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更新日:2023年9月13日

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令和5年第3回区議会定例会区長招集挨拶

令和5年第3回区議会定例会の開会にあたり、私の区政運営における所信を申し上げます。

はじめに

はじめに、梅雨前線による大雨災害について申し上げます。

今年の6月末から7月中旬にかけて、活発な梅雨前線の活動や上空の寒気の影響により、全国各地で大雨による被害が発生いたしました。

特に、本区の姉妹提携先である秋田県五城目町は、7月14日からの記録的豪雨により、町内で1名の方が亡くなられたほか、住家だけでも床上399棟、床下200棟が浸水しました。また、浄水場が被災したため、町内全域にわたり断水となる等、町民の方々の日常生活に大きな影響を及ぼしました。

ここに、各地の水害において亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表し、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。あわせて、五城目町をはじめ、被災地の一日も早い復旧、復興を心より願っております。

一方、本区ではこの度の事態を受けて、7月20日、救援物資としてミネラルウォーター24,000本を町にお届けいたしました。

また、災害廃棄物の収集運搬を支援するため、同月23日から清掃事務所の車両3台と職員6名を現地に派遣する等、町と調整の上、必要な支援を行ってまいりました。

さらに、区民の方々も、区内各地域の夏祭り等のイベントの際に募金活動を行うといった、自主的な支援活動に取り組んでおられました。

私も8月15日、現地に赴き、区議会並びに区からの災害見舞金をお届けするとともに、町長に直接、お見舞いを申し上げました。こうした皆様の支援に対し、町民の方々が大変感謝しておられましたことを、この場をお借りしてご報告いたします。

世界的な気候変動の影響によって水害は年々増加しており、特に本区のような都市部においては、ゲリラ豪雨による内水氾濫を要因とする「都市型水害」の発生リスクを抱えていることは、これまでもご案内のとおりであります。

区民の皆様におかれましては、本区の風水害ハザードマップや避難行動を事前に確認していただきますよう、改めてお願い申し上げます。

区におきましても、万が一の事態に陥っても、できる限り被害を最小限にとどめるための対策に今後も注力してまいります。

1 子ども・子育て施策について

次に、子ども・子育て支援施策について、申し上げます。

本区は、国に先駆けて子ども・子育て施策の充実に努めてきましたが、最近の国や都が推進する少子化対策等を踏まえ、改めて、子どもを産み育てたいと望む区民が、妊娠、出産、子育てをしやすい環境の整備が必要です。こうした観点から、これまでの本区の取組みを充実させることに加えて、地域特性を踏まえた新たな支援策を講じることとし、これらを総合的に実施していく必要があると、私は第二回定例会において申し上げました。

少子化対策は本来、国の政策あるいは広域自治体である都の施策でありますが、その一方で、子どもを産み育てたい方々への支援や、安心して産み育てられる地域社会を構築することは、まさに基礎自治体の役割であると考えます。

この認識の下に、本区が取り組むべき子ども・子育て支援の柱について申し上げます。妊娠・出産期、乳幼児期、学齢期等の「成長のステージに応じた支援策」と、少子化の要因と言われる居住環境を含めた経済的負担、身体的あるいは労力的負担、子育て中に感じる孤独感といった精神的負担等、「子育てに関する様々なバリアを解消するための支援策」、この2つの柱があると認識しております。この2つの柱からなる支援を切れ目なく実施していくことで、幅広い支援策を推進したいと考えております。

現在、全庁挙げて支援策の全体像を鋭意検討しているところですが、検討範囲は多岐にわたっていることから、全体像につきましては、令和6年度当初予算においてお示しいたします。

一方、事業内容を検討する中で、実施の準備が整い、今年度中に実施可能な事業、あるいは物価高騰への対応策として必要な事業につきましては、今定例会に補正予算第2号として提案いたします。

その主な内容を3点ご説明いたします。

1点目は、区立小中学校、中等教育学校前期課程の児童生徒約4,500名の本年11月から来年3月までの5か月分の給食費を区が全額負担する予算であります。

給食費については、これまで議会の皆様とも様々な議論を重ねてまいりました。その上で、第二回定例会における各会派からのご指摘を踏まえ、本区の地域特性と現下の社会経済状況を勘案し、物価高騰に伴う子育てに係る経済的負担の軽減を図る観点から、給食費の全額を公費で負担することとし、そのために必要な経費を計上いたしました。

