更新日:2024年6月19日
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令和6年第二回区議会定例会の開会にあたり、私の区政運営における所信を申し上げます。
はじめに、本区の工事契約に係る不正行為について一言申し上げます。
この度の事態により、区民の皆さまに多大なるご心配をおかけしておりますことを、改めて深くお詫び申し上げます。
本区の元部長と元区議会議員が官製談合防止法違反で2回、逮捕、起訴され、このうち元議員は、入札情報を教示した見返りに業者から商品券等を受け取ったという容疑で、3月にもあっせん収賄で逮捕、起訴されております。
4月4日には、3名の職員等が書類送検される事態が発生いたしましたが、翌週の11日には不起訴処分となりました。刑事事件としては不起訴でありましたが、地方公務員としての規律と秩序を維持するため、6月5日、関係する職員に対し、懲戒処分を行いました。
また、元部長については、6月13日、東京地方裁判所において、懲役1年6か月、執行猶予3年の有罪判決が言い渡されました。
今回の事態を受けて全職員に対して、改めて全体の奉仕者である私たちの仕事とその目的が何かを自ら問いかけ、その職責を全うすること、そして、区民の皆さまへのサービスの停滞や低下を招くことのなく職務を遂行するよう、指示をしております。
区として、これまでも不正行為を防止するための様々な制度等を設けていたにもかかわらず、不正を防ぐことができなかったことを重く受け止めております。今後は、区職員と区議会議員の不適切な関係性を改善することを中心として、不正行為を未然に防止するための現行諸制度等を総点検するとともに、第三者機関のご意見を踏まえまして、実効性のある再発防止の取組みを進め、区民の信頼回復に全力で努めてまいります。
さて地域では、新型コロナ感染症が5類に移行してから1年が経過し、オフィスへの人の回帰が進むとともに、まちに人流が戻ってまいりました。多様な活動が活発に行われるようになり、昨年の神田祭や今月行われた山王祭をはじめ、さまざまな祭礼が盛大に執り行われました。私自身、各地の祭礼行事に参加させていただき、多くの人が集い、明るい表情を見せておられる姿に触れ、前に向かって歩き出そう、チャレンジしようという力を得ました。それぞれの祭りが区内の各地域で長く継承されてきた文化の要であり、地域の誇りであり、コミュニティの求心力となっていることを肌で感じた次第です。
祭礼文化の継承は、町会の絆とともに、新たに町会に関わりたい人々との絆を作る可能性を秘めています。その起源が必ずしも明らかになっていないものもありますが、地域に根差した千代田区の「祭り」は、文化的遺産としても高い価値を持っています。区としてもその価値を再確認するとともに、「祭礼文化の継承」に着目し、伝統と文化の継承とその担い手となるべき区民の参画について、地域の皆さまと一緒に考えてまいります。
この祭礼文化を支えてくださっている町会に目を向けますと、防犯・防災、清掃・環境美化、会員への情報提供、レクリエーション、高齢者の見守りなど、多岐にわたり地域に貢献をされています。区では、町会役員の負担軽減や活性化に向けて、町会内での情報共有の円滑化、町会間の連携やネットワークの強化に加え、町会の裾野の拡大に取り組んできました。まちの活力を一層増すために、最近増えている福祉、教育、まちづくりなど、さまざまな分野のコミュニティの活動が横断的に連携できるよう、これらのグループと町会などのネットワークをつなぐ「橋渡し」にも努めてまいります。これまでも、区は「コミュニティラボライブ」などを通じて、地域に関わる人々や団体と町会などとの間で情報共有や意見交換の機会を作ってまいりました。今後は、町会と地縁によらない団体が、お互いの強みと弱みを共有しながら補完し合い、相乗効果を発揮できる関係を築く取組みについても検討してまいります。
次に、まちの活力を創出する、産業コミュニティ形成の取組みについて申し上げます。
千代田区は、政治・経済の中心地であるだけでなく、多様な文化の集積地、発信地として発展してまいりました。区内の各地域には多くの人々や事業者が集まり、それぞれが互いに切磋琢磨し、また協力しあって昭和から令和に亘る激動の時代を乗り越えてきました。また、区内には、社会・経済・文化、先進技術など多様な事象を研究する大学などの高等教育・研究機関も集積しています。さらに、革新的なアイデアで成長が期待されるスタートアップも多く存在しています。
これまでつながりの少なかった、こうした主体が互いに交流し、高め合う環境を醸成することによって、新たな価値の創造やイノベーションを促す取組みが、産業コミュニティ「千代田Culture×Tech」です。
参加メンバーも、半年で会員数が140名を数えるまでになり、去る5月15日、16日には、区は「千代田Culture×Techビジネスコンテスト2024」で選ばれた区内スタートアップ企業3社とともに、東京都が主催するアジア最大級のスタートアップイベント「SusHi Tech Tokyo 2024」に共同出展いたしました。千代田区の取組みと区内の特徴あるスタートアップ事業者を、日本のみならず、世界各国からの来場者に向けて発信することができたものと認識しております。
