更新日:2021年6月1日
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令和3年第2回区議会定例会の開会にあたり、私の区政運営における所信を申し上げます。
新型コロナウイルスは感染力が強いとされる、変異ウイルスが猛威を振るい、今も収束の見通しがつかない状況が続き、区民の皆さまにおかれましては、なお不安な日々を過ごされていることかと思います。
ここに改めて、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに、現在も療養されている方々の一日も早い回復をお祈り申し上げます。
また、一年以上の長きにわたり、昼夜問わずに区民の命と健康を守るためにご尽力をいただいています医療従事者の皆さま、そして介護や子育て支援の現場で日々、利用者に向き合っている皆さまには改めて厚く御礼申し上げます。
4月23日に発出されました新型コロナウイルス感染拡大による「3回目の緊急事態宣言」は、感染力の強い変異ウイルスの影響等により、感染者数の高止まりの状況が続き、予断を許さないことから5月28日に、再度、6月20日までの延長が決定されました。
千代田区も感染拡大防止対策を強化し、感染の連鎖を断ち切るために「感染しない、させないための行動」や不要不急の外出、イベントの原則中止もしくは延期などの基本方針を定め、区施設の休館やサービスの休止などを継続し、区民の皆さまや事業者の皆さまにより一層のご協力をお願いしたところでございます。
皆様にはご不便をおかけいたしますが、引き続き、ご理解、ご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。
さて、私が今年2月8日に千代田区長に就任してから瞬く間に4か月が経ちます。
この間、区が直面する様々な区政課題を目の当たりにして、自治体の長としての責任の重さ、区民の皆さまの期待の大きさを改めて痛感させられた貴重な時間でもありました。そうした中でも、とりわけ新型コロナウイルス感染症対策は喫緊の課題であり、これまで経験したことのない社会のしくみを一変するような事態に対して、臨機応変にできうる限りの対応をしてきたというのが私の率直な実感でございます。
先の第一回定例会におきまして、私の区政運営に対する基本的な考え方をお示ししたところですが、その考え方のもと、新年度に入りましても、区民の皆さまの貴重なご意見に耳を傾けながら、「コロナ禍に打ち克つこと」に全力で取り組み、医療、経済、区民生活などあらゆる側面からコロナ対策を推進してまいりました。
急務でありましたPCR検査やワクチン接種の体制づくり、コロナの影響に伴う生活困窮者の自立支援対策、中小企業者への支援特別資金融資など日々、職員と議論を重ね、知恵を出し合い、スピード感をもって、実施させていただいたところです。
一方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は私たちに様々な問題を提起しています。
一例を挙げれば、経済の低迷や雇用状況の悪化等から、人々が抱える社会的な孤立や生活の不安が浮き彫りになっています。また、人と人との接触の抑制等から、デジタル化の推進や働き方の見直しなどが求められています。このたびのコロナ禍、さらにはデジタル化に向けた動きは、これまでの私たちの日常生活を大きく変えることになります。アフターコロナ、ウィズコロナと言われる「新たな日常」を意識しながら、社会全体のあり方が大きく変化していく中で、私たちには、見直すものは見直し、守るものは守る、そして、時代に即した取組を迅速に進めていく必要があります。
私は、区長就任後も限られた時間ではありましたが、区内外のさまざまな現場に足を運び、先進的な取組みや地域の実情を把握してきました。その際、現場で従事する方々の何気ない一言から新たな気づきをいただくこともありました。そこで得られた知見を活かし、コロナ対策はもとより、子育て支援や高齢者対策、環境問題など山積する区政課題の解決に向けて誠心誠意取り組む所存です。そして、地域に足を運ぶという姿勢を基本に、区民の皆さまの切なる期待に応えられるように努めてまいります。
私は「コロナ禍に打ち克ち 千代田の新時代を築く」基本的な姿勢を崩さずに、6万7千人の千代田区民の命と健康を守る事を最優先とし、千代田区の繁栄と明るい未来へつながる施策の充実に力を注いでまいる決意でございます。引き続きご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
次に、新型コロナウイルス感染症対策について、申し上げます。
感染抑制対策として期待されています新型コロナワクチン接種が千代田区でも先行して医療従事者、高齢者施設入所者を対象に開始されました。加えて、先週5月24日からは区内5か所の会場におきまして、65歳以上の区民の方々への集団接種もスタートいたしました。