2点目は、区内保育施設の園児が使用するおむつ等のサブスク(「サブスクリプション」、定期購読や継続購入のこと)の導入とその費用の無償化であります。

保育施設に通う子どもを持つ保護者は、ハンカチ、よだれ掛け、交換用の着替えやおむつ等、様々な持ち物の準備が必要となります。中でもおむつは、一日あたりの使用数も多く、名前の記入等、保護者にとっては相当な労力と精神的な負担が生じています。

そこで、保護者の負担を軽減し、ゆとりをもって子どもとの時間を過ごすことができるように、保育施設でおむつ、食事用エプロン等を用意することとし、その費用を公費負担により、無償化するために必要な経費を計上いたしました。

3点目は、神田さくら館の一部機能移転のための予算であります。

神田さくら館にある区立千代田小学校は、数年後に普通教室が不足することが見込まれております。また、同じ建物の7階に開設している白鳥教室についても、利用者の増加によってスペース不足が生じる等、教育環境の充実が課題になっております。

そこで、白鳥教室を利用する不登校児童生徒への支援や子育てひろば等による子育て支援の充実を目指し、近隣の民間ビルを賃借して、神田さくら館の機能の一部を移転することとし、そのために必要な経費を計上いたしました。

このほか、私立保育所が開催する未就園児家庭を対象にした子育て支援事業に係る経費や自転車用ヘルメット購入補助に必要な経費等を計上いたしました。

2 令和4年度決算状況と令和6年度予算編成について

令和4年度決算について

次に、令和4年度決算について申し上げます。

令和4年度一般会計予算は、区民の皆様の日々の生活をしっかりと支える施策を展開しつつ、これに加えて、コロナ禍という未曽有の危機を変革のチャンスと捉え、果敢にチャレンジし、チェンジを促す様々な取組みをスタートさせることを目指し編成いたしました。そして、希望に満ちた未来を切り拓き、昇る朝日に向かって歩を進める「希望の明日につなぐ あけぼの予算」と名づけ、職員一丸となって予算の執行に取り組んでまいりました。

また、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発した世界的な物価高騰に対応するため、補正予算を編成して様々な対策にも取り組んでまいりました。

以下、令和4年度決算につきまして、特徴的な内容をご説明いたします。

まず、歳入についてですが、特別区税や地方消費税交付金といった一般財源を、コロナ禍でも堅実に確保することにより、歳入総額約685億円余で前年度比28億円の増となりました。

次に、歳出についてですが、私立保育所等運営補助、新型コロナウイルスワクチン接種対策、建物の耐震化等促進事業、全庁LANの保守管理等、一部の事業で多額の不用額を計上しておりますが、全体の執行率は85.4%となり、前年度比で1.2ポイントの増となりました。

その結果、実質収支額約17億円の黒字となり、また、財政運営の指標とする旨を定めた健全化を判断する4つの指標のいずれもが適正な数値となっており、引き続き健全な財政を維持しております。

また、令和4年度における公債費の支出をもちまして、本区におけるすべての区債を償還することが出来ました。

今後も、千代田区第4次基本構想とともに策定しました「今後の行財政運営の考え方について」に基づき、健全な行財政運営に取り組んでまいります。

令和6年度予算について

次に、令和6年度予算編成について申し上げます。

区民の暮らしに大きな影響をもたらしたコロナ禍は、人々の価値観や行動様式に変化を生じさせました。このため、区民ニーズを今一度検証した上で、改めて諸課題に向き合う必要があります。

また、今後も持続可能な行財政運営を推進していくため、不断の内部努力と、本区の地域特性を活かし、企業や大学等と連携して課題解決を図るための、公民の協働も必要です。

こうした区民等を取り巻く環境の変化に柔軟に対応していくため、本年3月に策定した千代田区第4次基本構想の下で、分野別計画や、新たな課題等を踏まえて定めた中期的な方向性に基づき、各年度の取組みを推進していくことといたしました。

これらの課題や取組みを踏まえて、令和6年度予算は、地球温暖化による気候変動への対応、首都直下地震を含めたあらゆる災害に備えたまちづくり、地域コミュニティの活性化等、従来からの課題に対する施策を着実に進めてまいります。

