更新日:2024年4月24日

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まちづくりコラム

千代田区都市計画マスタープランの改定に向けて、まちづくりの最新情報等をコラム形式でお伝えします。

コラム1 Society5.0がイメージする社会

Socioety5.0とは、すべての人々とモノが情報でつながるIoT(Internet of Things)や人工知能(AI)、5G等の情報ネットワーク技術の進化・高度化による自動運転技術やエネルギー技術の進化などを産業や社会生活に取り入れて、イノベーションを創出し、一人ひとりのニーズに応じた社会的課題を解決していこうという新たな社会の考え方です。

コラム2 ダイバーシティ社会の創造性

ダイバーシティ社会(共生社会)とは、性別や国籍、年齢、障害の有無などに関わりなく、多様な個性が力を発揮し、共存できる社会のことです。多様な背景を持った人々や価値観を包含し受容する社会で、そこから生まれる創造性や競争力が社会の力の源泉になると期待されています。

コラム3 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の経験がまちづくりに与える変化

新型コロナウイルス感染症の感染拡大や緊急事態宣言のもとでの生活を経験して、通勤・通学のスタイルや人との接し方、コミュニケーションのとり方、商業地や飲食店街の賑わい、イベント、交流のあり方など、我々がこれまで「常識」と考えていたこと・状態が変化を起こし、新しい「常識」(=ニューノーマル)に移行してきています。

都心のあり方は変わるか

自宅や近所のワークスペースなど、オフィス以外の場所で働くテレワークが急速に進展しました。また、学校の授業がオンラインで行われるなど、多くの人が対面によらず、場所を選ばない働き方、学び方を体験しました。これを契機に企業や教育機関では、ビジネスや教育のあり方を変えていこうという機運が高まっています。

こうした状況の中で、東京都心部への人や都市機能の一極集中の是正が進みやすくなるとも言われている一方、都市の存在意義、都市機能の集積の必要性は変わらないとも言われており、まちづくりを進めるに当たっては今後の動向を注視していく必要があります。

重要性を増す「リアルの場」

密の回避が求められ、直接顔をあわせて交流する機会は減りましたが、人と人との交流自体は途切れませんでした。オンライン会議やオンライン交流会、オンライン飲み会などが積極的に行われ、対面によらない交流のあり方が見出されました。

一方、オンラインでは代替し難いリアルな体験、議論、交流の場の必要性は依然として残り、今まで以上に一層価値のあるものとなりました。

質・個性で成長するまちへ

感染症などの拡大を避けるため、公共空間や個々の施設の内部に、適切な距離をとり、密を避けることができる空間が必要となりました。

そのため、これまでの単純なオフィス・住宅の量で成長する都市から、質・個性でまちの価値を創造し、成長することが必要になってくるのではないかと考えられています。

デジタル化の加速

家、職場、サードプレイスに加え、新しいプレイスとしてのデジタル空間が注目されるようになりました。ビジネス、生活物資の購入、オンラインでの交流など、さまざまなことが今まで以上にデジタル空間で行われるようになり、新型コロナウイルス感染症が収束してもこの傾向は一定程度維持されると言われています。デジタル化の流れを加速させ、データ・新技術などを積極的に活用したまちづくりが求められます。

コラム4 都心千代田から“基層文化”の醸成を

千代⽥区は、江⼾期から明治維新を経て⽇本の中⼼、⾸都の中⼼として震災、戦災、再開発で幾度も建て替えられてきました。その度に、景観は⼤きく変化してきましたが、⼟地の区画や敷地割には、むしろ古い構造が⻑く温存されています。この都市の新陳代謝には、ここで⽣まれ育った人だけでなくさまざまな⼈々の営みやつながりが息づいています。商店街や町会の緊密なコミュニティの結束力、歴史ある祭りを継承する精神性は、千代田の記憶を“⽂化”として培ってきました。この時代ごとの文化のレイヤーが積層して、千代田の“基層⽂化”となります。千代田の価値は、過去と未来をつなぐ“基層⽂化”の厚みの中に存在していると言っても過言ではないでしょう。それは、まちのしきたり、⼈々のつながり、洗練された⽴ち居振る舞い、土地への愛着や多様な表現活動など個人の身体的文化資本と⼀体となって形づくられます。

