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更新日:2022年9月13日

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令和4年第3回区議会定例会区長招集挨拶

令和4年第3回区議会定例会の開会にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。

はじめに

今年の夏は、例年にも増して猛烈な暑さが襲い、7月には、東京都心部において、観測史上最長の9日間連続で最高気温35度以上の猛暑日が続きました。

一方、大気が不安定な日が多く、局地的な大雨に見舞われることによって、埼玉県北部をはじめ、全国各地で被害が発生いたしました。

中でも、8月初旬の豪雨では、本区と姉妹提携を結んでいる秋田県五城目町においては、幸いにして人的被害はなかったものの、町内複数の河川が氾濫し、多くの建物に被害が生じ、農作物への影響も懸念されております。

また、本区との相互発展に向けた連携に関する協定書を締結している福井県も同様に、豪雨によって県内複数の河川で堤防決壊や氾濫が生じたほか、土砂流出などによって道路が通行止めになるなど、甚大な被害をもたらしました。

本区では、両自治体で豪雨が続く中、絶えず情報収集を行い、状況の推移を見守りながら、町民、県民の皆様の無事を祈っておりました。天候の回復後は、いち早くお見舞いのメッセージをお送りし、必要な支援の申し出を行ったところです。その後調整の上、区議会の皆様とともに、災害見舞金の贈呈を行うこととなり、福井県東京事務所には去る9月9日、五城目町役場には明日、お届けにあがります。

本区といたしましては、これらの災害で被害に遭われた方々に対し、改めて心からお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧と復興をお祈りし、今後も必要な支援を行ってまいります。

新型コロナウイルス感染症第7波の現状と感染症対策について

次に、新型コロナウイルス感染症対策について、申し上げます。

7月以降、感染力の高いオミクロン株の新系統「BA.5」(ビーエーファイブ)への置き換わりなどにより、新型コロナウイルス感染症の第7波は、全国で猛威を振るい、東京都ではピーク時で1日3万5千人を超える過去最大の感染拡大となりました。

本区においても7月に入り、感染者数は激増し、ピーク時には1週間で1,045人にも上り、第6波の感染者数の約2倍となりました。その後8月以降になると、徐々に減少傾向が見られ、9月12日時点、区内の感染者数は、直近の1週間で227人となっています。

一方、地域に明るさと活力を取り戻すためには、コロナ禍におけるこれまでの教訓と経験を活かして、感染防止対策と地域のコミュニティ活動を両立させていくことが重要であります。

そこで、この夏は、イベントの開催を検討されている町会など地域の方々が開催にあたり、必要な感染防止対策などについて、本区は、感染症専門医の助言を踏まえ、積極的にご相談に応じてまいりました。

この結果、3年ぶりに行動制限を伴わない今年の夏は、地域の方々のご尽力によって、区内各地で適切な感染防止対策を図ったうえで、さまざまな工夫を凝らしたイベントが開催されました。私も多くの夏まつりや縁日に伺い、子どもから大人まで、沢山の笑顔に出会うことができました。

今夏の経験からも、地域に明るさと活力を取り戻すために、これまでと同様のイベント開催に加えて、地域発のさまざまな取り組みにも、区として支援を続けてまいります。

また、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種に関しましては、これまでの地道な取り組みの結果、着実に区民への接種が進んできております。現在使用している従来型のワクチン接種については、60歳以上の方の4回目接種率は65%を超え、60歳未満の基礎疾患がある方や7月から新たな接種対象となった医療従事者や高齢者・介護施設の従事者に対しても万全の体制を整え、接種を実施してきました。

さらに国は、今後、現在主流のオミクロン株に対応したワクチンを供給し、9月中には、高齢者や基礎疾患がある方、10月半ばからは、これ以外の方を対象に接種を開始するとの方針が示されました。

南半球では、インフルエンザ患者が急増し、新型コロナウイルスと同時流行する「ツインデミック」ともいえる状況になっている国もあります。これから空気が乾燥してくる冬を迎え、感染症の拡大が懸念され、さらに警戒を高める必要があることから、区としても希望する区民への接種の準備を早急に進めています。

