更新日:2022年1月27日
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大気汚染とは事業活動や産業活動など、人間の活動によってさまざまな汚染物質が大気中に排出され大気が汚染されることをいいます。主な原因物質のうち二酸化硫黄や一酸化炭素は一時期に比べ大幅に改善されましたが、二酸化窒素、浮遊粒子状物質、オキシダントについてはなかなか改善されていません。
大気汚染の主役は、燃料の使用状況や自動車の普及などと密接なかかわりをもち、変化してきました。昭和30年代までは石炭燃焼による黒煙・スス・粉じんが問題でしたが、昭和40年代になると石油燃焼に伴う硫黄酸化物が問題になってきました。さらに自動車の普及が進むなかで、昭和45年には自動車排出ガスによる鉛公害や光化学スモッグが発生しました。昭和49年には酸性雨が観測されるなど、大気汚染は多様化し、広域化してきました。
近年では、自動車排出ガスによる二酸化窒素、浮遊粒子状物質、オキシダントの汚染が改善の課題となっています。
大気汚染防止対策として、自動車の排出ガス規制など全国的な問題は国が担当し、大規模な工場や発電所などの発生源の規制や、自動車交通量の削減など広域的な課題は東京都が取り組んでいます。千代田区では国や都と協力し、公害発生源の監視や規制を行う一方、区役所内に公害測定室を設置し大気汚染状況を監視しています。
物質 |
環境基準 |
対象区域 |
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二酸化硫黄 |
1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ1時間値が0.1ppm以下であること |
一般公衆が通常生活する地域 |
浮遊状粒子物質 |
1時間値の1日平均値が0.10mg/立方メートル以下であり、かつ1時間値が0.20mg/立方メートル以下であること |
一般公衆が通常生活する地域 |
一酸化炭素 |
1時間値の1日平均値が10ppm以下であり、かつ1時間値の8時間平均値が20ppm以下であること |
一般公衆が通常生活する地域 |
光化学オキシダント |
0.06ppm以下であること |
一般公衆が通常生活する地域 |
二酸化窒素 |
1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内またはそれ以下であること |
一般公衆が通常生活する地域 |
(注釈) 環境基準は、環境基本法に基づき、人の健康を保護するとともに、生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準をいいます。
詳しくは、千代田区の環境(大気汚染・騒音振動・水質汚濁・環境測定資料集)をご覧ください。
アスベストは鉱物の繊維で耐火、断熱、吸音効果に優れ建築物の鉄骨や壁面に吹き付けて使用されているほか、壁や天井にスレート、セメント板として加工、使用されてきました。別名「石綿」とも呼ばれています。
しかし、空気中に漂っているアスベストを吸い続けると、肺疾患などの呼吸器系の病気や肺がんをひきおこす恐れがあります。
平成2年4月からアスベストの飛散防止を目的に、吹き付けアスベストを含む建築物等の解体工事における届出制が実施され、アスベストを使用している建築物の解体・改修工事を行う場合は区に届出をし、事前の審査を受けることになりました。その後、東京都の環境確保条例や大気汚染防止法が改正され、建築物の延床面積等で届出が義務づけられています。
工場や事業所における事業活動や暖房に伴い、硫黄酸化物、窒素酸化物、ばいじんなどの大気汚染物質が発生します。これらを発生するボイラーや焼却炉は、大気汚染防止法や環境確保条例に基づき規制されています。
硫黄酸化物を低減化するためには、硫黄分の少ないガスなどへの燃料転換が効果的です。また、窒素酸化物排出量を低減化するためには、良質な燃料の使用、低NOxバーナーの使用、適切な燃焼管理などが必要です。
丸の内、大手町から内幸町にかけての地区や紀尾井町、神田駿河台などビルが集中している地域において、地域冷暖房による熱供給システムの整備がすすめられています。これにより、省エネルギーが推進するとともに大気汚染物質の削減されるものと期待されています。