集団接種の実施にあたり、地域医師会や区内の医療機関、千代田区薬剤師会等の皆さまには、準備の段階から、大変なご協力を賜り、深く感謝申し上げます。
接種予約については、既に高齢者約8300人、約7割の方からご連絡をいただいており、概ね順調に進んでおります。
また、接種日当日のキャンセルにより会場で生じた余剰ワクチンについては保健所や宿泊療養施設でコロナ対応に当たる職員、高齢者施設や介護サービス事業従事者、保育や教育現場で従事する職員の名簿を会場ごとに作成し、順次接種していく予定です。目下の課題は迅速なワクチン接種となりますが、先進国の中でも我が国のワクチン接種の遅れが際立っており、たいへん憂慮しております。国に対しては、早急に自治体へのワクチンの配給をお願いするとともに、区は、ひとりでも多くの区民の皆さまに安心して接種を受けていただけるよう、病院、クリニック等での個別接種の開始に向けて、全力を尽くし、準備を進めてまいります。そうした中で高齢者に引き続き、基礎疾患をお持ちの方、さらにはワクチン接種を希望する全ての区民の方へ円滑な接種が実施できるよう、区が一丸となって取り組んでまいります。
次に、飲食店への対応について、申し上げます。
区内飲食店における感染対策の普及を図り、区民等が安心して利用できる施設を増やす取り組みとして、昨年8月より開始した、適切な感染予防策を実施している飲食店等の認証制度「千代田区新しい日常店」についてですが、令和3年5月28日現在、280施設に認証を行っております。
さらに、緊急事態宣言解除後の再拡大の防止に向け、認証施設に対し、来客者が店内の換気状況を確認できるCO2センサーの配付を進めており、この秋を目途に全認証施設へ無償提供してまいります。
一方、感染防止や休業要請などの協力を得られていない飲食店等店舗に対しては、これまで、感染防止の観点から、店舗内における衛生対策について、助言、普及啓発を進めてきました。しかしながら、多くの店舗が酒類提供の中止や営業時間短縮など適切な対応を取っていただいている中で、一部店舗については、要請の時間を超えて営業を続けるなどの状況も見られ、地域や周辺から苦情やご不安の声が寄せられております。
こうした店舗等に対しては、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づき東京都が権限を持っており、要請に応じない店舗への対策に取り組んでおります。区としても、そうした店舗に関する苦情等をいただいた場合、内容に応じ、適宜、東京都へ情報提供等を行っているところです。
区といたしましては、当該の店舗の近隣の住民の方々や、ルールに従い感染対策をとられている事業者の方々などが感じる不安感や不公平感について、しっかり受け止める必要があると感じております。
そのため、各所管に寄せられる情報を一元化し、横断的な対応がとれるよう庁内対策チームを編成しましたので、感染対策をとらない店舗に対し、区としても可能な取り組みを進めてまいります。
また、この一環として、路上や公園などにおける集団での飲酒を含む行為に対しては、注意喚起のための巡回などを実施しているところですが、先ほどの店舗対策と連動するなど、一体的な対応についても検討を進めております。
こうした取り組みを通じて、コロナ禍にあっても、区民の皆さまや区内事業者の皆さまに寄り添った対応を進めてまいります。
次に、長引く、新型コロナウイルス感染の拡大と、再三にわたる緊急事態宣言の発出によって地域経済が悪化した現下の状況において、ひっ迫する区民生活を支え、新しい日常における生活応援を図るため、本定例会において、令和3年度一般会計補正予算第2号をご提案させていただいております。
具体的には、新型コロナウイルス感染症の拡大による非接触型社会の状況に鑑み、キャッシュレス決済によるポイント還元事業を実施してまいります。新しい日常下における区民生活を応援することにより、消費の喚起を図り、売上げの減少が著しいサービス業を中心とした区内中小事業者も併せて支援するものです。
実施にあっては、スマートフォンをはじめとするデジタル機器に馴染みがない区民の方々へのサポートを十分に行うなど、そうした方々が不利益を受けないよう努めてまいります。
コロナ禍によってもたされた新しい日常においては、デジタル化の流れは、一層加速化されていくものと思われますが、そうした流れの中で、いわゆるデジタルデバイドによる格差が拡大していくことがないよう、デジタルデバイドの是正に配慮しつつ、丁寧に施策を進めていきたいと考えております。
また、前年度に引き続き、個店をまとめ、後方支援を行う立場にある商工関係団体に対して、会費減額分を支援するほか、消費喚起のために工夫した取組みへの支援を行うことにより、商工関係団体等を通じた個店への支援も併せて実施します。
