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更新日:2022年2月17日

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令和4年第1回区議会定例会区長招集挨拶

令和4年第1回区議会定例会の開会にあたり、私の区政運営における所信を申し上げます。

新型コロナウイルス感染症対策について

はじめに、新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。

我が国においては、昨年末から懸念されていた新型コロナウイルス感染症の第6波が到来しました。新たな変異株・オミクロン株による感染拡大の勢いは依然として衰えることがなく、連日、全国で数万人規模の新規感染者が報告されています。東京都に2月13日までの期間で発出されておりました「まん延防止等重点措置」の適用も来月6日まで期間が延長されました。千代田区におきましても年明けから感染拡大が続き、今月に入り連日100人前後の新規感染が報告されています。都の確保病床の使用率は2月15日現在、58.8%に上っており、区の確保病床使用率も中等症病床20床のうち65%、また重症病床2床のうち1床を使用するに至っていることから、予断を許さない状況が続いています。

この間、感染者への対応等の件数が激増し、保健所の業務がひっ迫しております。オミクロン株は、昨年夏の第5波のときと違い、無症状者や軽症者が多い傾向にありますが、圧倒的な感染者数の増加により、感染者や濃厚接触者に対する聴き取り調査、自宅療養者の健康観察や体調急変時の対応などに追われる日々が続きました。そのため区では、保健所以外の職場から延べ20名の職員を派遣して、業務が滞ることがないよう全庁一丸となって応援体制を整えました。1月末より軽症者の健康観察を東京都の窓口、「うちさぽ東京」で対応することになり保健所業務がやや軽減したものの、中等症、重症の方が徐々に増加しており、体調急変時の対応が必要となっています。そのため、区内では、かかりつけ医による健康観察に加え、80近くの医療機関と40を超える薬局が経口薬の処方を実施しており、重症化予防の取り組みが進んでいます。

感染予防や重症化リスクの低減には、3回目のワクチン接種が有効であると言われております。本区では希望する区民の方が一日でも早く接種できるよう、早い段階から準備を進め、2回目接種から6か月経過後に前倒しての接種をできる体制を構築しています。2月16日現在、全体では23.1%、65歳以上の高齢者の方では61.4%が接種を終了しています。

区民の命と健康を守るためには、ワクチンの早期接種が大きな鍵となりますので、医療機関と連携し、引き続き、着実な実施を進めてまいります。

また、区の仕事の中には、区民が日常生活を営むうえで一日たりとも休止することができない業務があります。現在、感染や濃厚接触、または自宅待機となった子どもの養育等により出勤できない職員や関係者が増え、業務の停滞が懸念されることから、不測の事態に備える必要があります。そのため、庁内各課に対して事業の優先順位等を定めた事業継続計画いわゆるBCPの再点検を行い、非常時であっても必要な業務を停滞させることなく維持できるよう庁内の執行体制を再確認したところでございます。

区の業務は地域住民の生活を支える基盤と言えますので、各職場の感染予防にも努め、欠かすことのできない区民サービスの提供継続に万全を期してまいります。

基本構想の策定について

次に基本構想の策定について申し上げます。

コロナ禍に見舞われて以降、私たちが当たり前としてきた日常は一変しました。混迷を深めるこの時代にあっても、誰もが希望を抱き、安心して生活できるように、活力ある、明るい未来を切り拓いていかなければなりません。

そのためにも、この難局を乗り越えた先にある社会を展望し、新たな時代の基本構想を策定してまいりたいと考えております。区の将来像については、日本の政治、経済、文化の中心として発展してきた千代田区の歴史と、伝統や文化、そして多様な人々を大切にしながら、未来に向かって力強く着実に前進する姿を描いてまいります。

新しい基本構想の策定にあたりましては、庁内で慎重に議論を重ねたうえで、新しい基本構想のたたき台をお示ししてまいります。

来年度は、区を取り巻く現状を踏まえるとともに、変化の激しい社会情勢に柔軟に対応できるように、区民や学識経験者、さまざまな分野における団体関係の代表者にも参画をいただく(仮称)第4次基本構想策定懇談会を設置いたします。懇談会においては、作成した基本構想のたたき台などを材料に、活発にご議論をいただき、ご提言をいただきたいと考えております。加えて、意見公募や住民説明会など、さまざまな場面を通じて区民の方から幅広く意見をいただく機会を設け、区の将来像を共有しながら検討を進めてまいります。新たな基本構想の策定を通じて、千代田区に住み、働き、学び、集う人々が、千代田に誇りを持ち、親しみを持てるような構想をつくり上げてまいります。