画像:千代田のまち

これからの都市計画・まちづくりにおいては、こうしたまちの“基層⽂化”が醸成される場がさまざまなスタイルで⽣まれるように、都市を構想するクリエイティブなマネジメントが非常に重要です。公共空間の利活⽤や、年輪を重ねた建物のリノベーションによる新たな価値創造など、区民の創造性が喚起される場が不可欠です。そのためにも世界的目標であるSDGsの理念を軸に、文化芸術活動、国際交流など、多様な⼈々の表現活動を寛容に受けとめる文化政策が求められています。

千代田の“基層文化”の醸成を創り出すことが、「千代田のまちの魅力と価値」を形成する具体的な取り組みになると考えます。

コラム5 江戸のまちの始まりの“始まり”~徳川氏入城の頃~

画像:千代田区刊「千代田区史(上巻)」より転写

徳川氏の江戸入城の頃、築城のための材木・石材が相模の国から運び込まれ、鎌倉から来た材木商が取り仕切っていたことから鎌倉河岸近辺に多くの人が集まり、1596年にはすでに酒屋が開業するなど、荷揚げや商いが盛んになりました。また、このころ開削された道三堀の沿岸では、従来の四日市町に加えて、舟町、材木町、柳町など、江戸先住者の町地が成立しています(それ以外の町人は、江戸前島の道三堀から日本橋にかけての埋め立て地に移住。日本橋架橋は1603年ごろ)。

コラム6 そもそも千代田区は、江戸の頃から「多様性」「先進性」のあるまち

画像:染物屋(神田紺屋町)

まちの発展に伴い、江戸にはたくさんの人が集まり、いろいろな職業が営まれるようになることで、町地には、多種多様な職人が多く住み、商店も繁盛しました。千代田区の古い町名を見てみるとその多様性が表れています。

一覧表
職種 住所

猿楽師

神田猿楽町

壁塗り師

白壁町=鍛冶町二丁目

塗師

塗師町=鍛冶町一丁目

包丁師

台所町=外神田二丁目

紺掻

神田紺屋町

鷹匠

隼町

研師

佐柄木町=神田美土代町

下駄師 下駄新道=内神田三丁目
鍛冶師 鍛冶町二丁目、神田鍛冶町三丁目
鍋売 鍋町=鍛冶町二丁目、神田鍛冶町三丁目
大工 大工町=内神田一丁目
銀細工師 新銀町=神田多町二丁目、神田司町二丁目
麹売り 麹町
  • 参考文献:目で見る千代田の歴史

コラム7 多様性の中で価値を共有し、QOLを高める

「QOL(Quality Of Life)」は、もともと医療・福祉分野で着目された観点ですが、近年、自分への褒美や評価を「QOLアップ」と表するように個々の生活の満足感や生きがいを表す概念として馴染みつつあります。

一方、まちづくりは、多種多様な人々が集まり出会う都市において、個々の要望・要求の衝突を予防し、交通整理する役割を果たしてきましたが、これからは複雑に多様化した価値観に基づく各々のQOLの向上を、人々ができる限り自由に図れるように下支えする仕組みを提供し、個々の「コト」をサポートする「モノ」を整える役割が、より重視されることになると考えられます。

特に公共スペースやコモンスペースがもたらす余白や距離感・調整余地には、多様な価値観・個性を認識しあうきっかけや、小さな共通項を丁寧に拾い出し、調整を図る機会を継続的に拡張する場として、今まで以上に活用の可能性と工夫が期待されます。そうした場で異なる価値観や要求が共存できる状態・関係(すみ分け、使い分け、多様な選択肢)が形成されることがQOLの向上につながっていきます。

また、単独では得られない豊かさ、集まるからこそ獲得できる豊かさや、人々が思いがけず出会ったり、他者と刺激しあったりすることから生まれる豊かさは、都市の最も根源的な魅力であり、活力です。個人の独立性を尊重することと同時に、こうした人が集まる場としての魅力を育てる意識も忘れてはなりません。

そうした意識を重ねていくことが、地域ごとの独自の魅力につながり、まちの質・活力を上げるとともに、個々のQOL向上を支える豊かな下地となるはずです。

コラム8 「アジャイルな柔軟さ」を追求するグリーンインフラ

グリーンインフラは、公園や緑地、河川等が持つ環境保全、防災、地域振興等の機能に着目したインフラの保全整備を指すと理解されてきました。「グリーン=緑・水・生態系」という解釈です。しかし、昨今「グリーン」は、環境保全全般を指すと理解されています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大からの復興に際し、気候変動対策等を積極的に推進する施策を「グリーン・リカバリー」と称するのは、この解釈に基づきます。よって、グリーンインフラを水・生態系に限定せず、鉄やコンクリートで造られる「グレーインフラ」であっても、環境保全の技術や施策を積極的に取り込む場合には、グリーンインフラに含まれるという考え方もあります。