また、少子化対策にも寄与する施策として、総合的な子ども・子育て支援策の充実を図り、安心して子どもを産み、育てられるまちを目指してまいります。

3 DXの推進状況について

次に、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の取組みについて申し上げます。

区は、昨年4月、「千代田区DX戦略」を策定し、「顧客志向の追求」、「行政内部の変革」、「情報資産の管理と運用」を基本理念として掲げ、デジタル技術を活用した区民の利便性と職員の生産性の向上を目指し、DX推進の取組みにチャレンジしております。

こうした中、先般、8月26日から、区独自のポータルサイトの運用を開始いたしました。

このポータルサイトにより、区民の皆様は、来庁や電話をしていただかなくても、いつでも、どこからでも、申請や予約を行うことが可能となり、区民サービスがより向上していくものと考えております。まずは子育て関係の約40の手続きから開始しましたが、今後、対象や機能の拡充を図ってまいります。

ところで、ご案内のとおり、物流業界には物品が物流の最終拠点からエンドユーザーの手元に届くまでの最後の区間を指す「ラストワンマイル」という言葉があり、満足度の高いサービスを提供するためには、ここに課題があると言われています。こうした物流業界の課題は、行政も同様であり、課題解決のためには、区民一人ひとりに適切なタイミングで、最適な行政サービスを届けることが大切だと考えております。

ポータルサイトは、現時点で既に約900名の方にご登録いただいています。今回は、子育て関係の一部手続きから開始しているため、対象としている手続きの種類や機能については、まだまだ不十分な点はあるかと思いますが、まずは一歩踏み出せたと考えております。今後も、区民の皆様の声や議会のご意見をお伺いしながら、「ラストワンマイル」を意識し、区民サービスの向上に努めてまいります。

一方で、こうしたオンライン化に注力するだけでなく、これまで同様、窓口でのサービス提供も丁寧に行ってまいります。あわせて、DX戦略に基づき、デジタルが苦手な方への理解促進やデジタル機器活用のサポートも引き続き行う等、様々な取組みに柔軟にチャレンジしてまいります。

その一つといたしまして、「Chat GPT」に象徴される生成AI(コンピュータが大量のデータを自動で学習することによって、テキストや画像、動画等、新しいデータの生成が可能な人工知能)のトライアルにも鋭意取り組んでおり、課題解決や区政への効果的な活用方法を検証してまいります。

他方、東京都のDXに関する新たな動きとして、都と区市町村を含めた東京全体のDXを効果的に推進していくことを目的とした官民協働の団体である「GovTech東京(ガブテック東京)」が7月に設立されました。同団体では、今後、都内区市町村間におけるシステムの共同調達や共同開発、人材シェアリング等、具体的な事業の検討が開始されると伺っております。区といたしましては、これらの動向を注視しながら、必要に応じて活用や連携を図ってまいります。

いずれにいたしましても、区として、今後もセキュリティに十分注意しながら、様々な取組みを総合的に推進し、誰もがデジタル化の恩恵を享受できる千代田区を実現してまいります。

5 議案

最後に、今回提案いたしました諸議案について申し上げます。

まず、予算案件といたしまして、令和5年度一般会計補正予算第2号の、1件であります。

次に、決算案件といたしまして、令和4年度各会計歳入歳出決算の認定について、がございます。

次に、条例案件といたしまして、条例の一部を改正するもの、3件であります。

次に、契約案件といたしまして、二七通り東地区歩道拡幅工事請負契約について、1件、区立お茶の水小学校・幼稚園改築等工事請負契約の一部変更について、4件、

の計5件であります。

また、報告案件といたしまして、

令和4年度千代田区健全化判断比率について、1件、

損害賠償請求事件に関し専決処分により和解した件について、1件

の計2件で、今回の付議案件は合わせて12件であります。

何とぞ、慎重なご審議の上、原案どおりご議決賜りますようお願い申し上げます。

以上をもちまして、令和5年第三回区議会定例会の開会の挨拶といたします。

ありがとうございました。

令和5年9月13日 千代田区長 樋口 高顕

(注意) 本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他若干の変更があることがあります。

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