焼却に伴い発生するダイオキシン類を抑制するため、平成12年にダイオキシン類対策特別措置法が施行され、火床面積が0.5以上の廃棄物焼却炉は届出が必要となりました。
環境確保条例では、ダイオキシン類の発生やばいじん等による生活環境被害を防止するため、一定の条件を満たす焼却炉を使用する場合や伝統行事等に伴う場合を除き、原則として廃棄物等の焼却を禁止しています。
ごみの分別とリサイクルの徹底を図り、焼却するごみを少なくすることで、ダイオキシン類の発生量を減らすことができます。
大気汚染物質のうち窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)は、その多くが自動車の排出ガスから発生しており、中でもNOxの7割、PMのほとんどはディーゼル自動車から排出されています。
都民の健康を回復し、きれいな空を取り戻すために、東京都はディーゼル自動車の都内運行規制や、PM除去装置取り付けや低公害車に買い替えるための助成を行っています。千代田区は、自転車や電車の使用を呼びかけるなど普及啓発活動を行っています。
光化学スモッグとは、自動車や工場などから排出された窒素酸化物や炭化水素が、太陽光線(紫外線)を受けて光化学反応を起こし、オゾンを主成分とする酸化性物質(オキシダント)の濃度が高くなる現象です。
オキシダント濃度が高くなるのは初夏から夏にかけての4月~9月で、日ざしが強く、気温が高い、風の弱い日に光化学スモッグが発生しやすくなります。光化学スモッグは目のチカチカやのど・鼻の痛み、植物への被害などの影響を及ぼします。
千代田区では注意報等が発令されると、出張所、体育館などに表示板を掲げるとともに、防災行政無線で近隣の人達や来庁者にお知らせして被害の予防に努めています。
光化学スモッグ注意報が発令されているときは、屋外での運動を避け、なるべく屋内に入るようにしてください。また、不要不急の自動車の使用は差し控えてください。
光化学スモッグ注意報の発令状況についてお知りになりたい方は、「東京都大気汚染情報テレホンサービス」(電話番号:03-5640-6880)をご利用ください。
VOCとは、蒸発しやすい有機化合物をまとめて「VOC」といいます。身の回りにある有機溶剤や揮発油、アルコールなどが該当し、よく使われているものだけでも約200種類もあるといわれています。
ものを溶かす力や乾きやすさを活かして、主に工業的に使用されていますが、一般家庭やオフィスで使われる製品にも、VOCが含まれ、大気中に放出されるものがあります。代表的なものに、エアゾールスプレーのガス(可燃性のもの)、家庭用塗料、カー用品類、医薬品・化粧品、防虫剤(パラジクロロベンゼン)などがあります。
VOCの種類と影響
VOCには塗料やインキに使われるトルエン、金属や機器の洗浄に使われるトリクロロエチレン、ジクロロメタン等があります。VOCは蒸発しやすく、大気中に出ていくとNOXとともに太陽光を受けて光化学オキシダントを生成します。
光化学オキシダントは、目や喉への刺激等の人的被害だけでなく、農作物等の植物被害も引き起こします。また、VOCは他に浮遊粒子状物質(SPM)、微小粒子状物質(PM2.5)の生成原因にもなります。
光化学オキシダントが高濃度になりやすい気象条件は、(1)最高気温が25℃以上、(2)日照があること、(3)東京湾や相模湾から海風の進入があること、等があります。これらの条件が揃う、夏季にVOCの排出を抑えることは特に重要です。
エアゾールスプレーのガスや防虫剤などの民生品から、都内で1万トンものVOCが放出していると推計されています。暮らしの中でVOCが従来製品より少ない「低VOC製品」を選ぶなど、VOCの発生を減らすことに、ご協力をお願いします。
VOC(揮発性有機化合物)は、有害な光化学オキシダントの生成原因の一つです。
お問い合わせ
環境まちづくり部環境政策課公害指導係
〒102-8688 東京都千代田区九段南1-2-1
電話番号:03-5211-4254
ファクス:03-3264-8956
メールアドレス:kougaishidou@city.chiyoda.lg.jp
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