しかし、もう一歩、グリーンインフラの本質は考える必要があるのではないでしょうか。グレーインフラは、計画や設計図に基づき竣工し、最良の初期状態を維持すべくメンテナンスし、一定以上に老朽化が進むと取り壊されます。時間軸の中で「計画・設計→建設→竣工→メンテナンス→廃棄」と進行します。それに対して、例えば日本庭園はどうでしょうか。一定の設計のもとに作庭されますが、初期状態は必ずしも最良ではありません。木々の成長や樹形の変化、枯死など、時間軸のなかの「変化」を受け止めつつ、庭園全体としてのバランスを図りながら、その時々の姿を整えようとします。完成形としての竣工と、初期状態維持のためのメンテナンスといった区分けがなく、変化を前提に、不断に作り続けられるのが日本庭園です。

グレーが固定的な目標設定とその長期的維持を基調とする「予定調和的な堅固さ」を求めるのに対し、グリーンは変動する様態を受容し、その時々の状況に即応した調和を目指す「アジャイルな柔軟さ」を求めます。グリーンインフラの本質は、この発想にあるのではないでしょうか。システム開発に喩えるなら、グレーインフラがウォーターフォール型、グリーンインフラがアジャイル型であり、集合住宅建設になぞらえるなら、前者がスケルトン、後者がインフィルとなります。

今後我が国は、感染症の蔓延のみならず、気候変動や地震など予期せぬ激甚災害に襲われることが危惧されています。社会資本整備についても、これまでのような「予定調和的な堅固さ」だけでは、こうした災害に十分に対応することは困難でしょう。ダメージを受けても速やかに復旧・復興し得るレジリエンスが求められる時代にあって、「アジャイルな柔軟さ」を旨とするグリーンな発想にもとづく社会資本整備は、これからの日本の都市や社会のあり方を考える鍵の一つとなるでしょう。

コラム9 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の経験を経て変わる住宅・オフィスのあり方

新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりテレワークが進展し、どこでも働ける環境が整ってきました。これに伴い、都心や利便性の高い近接エリアでの居住の魅力が薄れ、郊外居住のニーズが高まるという意見がある一方、さまざまな都市機能が集中する都心の価値・魅力は変わらず、都心居住の動向には影響がないという見方もあります。オフィスについては、これまで全従業員が出勤していたものが、テレワークの進展によって一部の出勤に限定されることで余剰が生じる可能性や、オフィスを分散させる動きが考えられます。一方で、1人当たりのオフィス床面積は十分ではないという意見や、リアルな議論・交流の場としてのオフィスの重要性は変わらないという意見もあります。

さまざまな見方がありますが、これまで「できない」「仕方ない」と思われていたことを問い直し、生活にとって何が大事なのかといった価値観を見直す転換の機会になっていることは確かです。その中で、社会状況や人々の考え方を注視しながら成熟した都市として目指す姿を共有し、どのような機能を充実させるかを検討していく必要があります。

こうした変化に際して重要になってくるいくつかの観点を挙げてみます。

まず、量から質へという観点です。長年、東京への一極集中が進む過程で、建物の床面積を増やすことが不動産的価値であると捉えられ、特に都心ではオフィスも住宅も高層化してきました。しかし、働き方が多様化するとともに、オフィスの床面積=量だけを価値とするのではなく、良好な居住・労働環境=質を価値として見直していくときがきているのではないでしょうか。

質を考えるときの大事な観点の一つが、実空間や体験の価値です。人に会うことや場所に行くことの一部がオンラインやバーチャルで代替できるという認識ができてきた反面、直接人に会うことや集まること、その場所に身を置き文化を体験することは代替し難いということも再認識されつつあります。都心は多様な人・モノ・コトが時間的にも空間的にも集積してきた場所なので、今こそ実空間の価値を活かしていくべきでしょう。

最後に、持続可能性は、現在そしてこれからの都市づくりにおいて欠かすことのできない観点です。都市には、ある程度集約的に住むことでエネルギー使用の効率を高め、無秩序に市街地を拡大しないことで自然環境を守るという側面もあります。どこでもテレワークができるからといって、ただ密度低く住めば良いということでもないでしょう。徒歩、自転車、公共交通機関などを使って生活できるような密度や規模、機能配置を考えていく必要があります。