区民の皆さまの日々の生活における消費活動が地域経済を支えています。区では、コロナ禍にあって、そうした皆さまの生活を引き続き応援してまいります。
次に、地球温暖化対策について申し上げます。
本年4月、政府は2030年度における温室効果ガスを2013年度比で46%削減する目標を掲げ、さらに「50%の高みに向けて挑戦する」旨を表明しました。また、東京都は1月、「2030年カーボンハーフ」を掲げ、同年までに温室効果ガス排出量を半減する姿勢を打ち出しています。
さらに、昨年の「2050年カーボンニュートラル宣言」を踏まえ、今国会で審議されていた「改正地球温暖化対策推進法」が5月26日に成立するなど、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが加速しております。
一方、新型コロナ感染症のパンデミックを経験する中で、環境配慮に対する人々の意識が高まっており、本区もこれをテコに、「よりよい復興」に向けて、「ゼロカーボンちよだ」をめざす取り組みを一層強化する必要があると考えております。
千代田区では、脱炭素の取り組みの中でも、民間オフィスなど、業務部門のCO2削減がとりわけ重要であります。
業務部門のCO2の削減の取り組みは、かつて、負担であり「コスト」であると認識をされていました。しかし、今や、CO2の削減など地球環境に配慮し、気候変動問題に積極的に取り組むことが企業の価値を高め、「投資」を呼び込むようになっています。
また、業務部門の取り組みは、区民生活にも価値をもたらすようになってまいりました。例えば、市街地の機能更新に合わせ、高効率な自立分散型エネルギーシステムを導入することで、省エネやCO2の削減はもとより、地域におけるエネルギー強靭性を高めることができます。さらに、電気自動車充電設備の設置を誘導することで、CO2を排出しないモビリティの普及と災害時の電源確保を図ることができます。
このほか、区内企業の大多数を占める中小事業者に対しても、再生可能エネルギーの導入支援などが必要であります。
私は、こうした取り組みを力強く推進することが、環境と経済の好循環をもたらし、脱炭素社会につながるものと考えております。現在、脱炭素まちづくり、「ゼロカーボンちよだ」の実現に向けて、地球温暖化対策条例の見直しと関連計画の策定作業を進めております。
条例については、制定から13年を経過し、制定時に掲げた目標の年次も迎えているため、この間、国内外で共有された「脱炭素社会の実現」という理念を的確に反映させるための見直しが必要であると考えております。
また、脱炭素社会の実現に向けた具体策の強化と現実に起きる気候変動の影響への対策は、地域推進計画の改定、気候変動適応計画の策定により進めてまいります。
条例改正、計画改定等につきましては、早期に取りまとめてまいりますので、引き続きご協力賜りますようお願いいたします。
次に、「子どもに関する取組み」について申し上げます。
本区では、これまで子育てをしているすべての家庭を支えるために「子ども部」を設置し、0歳から18歳までを見通した次世代育成支援、教育振興施策の推進に取組んでまいりました。保育園や学童クラブの待機児童対策は勿論のこと、保育人材の確保と定着率の向上、相談体制の充実、きめ細やかな教育環境の整備など、さまざまな支援の充実を図ってまいりました。私は今後とも、こうした取組みを推進してまいりたいと考えております。
一方、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、子ども達の生活にも大きな影響を与えています。乳幼児を保育する現場において、保育士はマスクを外すことができず、喜怒哀楽の感情、表情を子どもたちに伝えることに苦労しています。また、学校においても特に音楽や体育、家庭科などは思うような指導ができず、教員も授業のやり方を日々工夫している状況です。
さらに「まん延防止等重点措置」や「緊急事態宣言」の期間中は部活動が制限されており、一生懸命に練習を積み重ねて来たにも関わらず、その成果を発揮する場が限定されるといった残念な事態に直面しております。
これまで修学旅行や校外学習など、「何年生になったらどこそこに行く」といった、当たり前のように継続してきたことができなくなってしまい、こうした貴重な教育機会が消失されるとは想像すらしておりませんでした。
このため、子どもたちに今しかできない、かけがえのない体験活動を行うための代替行事を実施することができないか、教育委員会から各学校長、園長へ検討をお願いしたところでございます。
そして、「コロナ禍における日常生活」というものが存在している以上、この現実を受け止め、オンライン学習を含め、昨年度配備した一人一台タブレット端末の更なる活用など、今だからこそできることにチャレンジしていくことが大切ではないかと考えます。