このオミクロン株対応ワクチンは、従来型ワクチンよりオミクロン株に対し高い抗体価が得られること、また、オミクロン株と従来株の両方の成分を含むため、これらにより得られる多様な免疫反応は、今後流行しうる変異株に対しても有効である可能性が高いと報告されています。

これから接種対象となる方やまだ接種がお済みでない方、加えて学校生活が始まっている子どもやその保護者に対し、SNS等も含めてさまざまな広報媒体を活用し、副反応や重症化リスクの低減などワクチン接種の正しい知識のさらなる普及啓発に努めてまいります。あわせて、国の動向を注視しつつ、柔軟に対応しながら、オミクロン株対応ワクチンへの切り替えを円滑に行い、希望するすべての区民の皆さまに接種ができる体制の整備を引き続き進めてまいります。

一方、この新型コロナウイルス感染症の感染拡大はこれまでも周期的に起きていることから、第8波に向けた取り組みも先手先手で講じる必要があります。

第7波においては、患者調査の適切な重点化により、重症化リスクのある患者に速やかに対応するとともに、膨大な発生届の処理を迅速に行い、患者対応に大きな遅れが生じることはありませんでした。しかしながら、発生届の処理件数が1日1,000件近くになることもあったことから、今後さらに、患者数が増加することを想定し、療養ステータスなどの患者情報の管理を強化し、より一層、正確かつ迅速に対応するため、クラウドサービスを用いた患者情報管理システムを9月より導入し、重点化対応と併せ、紙ベースの患者カルテのデータ化などに取り組むことといたしました。

また、感染者数の増加に伴う重症者の発生に備え、病床を確保するなど、感染状況に応じて、迅速な対応を図るための体制整備に取り組んでおります。

現在、国の専門家会議では、感染者数の全数把握など新型コロナウイルスの感染症法上の扱いについてさまざまに議論されています。区は、こうした国の動向を注視しながら、区民の命と健康を守ることを最優先に、引き続き感染症対策に全力で取り組んでまいります。

物価高騰対策について

次に、物価高騰対策について申し上げます。

本年2月にロシア連邦がウクライナへ侵攻したことに端を発した物価の高騰は、全世界に影響が及んでいます。

また、近年にないほどの円安が、物価の高騰に拍車をかけています。

この度、総務省統計局が8月26日に発表した東京都区部における消費者物価指数を見ますと、新型コロナウイルス感染症の影響をあまり受けていない令和2年に比べ、「食料」と「エネルギー」の指数がともに上昇し、物価高騰が顕著である一方で、「交通・通信」の指数は下降しており、必ずしもすべての物価が高騰している状況ではなく、物価全体の状況を示す「総合」の指数は2.7ポイントの上昇に留まっています。

このような状況を踏まえ、昨今、食料品、特に生鮮食品の物価高騰が顕著であることから、次世代を担うお子さんの成長に与える影響を最優先に考え、区立小・中・中等学校における給食において、保護者の経済的負担をこれ以上増加させないため、学校給食費の一部を補助するための経費について、追加の予算を計上する補正予算案を、今定例会に提案することといたしました。

具体的な内容といたしましては、これまでの1食あたり30円の補助に加えて、さらに15円を上乗せするもので、これにより、区立小・中・中等学校に通うお子さんに、これまでと同様の栄養バランスや量を維持した学校給食を提供してまいります。

令和3年度決算状況と令和5年度予算編成について

令和3年度決算状況について

次に、令和3年度の決算状況について申し上げます。

今定例会でご審議いただく令和3年度決算は、私が区長に就任し、「コロナに打ち克ち、千代田の新時代を築く」という基本姿勢のもと、年間を通じて携わった、予算執行の結果であります。

振り返れば、令和3年度当初予算は、新型コロナウイルス感染症の長引く感染拡大の影響を受けて、特別区税、法人住民税などを原資として東京都から交付される特別区財政調整交付金などの一般財源において、大幅な減収が見込まれた大変厳しい状況でありました。

しかし、このような状況にあっても、区民の命と健康を守ることを最優先に、不要不急な事業予算の縮減を図りながらも、必要な事業には予算を投じる、メリハリをつけた予算を編成いたしました。