コラム10 官民連携による都心生活を豊かにする空間創出・活用

千代田区では、都心の環境を楽しみ、心地よく過ごせる空間の多様性が増しています。公園・緑地等の公共空間や大規模な開発による空間創出に加えて、都心で休日を楽しむイベント等への活用、土地の暫定的利用による子どもの安全な遊び場創出など、官民の連携で豊かな空間づくりが進展しています。

写真:歴史を感じながらくつろげる公園・緑地(日比谷公園)

写真:休日を楽しむ活動に活用される空地(神田錦町)

コラム11 ウィズ・アフターコロナに対応した緑・オープンスペースの魅力と役割

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、自宅で過ごすことが増え、緑・オープンスペースの魅力に改めて気づくことになりました。張り詰めた日々の中でもリラックスして過ごすことができる緑のある屋外空間は、身近になくてはならない存在です。その中でも公園は、屋外のテレワークの場として、運動不足やストレス解消のための大人のスポーツの場として、新たな利用もされはじめています。これまでも緑・オープンスペースは日常的に地域のコミュニティ拠点となるだけでなく、有事の際には防災拠点になるなど活用されてきました。今後はグランピング、アーバン・ファーミング(農業)、アートなど、楽しみながら過ごす滞在拠点になることも期待されています。ニューヨーク市では、歩行者や自転車利用者の移動に伴う社会的距離を確保するために車道を歩行者天国化したり、飲食店舗の室内での密を避けるために歩道空間にテラス席を設置したりするなど、コロナ禍における街路空間をはじめとしたオープンスペースのあり方を探っています。今後、オープンスペースは、本来の利用目的や空間の種類・区分に捉われず、変化する利用者のニーズに合った空間を整備・活用していくことが求められます。

多様な活用・運用の例

  • 屋外テレワークの場として、Wi-Fiが利用できる公園など、オープンスペースの整備
  • 公園内のキッチンカーにおいて、キャッシュレス決済などICTを活用した行列の抑制
  • 歩道等の道路空間を活用して飲食店舗などの店先にテラス席を拡張することによる過密の回避
  • 感染症拡大時や大規模災害時のバッファとしての防災機能を持たせた空間の活用
  • 非常時の退避場所や救急・救援等の活動のためのスペースと連携した過密の緩和

コラム12 河川軸と道路軸の連携による「河岸地ルネッサンス」

千代田区は、首都東京の中心にありながら、内濠、外濠、神田川、日本橋川など都心部でも特に水辺環境の豊かなエリアです。神田川と日本橋川の沿線徒歩10分圏内には約10万人の住民が暮らしており、就業人口は約115万人に達します。

ウィズ・アフターコロナを経験して、時には賑わい、時には適度な疎を作ることのできる開放的で回遊性のある都市を考えるうえで、水辺の重要性が再評価されており、都市と自然生態系の接点として、都市のQOL向上には、沿川、とりわけ河岸地の整備・活用は極めて有効と言われています。

海外の大都市では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、ソーシャルディスタンスとトラフィックコントロールを両立させる都市のあり方(「スロー・ストリート|セーフ・ストリート」)の試みも始まっており、千代田区においても、神田川、日本橋川の河川軸と直行する道路軸を連携させた歩行者ネットワークを形成することが効果的であると考えられています。

都市における水辺空間の機能とその活用

  1. 人々に精神的な癒しや安らぎをもたらす(バイオフィリア=人間は本能的に自然とのつながりを求めるという考え方)
  2. 人々に運動やコミュニティの機会を提供する
  3. 都市の回廊空間として、都市の骨格を形成し、新たな経済活動を生み出し、コミュニティ環境をもたらす

ウィズ・アフターコロナにおける持続可能な都市の形として、水辺空間とりわけ河岸地の再生と河川軸、道路軸の連携による新たな都市の再興(「河岸地ルネッサンス」)を進めることは、水辺に恵まれた千代田区の特質を活かした都市空間の再構築を行う絶好のチャンスとなります。

そのため、水辺空間としての河岸地については、新たな時代の都市骨格たる公共空間として位置づけ、水辺空間の機能とその活用方策を整理し、敷地単位を超えたスケールでの再生ビジョンを明確にして実現を目指す必要があります。それには既存制度やその運用の見直しも必要となるため、河岸地の現状を踏まえた誘導方策やその手法の検討が重要となります。