さらに、このような予測困難な時代、急激に変化する時代においては、これまで以上に、子どもたち自身が他者を思いやり、豊かな人生を築くために、さまざまな事象から解決すべき課題を見つけ主体的に判断する力、多様な人々と協働しながら新たな価値を創造していく力、そしてどのような状況下においても生き抜く力を身に付けて欲しいと考えております。
このような認識のもと、令和3年第一回定例会において、新たに、議会にご同意賜り、堀米教育長を任命し、より一層効果的で区民に信頼される子育て・教育行政を推進する体制を整えたところでございます。今後、新体制の教育委員会とも意見交換を行い、本区における子育て、教育分野に関する取組みについて議論を深めてまいります。
次に、秋葉原における安全・安心のための取り組みについてです。
現在のJR秋葉原駅周辺の地域は、交通の要衝として、また、青果市場のまち、電気街、さらには、サブカルチャーやアイドル文化のまちとして、江戸期から令和の現代まで、それぞれの時代を反映しつつ、様々な出来事を乗り越えて発展し続けてきました。現在では「Akiba」は、様々な魅力が融合した独自の文化を持つまちとして世界的にも広く認知されており、コロナ禍以前は多くの観光客で賑わっていました。
このように様々に形を変えながら発展してきた外神田・秋葉原には多様な人たちが集まってきますが、忘れてはならないのは、この地をふるさととして住み続ける人たち、この地における様々な変遷の中でご商売を続けてこられた人たち、またこの地にある学校や幼稚園で学ぶ子どもたち、そうした秋葉原を生活の場とする人たちの存在です。そうした人たちの懐の深さとまちの安全・安心に対する前向きな取り組みによって、秋葉原は、時代ごとの変化を受け入れた、多種多様なまちの魅力と安全・安心が、絶妙なバランスを保ちつつ成長を続けるまちとなっていました。
しかし、昨今は、このバランスが崩れつつあるように思います。サブカルチャーを装った違法な店舗経営や客引きが目に見えて増加し、まちの安全・安心が著しく妨げられているということは、外神田を生活の場とする人たちも、また秋葉原の独自の文化を愛する人たちも、等しく感じているところではないでしょうか。
区では、昨年7月に秋葉原の外神田地域を「客引き行為等防止重点地区」に指定し、客引き行為等防止推進団体である「秋葉原地域連携協議会アキバ21」と連携した、安全で快適なまちの実現に取り組んできました。しかしながら、長期化するコロナ禍の影響もあり、これまでの取組みだけでは対応が困難な状況になっています。
そこで、安全・安心が脅かされるようになってしまった秋葉原に、再び活気と賑わいを取り戻し、地域の方々や来街者に安全・安心を実感していただけるよう、秋葉原の安全・安心のためのプロジェクトを立ち上げます。
その取組みとして、まず、オール秋葉原の活動団体を設立したいと考えております。
行政や警察、消防などの関係機関とアキバ21などの地域団体が重層的、横断的に繋がり合うことにより、迅速な情報共有を行い、それぞれの所管法令で対応していくことで環境改善を図るほか、客引きや違法店舗経営者などに「皆が秋葉原に目を向けている」という認識が強まるような体制づくりを進めてまいります。
また、客引きとして働いている女性たちはおおむね10代後半からハタチ前後の女性であると聞き及んでおりますが、こうした女性へ向けては、東京都の若年被害女性等支援モデル事業に参加していただいている民間団体と連携した声掛けなどのアウトリーチ支援、また違法店舗経営者からの救済活動などにも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
最後に、今回提案いたしました諸議案についてでございます。
まず、予算案件といたしまして、令和3年度千代田区一般会計補正予算第2号の、1件であります。
次に、条例関係でありますが、条例の一部を改正するもの、7件であります。
次に、契約関係でありますが、区道2路線の電線類地中化事業に伴う道路整備工事委託協定の締結について、2件、後楽橋補修補強工事請負契約について、1件、災害対策用備蓄物資(食料)の購入について、1件の計4件であります。
このほか、千代田区障害者就労支援施設の指定管理者の指定について、1件。
また、報告関係として、令和2年度千代田区一般会計予算の繰越明許費に係る歳出予算の繰越しについて、1件で、今回の付議案件は、合わせて14件であります。
何とぞ、慎重なご審議の上、原案どおりご議決賜りますようお願い申し上げます。
以上をもちまして、令和3年第2回区議会定例会の開会の挨拶といたします。
ありがとうございました。
令和3年6月1日 千代田区長 樋口 高顕
(注意) 本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他若干の変更があることがあります。
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