このような特徴を持つ令和3年度予算でありましたが、はじめに、一般会計決算状況の特筆すべき点からご説明いたします。

まず、大変憂慮された歳入についてですが、当初予算額と比較しまして、特別区税や特別区財政調整交付金などの一般財源は、大幅に増加した決算となりました。

この結果、当初予算において、歳入不足分として財政調整基金からの繰入額を約35億円と見込んでおりましたが、資金運用のために設置した「公共料金支払基金」分を含め、5億3千万円の繰り入れにとどめることができました。

次に、歳出についてご説明いたします。

令和3年度は、最優先で取り組む新型コロナウイルス感染症対策に関する予算として、総額およそ176億円を当初予算に計上いたしました。

特に、新型コロナウイルス感染症への対応については、当初予算にとどまらず、PCR検査助成、子育て世帯への臨時特別給付金や商工関係団体等支援事業など、区民生活や事業者の支援に要する経費として約39億円を、第1号から第9号にわたる補正予算として編成し、議会の皆様にも精力的にご審議を賜りながら、適時適切に対応してまいりました。

また、当初の予測よりも感染拡大が長期化したため、令和2年度と同様に、医療のひっ迫を防止するための医療機関の確保など各種感染症対策の実施や小規模事業者緊急経営支援事業などに要する経費として、不測の事態に対応するための予備費から約3億円を活用するなど、区民の命と健康を守るため、適時適切に取り組んでまいりました。

さらに、新型コロナウイルス感染症への対応以外にも、子どもに関する取り組みでは、保育園と学童クラブにおける待機児童ゼロの継続、高齢者に関する取り組みでは、特別養護老人ホーム「THE BANCHO」の開所による大幅な高齢者施設への入所定員の拡大、1年延期された東京オリンピック・パラリンピック開催にあわせた障害者スポーツ体験や障害者アート展の開催など、さまざまな分野で効果的な事業展開を図りました。

このように、令和3年度は、比較的堅調な歳入に支えられながら、区民の生活を支えるため、積極的な事業実施を図ってまいりましたが、本区の財政状況を示す代表的な指標である、経常収支比率および人件費比率は、ともに例年と大きな乖離はなく、安定的な数値となっております。

また、平成19年度決算より全国の地方公共団体が公表している健全化判断比率で申し上げますと、4つの指標のいずれも基準値を大幅に下回っていることから、健全な状態を維持していると判断いたしております。

いずれにいたしましても、現在も今後も区民ニーズを的確に把握して、区民福祉の向上に努めるとともに、区の健全な財政状況を堅持してまいります。

令和5年度予算編成について

次に、令和5年度の予算編成について申し上げます。

未曾有の事態となった新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、第7波によって過去最大の感染者が発生しましたが、徐々に減少し、再度、第8波の感染拡大への懸念はあるものの、コロナ禍で停滞を余儀なくされた社会経済活動は、段階的な回復を見せています。

一方で、国全体では人口減少時代に突入しており、労働力の確保が難しくなるなどの問題が想定されますが、安定的かつ継続的な行財政運営を実現していく必要があります。

また、社会情勢の変化が激しく、不確実な時代にあっても、区は、多様化するニーズに迅速かつ柔軟に対応し、質の高い行政サービスを適切に提供していく必要があることから、現在、「(仮称)千代田区第4次基本構想」の策定に向けた検討を進めているところです。

こうした状況を踏まえ、令和5年度予算編成では、(仮称)千代田区第4次基本構想の策定を見据えて、感染症による環境の変化を機会と捉え、単にコロナ禍からの回復をめざすのではなく、区民生活のさらなる発展に向けて、新たな事業や試みに力強く積極的に挑戦してまいります。

あわせて、業務の再構築や効率化、DXの推進、民間活力の活用などを積極的に検討し、限られた経営資源を最大限有効活用することにも取り組んでまいります。

地球温暖化対策について

次に、地球温暖化対策への取り組みについて申し上げます。

昨年の第三回区議会定例会におきまして、地球温暖化対策条例の改正のご議決を賜り、11月には「気候非常事態」を宣言し、「2050ゼロカーボンちよだ」に向けて歩み始めましたが、地球温暖化に起因する気候変動は、今年の夏も各地に記録的な猛暑と豪雨をもたらしており、ゼロカーボンの実現に、一層の加速が求められています。