また、検討内容につきましては、随時、区議会にご報告し、皆様のご意見をいただきながら、検討を進めてまいります。

区民の皆様、議員の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

令和4年度予算案について

令和4年度予算案の特徴について

次に、令和4年度予算案について、概要をご説明いたします。

はじめに予算編成にあたっての基本的な考え方を申し上げます。新型コロナウイルス感染症との闘いは、感染の拡大と縮小を繰り返しながら、2年が経過いたしました。コロナ禍の2年間は、外出やイベントの自粛・制限によって、対面でのコミュニケーションの機会が失われ、多くの生きがいや賑わいの場が制約されるなど、これまで私たちがごく当たり前に過ごしてきた日常に大きな影響を及ぼしました。

こうした状況が長期化し、社会全体が閉塞感に覆われる中、昨年末から新たな変異株であるオミクロン株による第6波が到来し、落ち着くことができない日々が続いています。

しかしながら、私たちはこうした事態に直面しても、希望に満ちた未来に向けて、区民生活に明るさと賑わいを取り戻し、心豊かな地域社会を築いていくために、着実に前へ進めていかなければなりません。

一方、これまで経験したことのないコロナとの闘いは、日常の中に見直すべき点が多々あることに気づかされ、新たな課題として認識することができました。感染防止を踏まえた新しい生活様式への移行をはじめ、これまで遅れが生じていたDXの推進、多様で柔軟な働き方をそれぞれが選択できる働き方改革など、あらゆる社会システムに対する変革が求められています。

こうした状況を受け、私たちは一日も早く、新たな社会システムを取り入れ、適応するための取組みに着手しなければなりません。これまで連綿と受け継がれてきた常識を変革することは容易なことではありませんが、コロナ禍にある今、期せずして常識を変えるという機運が社会に醸成されつつある中で、変革の機会が訪れていると確信しております。

本区はこの機会を逃すことなく、コロナ禍という未曽有の危機を変革するための「チャンス」と捉え、さまざまなことへ果敢に「チャレンジ」し、未来に向けた「チェンジ」を促すあらゆる取組みをスタートいたします。特に、コロナ禍によって気づかされた課題を解決するための取組みに関しては、単にコロナ禍以前の日常に戻るのではなく、「多様性を認め合い、包摂する社会」の理念のもと、希望に満ちた未来を描いていくための新たな一歩を踏み出すための「持続可能な復興」に注力していくことが重要であると考えております。

こうした考え方のもと、令和4年度当初予算案は、区民の皆様の日々の生活をしっかりと支える施策を展開しながらも、希望に満ちた未来を切り拓いていくため、コロナ禍の長いトンネルを抜け出そうとする今を、昇る朝日に向かって動き始める「希望の明日(あす)につなぐ あけぼの予算」と名付け、職員一丸となって取り組んでいく予算案を編成いたしました。

令和4年度予算案の規模

次に、令和4年度予算案の規模について申し上げます。

一般会計は、691億7千700万円、前年度に比べ52億2千600万円、8.2%の増となりました。また、特別会計を加えた全会計の合計は、817億1千700万円、前年度に比べ52億4千400万円、6.9%の増となっております。この予算額は、当初予算としては過去最大の規模となっております。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて、世界経済は一様に落ち込みを見せ、実質国内総生産においては、一時、リーマンショックを超える状況にまで落ち込みました。我が国においても諸外国と同様、一時厳しい経済状況に陥り、その傾向が継続するものと判断し、本区の前年度の予算編成に際しては、例年になく厳しい歳入の見通しを計上しておりました。

一方、昨今は世界経済の持ち直しが続くことが見込まれており、我が国も感染の動向を注視しながら、社会経済活動を継続する中で、景気が力強さを増していくことが期待されています。また、この状況を反映するように、税収も堅調な動きを見せており、コロナ禍の厳しい状況においても、比較的安定した歳入を確保することができました。

そのため、令和4年度の歳入予算については、現状を鑑みて、特別区税は前年度に比べ、約7億7千万円、4%の増を見込んでいるほか、特別区財政調整交付金についても、原資となる今年度の調整税等の状況を踏まえ、前年度に比べ、約17億6千万円、45.3%の増を見込んでおります。

歳入の見通しに明るい兆しがある一方で、感染拡大を受けた緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置等の相次ぐ発出によって、区内の飲食店をはじめ、中小事業者に対する影響は甚大であり、区民の皆様の家計に与える影響も深刻な状況にあります。また、各種イベントの中止や縮小が相次いだことから、長引くコロナ禍は経済的な影響のみならず、精神的にも大きな負担を与えております。

