し、この結果、現在、区立の就学前の子ども施設としては、幼稚園6園、保育園4園、こども園2園の計12園を整備し、多様なサービス提供に努めてまいりました。
こうした取り組みの結果、保護者が個々の家庭状況等に応じ、幼稚園、保育園、こども園を選択できるようになった反面、いわば「保育転入」とも言うべき状況が生じ、保育園の待機児童発生につながったものと分析しています。今や、保護者が住まいを選択する際、地域の子育て環境が大きな判断材料になる時代になっているものと考えております。
その反面、課題も明らかになっております。たとえば、幼稚園には通園区域がありますが、保育園にはなく、保育に欠ける度合いにより入園が決定される仕組みのため、自宅から遠方の園に通園しなければならない事例や兄弟姉妹が別々の園になってしまう事例、さらには、一部の幼稚園の小規模化の進行などであります。
このため、保護者の居住年数や兄弟姉妹の優先入園などに配慮した独自の入園要件を設定し、既存の幼稚園に長時間保育課程を設けることで、保育供給総量の拡大による地域の保育ニーズに応えるとともに、あわせて幼稚園では対象とならない3歳未満児の保育機能を併設した、新しいタイプの幼保一体施設である(仮称)昌平幼保一体施設を本年4月に開設します。
さらに、平成25年度には、千代田幼稚園も同様の幼保一体施設として開設する予定で準備を進めています。

しかし、保育時間の短さや、長期休業期間のある幼稚園に、通わせたくとも通わせられない共働き家庭の増加や保育園の待機児童ゼロをめざしていくためには、課題が山積しているものと認識しております。
全国的にも、大都市部を中心に幼稚園の園児数は年々減り続ける一方、保育園の待機児童の解消は、なかなか進まない状況にあります。
こうした社会経済情勢の変化を踏まえ、現在、国の「子ども・子育て新システム検討会議」では、質の高い学校教育・保育の一体的提供や保育の量的拡大等を目的とする幼保一体施設の検討が進められております。
国は、平成25年度の制度創設をめざし、約3年間のうちに、全国で約2万3千か所ある保育所の大半を幼保一体施設に移行させる方針と聞いております。
このように、就学前の子ども施設については、今後、大きな変革期となることも予想されますが、国の動向を十分把握し、幼児期は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な時期であることを念頭に据え、未来を担う子どもの健やかな成長を支援してまいります。

III 高齢者施策の推進について

次に、高齢者施策の推進について、申し上げます。
いわゆる「団塊の世代」の方々が、平成27年には、65歳以上、令和7年には、75歳以上の年齢を迎えます。平成24年度からの3年計画として、現在策定中の「第五期介護保険事業計画」の推計によると、平成26年度には、本区においても、65歳以上の高齢者が、9%増加すると見込まれております。さらに、特に75歳以上になると、介護が必要になる方の割合が増加するため、要介護認定者数は、17%増の2,289人と、高齢者数の伸び率以上に増加する見込みとなっております。
このような高齢化の一層の進展のもと、今後、介護・在宅支援のニーズは、ますます増加するとともに、「認知症への対応」や「介護・医療の連携の強化」など、むずかしい対応が求められてまいります。また、限られた財源の中で、区民負担にも配慮しながら、サービスの拡充に対応していかなければなりません。
このような状況を踏まえ、高齢者の方が、介護が必要になっても住み慣れた家や地域で、安心して暮らし続けることができるよう、様々な工夫をこらし、さらなる高齢者施策の推進に取り組んでまいります。

まず第1は、第五期介護保険事業計画における介護保険料の上昇抑制であります。
要介護認定者の増加などにより、介護給付費の急激な増加が見込まれる中で、仮に、紙おむつ支給や在宅支援ホームヘルプサービスなどの区の独自サービスを介護保険に組み入れて実施するとした場合、介護保険料の基準月額は、6,650円になります。
しかし、施設と在宅の格差解消をめざし、これらのサービスを引き続き一般施策で実施するとともに、新たに、負担能力に応じた保険料段階の見直しなどを行うことにより、保険料の基準月額を、5,200円に抑えることとしております。

第2に、今後、さらに高まる在宅療養のニーズに応えるため、介護と医療の連携を強化し、在宅療養支援ネットワークを推進してまいります。
区はこれまで、「在宅医療・介護連携推進協議会」を設置し、医療と介護の連携方策を検討する中で、「医療と介護の連携マニュアル」の作成や「在宅療養機関名簿」の整備を行うなど、在宅療養ネットワークの基盤づくりを行ってまいりました。
平成24年度は、介護と医療の連携の具体的な取り組みとして、「認知症対策」と「退院支援」を重点的に進めてまいります。
「認知症対策」としては、認知症に早期に気づいて医療へつなげたり、本人や介護にあたる家族への適切な支援が図れるよう、地域の医療や介護の関係機関の地域連携の仕組みを強化し、「認知症受診ガイド」の作成などに取り組んでまいります。
「退院支援」とは、病院からの退院後、円滑に在宅療養へ移行できるようにするものです。そのため、病院や介護事業者と連携し、具体的な事例検討やケアカンファレンスを積み重ね、退院支援の強化に繋げてまいります。