コラム13 千代田区の個性ある界隈やその風景を彩る大切な要素【例示】

江戸城の遺構、江戸から首都東京の進化の過程で建設された歴史的建造物や土木遺構が、史実や小説に描かれた物語、地域の人々が受け継いできた祭りや文化と重なり合って、個性ある界隈やまちかどの風景を彩る一つ一つの要素が歴史の味わいや風情、まちの魅力を感じるアクセントになっています。

  • 江戸城の見附跡
  • 天下祭りとまちのまとまり
  • 風格ある街並みの面影を伝える歴史的建造物等
  • 土木遺産
  • 都心生活を豊かにする建物低層部の店舗
  • まちに息づく風情・味わいある建物・生業
  • 芸術活動の場としてのリノベーション
  • 文化人が居を構えた番町文人通り

コラム14 三密回避で進むまち・駅・道路空間・歩行空間の変化

これまで公共交通機関における過密の回避は、主に快適性・利便性の観点に基づくものでしたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、安全・安心の観点からも一層求められるようになりました。感染リスクを踏まえた人の適切な密度を保つ空間の確保やICTの活用により、過密を避け、安心して利用できる環境を整備することが求められています。

道路空間・歩行空間においても、人とひととの適度な距離を保てるよう、ゆとりある歩行空間の確保や自動車交通量等の動向を踏まえた歩行者中心の空間再編などが必要になってくると考えられます。また、「通行のための空間」としての利用から、近隣の建物内の密を回避するための、これまでの枠に捉われない使い方についても検討が必要だと考えられます。

ICTを活用した新技術などを積極的に取り入れていくことも必要になってきます。すでに将来的な実装が見込まれる自動運転や、さまざまな交通手段を一つのサービスに統合しシームレスにつなぐ「MaaS」の取り組みについて積極的に導入を進めていくことが考えられます。このほか、リアルタイムな人の移動の動きをまちに設置したセンサーで収集し、デジタル空間で膨大なデータをAI技術で分析、シミュレーションを行って、過密化しやすい場所を可視化してアラートを発信したり、過密を避ける、あるいは緩和する移動のマネジメントを行ったりすることなども考えられはじめています。

こうした新たな可能性にチャレンジするには、個人情報に関する情報セキュリティなど、クリアしなければならない課題も多く、試行錯誤していくことが求められています。

密を避けるためのアイデア

  • リアルタイム情報等の提供による公共交通機関の利用者の最適化
  • 交通を利用するための交通結節点にとどまらない、憩いやゆとりをもたらす駅・まち一体の空間
  • 歩行者を優先し、歩行者空間に密をつくらない人感センサーに基づく信号機

など

コラム15 過密を避ける都心の多様な避難方法の確立に向けて

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の経験を経て、感染症と自然災害が同時に発生した際に、避難所が過密になり感染症が拡大するリスクが高くなることから、従来の基準で定められた収容可能人数を収容しきれない可能性が指摘されています。感染症に対応するためには、感染リスク抑制と避難を両立させた避難所運営を検討するとともに、公的な避難場所・避難所以外の新たな避難空間の確保と避難者数の抑制が不可欠です。

特に都心部においては避難のための施設が限られている中、公的な指定のない施設や民間施設などの協力・活用による避難所の量的確保や、感染症リスクが相対的に低い公園等のオープンスペースや屋外の公共空間などを災害時に活用できる空間として検討する必要があります。また、在宅避難の促進による避難者数の抑制が必要であり、そのためには災害に強い住宅を一層誘導していく必要があります。あわせて在宅避難者に対する支援機能も拡充する必要があります。

コラム16 都心における未利用・再生エネルギーのポテンシャル

政治やビジネスの中枢機能を抱え、活発な開発動向や高度な都市機能の集積によってエネルギー需要が高い千代田区には、下水道やビルの排熱、地中熱、地下鉄の排熱などさまざまな未利用・再生可能エネルギーのポテンシャルがあると言われています。以下の図では、今後、脱炭素化を先導する都心へと進化していくための第一歩として、地域特性や未利用・再生可能エネルギーのポテンシャルを可視化しています。

画像:都心における未利用・再生エネルギーのポテンシャル図

お問い合わせ

環境まちづくり部景観・都市計画課都市計画係

〒102-8688 東京都千代田区九段南1-2-1

電話番号:03-5211-3610

ファクス:03-3264-4792

メールアドレス:keikan-toshikeikaku@city.chiyoda.lg.jp

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