令和4年度予算案は、こうした区民の皆様の負担や不安を少しでも払拭できるように様々な施策に注力することとしました。そこで、コロナ危機という不測の事態が継続していることを踏まえ、区民の皆様の明日の生活を支えるため、財政調整基金を投じて諸施策を講じるべきであると判断し、これまで積み立ててまいりました財政調整基金から約29億円の繰り入れを行い、その財源を補うことといたしました。

あわせて、予算の適正配分を図るために、経常的経費について一定規模の縮減を促すことで既存の事務事業の再点検を行うとともに、事業の再構築等にも取り組んでまいりました。

こうした内部努力や歳入増によって、令和4年度予算案の経常収支比率は前年度に比べて2.2ポイント減少し、84.7%となりました。これは「千代田区行財政改革に関する基本条例」に規定している85%程度の財政指標から乖離はなく、安定した財政基盤が確保されたものとなっており、引き続き強固な財政基盤の維持に努めてまいります。

令和4年度予算案の具体的な取組み(四つの柱)

次に、令和4年度予算案の具体的な取組みについて申し上げます。

今回の予算案については、先に述べた特徴を踏まえた上で、四つの柱を立てて、編成いたしました。

一つ目は、「千代田区DX」です。

日々著しく進展するデジタル技術は、今や私たちの生活に必要不可欠なものとなっており、特に行政におけるデジタル技術の活用は、経済の活性化を促すことや地域課題の解決のための重要な取組みとなっています。

一方、社会は新型コロナウイルス感染拡大によって大きく変化しており、接触機会を減らし利便性を向上させるための対策や区民の生命を守り地域経済を再生するための取組みなど、デジタル化を手段とした新しい生活への移行が急務となっています。

私は区長就任時より、デジタル化を手段として、区民生活をあらゆる面でより豊かに、良い方向に変化させるとともに、業務そのものやプロセス、組織文化・風土を変革することを目的とした、DXの推進に取り組んでまいりました。

取組みにあたりましては、若手職員を中心に構成するプロジェクトチームを立ち上げ、区民サービスや働き方の改革など、先入観にとらわれることなく、自由で柔軟な発想をもって検討を重ね、その結果を本区の将来ビジョンを描いた「DX戦略」として策定し、本定例会においてお示しする予定です。

私たちは、基礎的自治体として、まずは「行政サービスのスマート化」に取り組むこととし、一部業務において、待たせない窓口のための来庁オンライン予約やキャッシュレス決済を導入し、ワンストップで書かせない窓口を実現するための実証実験や手続きのために窓口に来させない、迷わせないための区独自のポータルサイトや手続きナビゲーションの構築を進めてまいります。

また、DXを進めるにあたりましては、利用者が得る便益を第一に考え、すべてをデジタル化するのではなく、不慣れな方には、窓口等において、より丁寧な対応や紙媒体等でご案内を併用するなど、必要に応じて、人手によるサービスを組み合わせることにより、一人ひとりのニーズにあった区民サービスを提供していくことが必要であると考えます。

いずれにいたしましても、DXの推進により、区民が、いつでも、どこでも、一人ひとりのニーズにあったサービスを選択することのできる、多様な幸せが実現できる社会をめざすとともに、事務の効率化や職場環境改善等を図ることで、私たちの職場をより働きやすいものへ変革してまいります。

二つ目は、「ウォーカブルなまちづくり」の推進です。

改定都市計画マスタープランは「つながる都心」を目指すべき将来像としています。この将来像の実現に向け、人々の交流と賑わいを創出するとともに、コロナ禍を克服し、地域に明るさを取り戻すために、「ウォーカブルなまちづくり」を進めるものであります。

千代田区は、我が国の中心として、政治、経済、教育、文化など様々な都市機能が集積し、多くの人材が交流するなかで、質の高い多様な社会サービスが受けられる唯一無二の都市として発展してきました。しかし、新型コロナのパンデミックにより、一時、「灯(あかり)が消えたようなまち」となったことはご案内のとおりです。多くの人々が外出を控え、住まいに籠る生活を強いられ、活発な都市活動をよりどころにしていた地域経済は疲弊しました。

一方で、リモートワークの進展やネットスーパーの普及など、働き方や暮らし方が変わりました。アフターコロナは、コロナ前に戻るのではなく、ニューノーマルを前提に新たな都市生活へと進化していかなければなりません。

足掛け3年にわたるコロナ禍の中で、私たちは改めて二つの価値に気づきました。一つは、道路や公園、河川など、屋外空間の大切さです。そして、もう一つは、人と会い、喜びや感動を共有するリアルな交流の大切さです。