本区でゼロカーボン実現を加速するには、業務活動が集積する大手町・丸の内・有楽町(いわゆる「大丸有」)地域や内幸町地域という、日本の中枢機能の集積地をターゲットに、2050年に先駆け、2030年を目標にカーボンニュートラルにする、我が国脱炭素の象徴となる都市づくりに取り組みます。

この実現に向け、先端技術の社会実装とその普及を図るため、官・民・学、多様な主体が連携し、それぞれの知見を共有するプラットホームとして、本年10月、「ちよだゼロカーボンフォーラム」を開催いたします。

オンライン配信も併用しながら、有識者の知見や次世代の意見発表、先進的な企業の取り組みや区内事業者からの提案を共有するとともに、来年度に向けて、脱炭素地方連携の拡大や新たな施策案など、千代田区がゼロカーボンに向けて加速するビジョンを発信いたします。

一方、昨今、世界では、事業者自ら排出する温室効果ガスだけでなく、「調達から廃棄」までのサプライチェーンを通じた事業活動に関連する他社の排出量も含めた、いわゆる「スコープ3」を適正に管理し開示するという動きが強まっています。

投資を評価する指標や企業の格付けなどにも活用されることから、大企業ではすでに取り組みが進められており、今後、中小企業にも対応が求められる時代になってまいります。

中小企業からは、「何をしたら良いのかわからない」という声もある一方で、ビジネスチャンスと捉える見方もあり、区としてもゼロカーボンの推進と産業振興の観点から、こうした中小企業のGX(グリーントランスフォーメーション)を支援する取り組みを検討してまいります。

(仮称)教育と文化に関する大綱について

次に、(仮称)教育と文化に関する大綱について申し上げます。

『魅力あるまちづくりのためのよりどころとして、わたしたちは「教育」と「文化」を考える。なぜなら「教育」は、わたしたちが、そしてわたしたちの子どもたちが今を生き未来をより良く生きるための糧であり、「文化」はわたしたちがつくるまちそのものであり、生活そのものであると考えるからである。』

これは、「教育と文化のまち千代田区宣言」の一文です。

新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延により、人と人のつながりや、これまで当たり前だったことが制限され、私たちの日常は大きく変化しました。

このような変化が激しく、先行きの不透明な時代においても、先人が築いてきた歴史、伝統文化を普及・振興し、さらに発展させていかなければなりません。また、大いなる可能性を秘めた、かけがえのない存在である子どもたちの学びを、止めることがないよう継続的に取り組んでいかなければなりません。

こうした考えのもと、現在、教育および文化の振興に関する総合的な施策につきまして、その目標や施策の根本となる方針を定める「大綱」を教育委員会と協議しながら、策定しております。

併せて、教育委員会におきましては、情報化社会やグローバル化の進展、コロナ禍などの社会状況の変化と、教育面では学習指導要領の改訂やICT教育の推進など、子どもたちを取り巻く環境が大きく変化していることから、本区における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を示すため「ビジョン」の見直しを行っております。

今後、「大綱」および「ビジョン」につきまして、区民や議会の皆様には、素案の段階でお示しし、さまざまな御意見を賜り、策定してまいりたいと考えております。

議案

最後に、今回提案いたしました諸議案についてでございます。

まず、予算関係といたしまして、令和4年度千代田区一般会計補正予算第1号の、1件であります。

次に、決算案件といたしまして、令和3年度各会計歳入歳出決算の認定についてがございます。

次に、条例関係でありますが、条例の一部を改正するもの、16件であります。

また、報告関係として、令和3年度健全化判断比率について、1件、損害賠償請求事件に関し専決処分により和解した件について、1件、の計2件で、今回の付議案件は、合わせて20件であります。

何とぞ、慎重なご審議の上、原案どおりご議決賜りますようお願い申し上げます。

以上をもちまして、令和4年第3回区議会定例会の開会の挨拶といたします。

ありがとうございました。

令和4年9月13日 千代田区長 樋口 高顕

(注意) 本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他若干の変更があることがあります。

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