今年度はさらに、次世代の千代田を担う在住、在学の中高生向けに、夏休み期間を利用して区内大学の協力のもと、学生アイデアソンを開催します。「アイデアソン」とは、Idea(アイデア)とMarathon(マラソン)を組み合わせた造語で、特定のテーマについてアイデアを出し、競い合うプロジェクトです。このほか、地域の生徒、大学、起業家をつなぐ事業、スタートアップと地域の事業者との交流会、スタートアップの持つ技術とそれを必要とする企業をつなぐマッチングなどを予定しています。
新たなつながりが生む化学反応、発見、アイデアを通して活気を生み出し、区民の地域での暮らしをより豊かにするとともに、千代田区というまちのブランド価値を高める産業まちづくりに向けて、引き続き取り組んでまいります。
続いて、まちに活気をもたらす場を創出する取組みについてです。
昨年9月、「公園で花火をしたい」という子どもたちの声を受けて、神田児童公園、東郷元帥記念公園の2か所での花火利用を試行的に実施しました。通常、公園内では火気厳禁とのルールがある中、その整合性が課題との指摘もありましたが、参加された親子、お子さんたちから「賑やかなところで花火をするのは初めてで楽しい」「夏の思い出ができた」「来年もぜひお願いしたい」と好評を得ました。そのため、今年も夏休みの子どもや親子のご要望に応え、手持ち花火ができる公園を昨年から大幅に拡大し区内8か所で実施します。さらに新たな取り組みとして、一部の公園・広場においては、熱中症対策にも配慮しながら、夏休みの午前中に子どものボール遊び等の場所を確保することといたしました。
また、日本橋川エリアを区民が楽しめる空間にすべく、活用策を検討します。令和3年度に実施した世論調査では、区内の水辺環境の満足度で「どちらでもない」が4割強、次いで、「満足していない」が約4割と大半を占めており、一方で「水辺でしたい活動」について「散歩」が8割台半ばと、最も高い結果でした。
日本橋川エリアは、川の上空のほぼ全域を首都高速道路が覆っており、エリアの大部分は大規模な公共施設・業務施設が占めています。その中でも、上流側には飯田橋アイガーデンエア近くの整備された歩道、下流側には大手町川端緑道があり、一部区間ではありますが親水性の高い歩行者空間が整備されています。日本橋川の歴史や文化を踏まえつつ、東京都と緊密に連携を図りながら、区民が水辺区間や景観を楽しめるよう、様々な工夫を凝らしながら活用策を検討していきます。また、水質改善についても関係機関に強く働きかけてまいります。
近年、猛暑や大雨被害が増え、国内に限らず、洪水や干ばつなど温暖化の影響とみられる災害が世界で頻発し、人々の生活を脅かしています。気候非常事態を宣言している千代田区においても脱炭素の歩みを進めていかなければなりません。
今後新たに、民間事業者と連携し、ペロブスカイトの太陽電池を活用した実証事業を開始します。ペロブスカイトは将来成長が期待される技術であるため、区で率先して実証することで、区民の脱炭素への意識を高め、技術の普及を後押ししていきます。
資源利用の脱炭素化も進めていきます。今年3月には「千代田区食品ロス削減推進計画」を策定し、2030年度までに2000年度比で食品ロス量を半減することを目標としています。10月の食品ロス削減月間に向けて、情報発信や環境教育・学習を推進することで、食品を無駄にしない意識醸成とその定着を図ります。とりわけ、子どもの食品ロス削減への関心を高め、子どもが家庭でリーダーとなって家庭で楽しみながら具体的に行動できる取組みを進めてまいります。
最後に、今回提案いたしました諸議案について申し上げます。
まず、予算案件といたしまして、令和6年度千代田区一般会計補正予算第1号の、1件であります。
次に、条例関係ですが、条例の一部を改正するもの、5件であります。
次に、契約関係ですが、南堀留橋塗装塗替等工事請負契約について1件、災害対策用備蓄物資の購入に関するもの3件、防災行政無線操作卓等の購入に関するもの1件の、計5件であります。
また、報告案件として、
令和5年度千代田区一般会計予算の繰越明許費に係る歳出予算の繰越しについて
雉子橋補修補強工事請負契約の一部を専決処分により変更した件について
錦華公園改修工事請負契約の一部を専決処分により変更した件について、の計3件で、
今回の付議案件は、合わせて14件であります。
何とぞ、慎重なご審議の上、原案どおりご議決賜りますようお願い申し上げます。
以上をもちまして、令和6年第二回区議会定例会の開会の挨拶といたします。
ありがとうございました。
令和6年6月19日 千代田区長 樋口 高顕
(注意) 本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他若干の変更があることがあります。
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