そこで、道路や公園、広場、水辺などを快適で居心地の良い「まちのリビング」に変え、人と人とのリアルな交流を生む「ウォーカブルなまちづくり」を進めます。

具体的な取組みとして、昨年5月には、ウォーカブル推進都市にエントリーし、都市づくりのハードと文化・産業・観光などのソフト両面から組織横断的に検討を進めてまいりました。議会とも議論を重ねる中で、令和4年度にかけてウォーカブルまちづくり戦略を策定してまいります。

また、令和4年度は、歩道のセミフラット化の推進や千鳥ヶ淵緑道の高度な維持管理など道路環境の改善を着実に進めるとともに、戦略に基づき、パーキングや広場など既存ストックを居心地の良い空間に変える「プレイスメイキング」の実証実験など、計画や戦略を「実行」に移す取組みを進めます。

さらに、ウォーカブルにとって重要な要素である水辺のポテンシャルを発揮させるため、川沿いのまちづくりガイドラインを策定してまいります。

三つ目は、「2050(にせんごじゅう)ゼロカーボンちよだ」の実現に向けた取組みです。

一昨年6月、区議会は全会一致で「気候非常事態宣言」を決議されました。私もこの危機感を共有し、昨年10月地球温暖化対策条例を改正し、11月には気候非常事態を宣言いたしました。これにより、私たちの子や孫の世代のためにも「ゼロカーボンちよだ」という困難な課題に区議会とともに取り組む決意を示したものであります。

2050年にゼロカーボンを実現するうえで、2030年までの取組みが重要です。地域推進計画では、2013年比で42.3%削減することを目指していますが、これをさらに戦略的に進めるために、2030年までに区内でゼロカーボンを達成する地域の創出に挑戦いたします。

千代田区は、政治経済の中心地として活発な都市活動が繰り広げられており、その結果、大量のCO2が排出されています。その約8割が区に集積する事業者の業務活動によるものであり、業務系のCO2排出量の削減が「ゼロカーボンちよだ」実現のカギとなります。

一方で、地球温暖化や気候危機を背景に脱炭素社会実現に向けた取組みが加速する中で、環境対策は経済成長を妨げるものではなく、成長の機会と捉えられるようになりました。技術革新によりCO2排出量を削減し、持続可能な社会を実現させる「GX・グリーントランスフォーメーション」の考え方も浸透してまいりました。この劇的な変化(パラダイムシフト)を背景に成長が期待されるエネルギーや運輸、自動車、情報・通信、都市開発などの分野の企業群が集積していることは、千代田区の強みとも言えます。

こうした地域特性を活かし、業務地域をターゲットとして2050年に先駆け、2030年までに区内にゼロカーボン地域を出現させることを目指します。
具体的な取組みとして、大丸有地域などにおいて、徹底的な省エネやエネルギーエリアマネジメントの推進、先端技術の実装などともに、地方と連携したRE100(アールイー百)電力の導入などにより実現は十分に可能であると認識しています。

先般、これを後押しするように、環境省が2030年度までにゼロカーボンを先行して実現する「脱炭素先行地域」の選定を行うため、地方自治体に対する計画提案の募集があり、区としても採択に向け、具体的な検討を開始いたしました。

また、令和4年度予算では、地方と連携し、環境付加価値がある産地指定の再生エネルギー由来の電力の供給促進や、地方における再エネ発電施設支援などの検討をしてまいります。このような取組みは、先行地域の提案としても非常に有益であると認識しています。

さらに、家庭や中小事業者に向けて、再エネ電力への切り替えについて理解促進を図るとともに、啓発品の支給や環境配慮の認証を行うことで普及を図ってまいります。

加えて、千代田区に集積するGXの知見や地方連携の取組、そして、次世代を担う学生や子どもたちのメッセージを共有し、発信するため「ゼロカーボンフォーラム」を開催いたします。

令和4年度予算案の具体的な取組み(分野別重要施策)

最後に、四つ目については、区民生活全般に関する重点施策として、「区民の命と健康を「まもる」」、「生活を「ささえる」」、「明るさや賑わいを「つくる」」の三分野からなる取組みとなっております。

まず、一点目は「区民の命と健康を「まもる」取組み」です。

業務がひっ迫する保健所の体制強化をはじめ、これまで継続して行っている「新型コロナウイルス感染症対策」等に時機を逸することなく迅速かつ着実に取り組んでまいります。

また、妊娠、出産、子育ての悩みを抱える妊婦や出産後の母親に対するケアとして、保健師によるオンライン上での面接を開始し、産後うつや児童虐待の未然防止に取り組んでまいります。