第3は、在宅ケアの充実に向けた取り組みとして(仮称)高齢者総合サポートセンター開設に向けた準備を進めるとともに、「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」の平成25年度導入に取り組みます。
介護保険法の改正により、新たに導入されるこのサービスは、一日に複数回の訪問介護と、24時間態勢のヘルパー・ナースコールを組み合わせたもので、これにより、介護が必要な単身や中重度の高齢者の方でも、安心して在宅で暮らしが続けられるケアを目指してまいります。
このサービスは、要介護1から5の認定を受けた方が、あらかじめ利用契約を行い、コール用の機器を設置したうえで利用するもので、事故や容態が急変した場合は、すぐに利用することができません。
(仮称)高齢者総合サポートセンターは、こうした場合でも、24時間365日、相談、サービスコーディネートを行い、必要に応じて、介護事業者や併設病院をはじめとした医療機関と連携するなどして、緊急対応につなげてまいります。
このように介護・看護だけでなく、医療とも連携した総合的な対応をめざし、様々な取り組みを進め、その集大成として、(仮称)高齢者総合サポートセンターの開設につなげてまいります。

IV 都市の活力を高めるためのまちづくりの取り組みについて

次に、都市の活力を高めるためのまちづくりの取り組みについて申し上げます。
経済の低迷が常態化し、社会の閉塞感が蔓延する中で、わが国の都市は、人口減少、少子高齢化、グローバル化、情報化への対応を迫られております。
また、限りある天然資源を前提に考えると、経済成長のみを絶対的な目標としなくても生活の豊かさや幸福感を実感する社会、環境や福祉と経済がうまくバランスのとれた社会への移行など、人々の価値観の変化やそれに伴う生活スタイルの見直しの中で都市生活のあり方が問われてきております。
しかし、現実論として国民の生活水準を維持する原動力は、旺盛な都市活動が担っていることに変わり無く、この都市の活力を活用していくことが、今後とも重要と考えています。
その意味で千代田区が負うべき役割は、他の都市とは決定的に違うものがあります。
千代田区は、首都東京の中心として経済・行政の中枢管理機能を有し、日本の推進力を担うまちであります。同時に、歴史的に築かれてきた個性的で特色あるまちであるということです。
その「代表性」と「多様性」をうまく融合し発展させることが千代田のまちづくりには不可欠です。

今日、全国の各都市ではその活動が沈滞化していますが、急激な経済活動の落ち込みを底辺で支えるべく、都心、とりわけ千代田においては、これまで活発な都市機能の更新が行われ、今後も、様々な開発の動きが出てきております。
こうした開発は、周辺地域にも大きな影響を及ぼすことから、地域の歴史や文化に配慮しつつ地域課題の解決に繋げていくことが重要であると考えています。
すなわち、都市の開発エネルギーを単に抑制するのではなく、道路や橋梁、ライフラインなどの都市活動を支えるインフラの更新に加え、現代的課題であるバリアフリー化や都市の潤いを創出する空間形成、人中心の道路利用、更には、地方の負担を軽減するエネルギー施策、災害や危機に対する安全確保など、拠点開発を周辺地域との連携に留意し、都市を再生する力とすることが肝要であると考えています。
具体的には、飯田橋駅や御茶ノ水駅周辺では、駅舎改良に併せた駅前広場の整備、電線類の地中化、オープンスペースの確保など、それぞれの地域が望む整備の方向性を、拠点開発のエネルギーを活用して、周辺の活力の維持向上に努めてきたところであります。
時間はかかりますが、地域の方々との協議を通じて、地域の将来像や地域課題の解決の道筋を共有しながら、事業を進めております。

今後は、明治大学の建て替えと時期的に重なる「お茶の水小学校」の整備計画を視野に入れた猿楽町地域のまちづくりや御茶ノ水駅からの人の流れにそって駿河台下、東京電機大学跡地など、御茶ノ水駅から大手町に至る南北軸に新たな機能更新の機運が出てきております。
これまで同様、拠点開発相互のつながりや周辺地域の課題について地域の方々と議論を重ね、方向性を導き出していきたいと考えています。

V 議案

最後に、今回ご提案いたしました予算案件及び条例関係等の諸議案についてであります。

先ず、予算関係でありますが、

  • 平成23年度の補正予算が2件
  • 平成24年度各会計予算が4件で

計6件であります。

次に、条例関係でありますが、

  • 新たに条例を制定するもの9件
  • 条例の一部を改正するもの9件
  • 東京都後期高齢者医療広域連合の規約の一部変更1件
  • 特別区道の路線廃止1件

計20件で、今回の付議案件は、合計26件であります。

この他、契約関係4件、損害賠償請求事件の和解2件で、専決処分の報告が計6件であります。

なにとぞ、諸議案につきましては、慎重ご審議の上、原案どおりご議決賜りますようお願い申し上げまして、平成24年第1回区議会定例会開会のご挨拶といたします。

平成24年2月17日 千代田区長 石川 雅己

※本文は口述筆記ではありませんので、表現その他が実際の発言とは若干異なることがあります。

お問い合わせ

政策経営部総務課総務係

〒102-8688 東京都千代田区九段南1-2-1

電話番号:03-5211-4134

ファクス:03-3239-8605

メールアドレス:soumu@city.chiyoda.lg.jp

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