さらに、生活環境の改善に向けた取組みとして、公衆喫煙所整備助成の拡充等を図り、喫煙所の設置を加速化させるほか、まちの風紀を保つために客引き行為等の防止対策として、地域の巡回パトロールを強化いたします。

次に、二点目はコロナ禍で疲弊した区民の皆様の「生活を「ささえる」取組み」です。

まず、障害や発達に課題のあるお子さんについては、それを早期に発見し、適切な療育支援にいち早くつなげていくことが極めて重要となります。このため、専門の療育機関で検査や療育等を受けた場合の助成対象を0歳児まで拡大し、早期からの療育支援を推進するとともに、児童福祉法に基づく障害児通所支援サービスの利用者負担についても区の補助対象を拡大し、保護者の負担軽減を図っていくほか、「さくらキッズ」に看護師を新たに配置し、医療的サポートが必要な場合にも安心して利用できるよう体制を強化いたします。

また、児童・生徒等それぞれの多様性を尊重し、児童・生徒等の状態に応じた指導・支援を受けることで、有意義な学校生活を送ることができるように、学校・園に、心理や言語の専門知識を有する人材や、特別支援学校等での指導経験を有する人材を適切に派遣・配置し、児童・生徒等の状態に応じた指導・支援を実施していくための体制の充実を図ります。

さらに、富士見小学校に、知的障害特別支援学級を新設し、多様なニーズに対応した指導・支援の充実を推進するとともに、小学校の知的障害特別支援学級に在籍する児童の通学に際し、添乗員付きの車両を運行して、従来までの登校支援に加え、小学校から自宅付近までの下校支援も行うことで、児童本人と保護者の負担を軽減いたします。

次に、高齢者の支援に関しては、高齢者が地域の中で孤立することなく、安心して日々の暮らしを送れるよう、これまで神田地区のみであった高齢者の見守り相談窓口を麹町地区にも増設いたします。

また、高齢者がお薬手帳を使用する機会を利用して、医療機関や介護事業所等の関係者が気兼ねなく見守り活動にあたることができる仕組みをスタートさせるほか、認知症高齢者等の支援に積極的な区内の企業や大学の登録制度を創設する等、地域における認知症サポート体制を強化し、隙間のない見守り体制を構築いたします。

三点目は、「明るさや賑わいを「つくる」取組み」です。

コロナ禍によってダメージを受けた地域経済を活性化させるため、日本の政治・経済・文化の中心地として発展してきた本区の特性を活かし、千代田区にふさわしい新しい産業の振興とブランド力の向上を図っていくための検討を開始いたします。特に、スタートアップと称される革新的なビジネスに取り組む事業者の支援として、区の資源である大学や企業等との交流の機会をつくり、地域内でのイノベーション創出を促すことで、区内産業を活性化させる方策を検討いたします。

また、コロナ禍によって衰退が懸念される地域コミュニティについて、デジタルツールを活用した新たなコミュニケーションが進んでいる一方で、年齢や階層等による格差、いわゆるデジタルデバイドも課題となっています。この格差を解消するため、区内でコミュニティ活動を行っている方々を対象にしたスマートフォンアプリの体験講習会や個別相談などのアフターフォローを実施するとともに、ICT機器の活用環境を整備する費用を助成するなど、デジタルツールを活用した地域コミュニティ活性化の促進に取り組みます。

令和4年度予算案につきまして、ただいま、ご説明いたしましたが、未曽有の危機といわれる状況にあっても、区民の皆様の明るい未来を拓き、持続可能な社会を実現するため、私は、区民の皆様や議員の皆様のご理解とご協力をいただきながら、力強い区政運営に取り組み、令和4年度もさらに前進を期してまいります。

議案

最後に、今回提案いたしました諸議案についてでございます。

まず、予算案件といたしまして、令和3年度千代田区一般会計補正予算第9号の、1件、令和4年度千代田区各会計予算が4件で、計5件であります。

次に、条例関係でありますが、新たに条例を制定するもの、1件、条例の一部を改正するもの、11件の、計12件であります。

このほか、規約の一部を変更するもの、1件で、今回の付議案件は、合わせて18件であります。

何とぞ、慎重なご審議の上、原案どおりご議決賜りますようお願いを申し上げます。

以上をもちまして、令和4年第1回区議会定例会の開会の挨拶といたします。

ありがとうございました。

令和4年2月17日 千代田区長 樋口 高顕

(注意) 本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他若干の変更があることがあります。

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