更新日:2025年6月13日
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令和7年第2回区議会定例会の開会にあたり、私の区政運営における所信を申し上げます。
私は、先の第1回区議会定例会において、本年度当初予算をご提案するにあたり、まずは、暮らしを守る物価高騰対策を最優先としつつ、併せて「最高水準の災害・防犯対策、世界一安全安心なまち」、「子育て世代やシニア、障がい者、一人ひとりが輝ける社会」、「環境・デジタル・文化・スポーツで100年後も持続的に発展する都市」の3つを柱に、2期目の区政を進めていくという方針を示させていただきました。
本定例会は、令和7年度当初予算をご議決頂いてから最初の区議会定例会となりますので、これらの方針に基づく取組み状況について申し上げます。
まずは最優先課題として挙げております、物価高騰対策についてです。
現在もなお、円安の進行や国際情勢の変化により、光熱水費、食料品、日用品、衣料品、通信費、エネルギー、サービスなど、生活に欠かせないあらゆる分野で価格の上昇が続いており、区民の皆様の家計に深刻な影響を及ぼしています。
こうした厳しい状況を踏まえ、物価高騰から区民の皆様の暮らしを守る施策として、1人あたり5,000円分のプリペイド型ギフトカードの配付事業を、就任直後の区議会定例会でご提案申し上げ、令和6年度最終補正予算としてご議決いただきました。
区民の皆様の生活を支える事業としてギフトカードをお送りするのは、本区初の取り組みであります。受取りに係る申請手続を不要とすることで、迅速かつ確実に、区民の皆様のお手元にお届けできる仕組みといたしました。カードは、日常生活に必要な品物を取り扱う幅広い店舗でご利用いただけるため、生活必需品への支出を支援するとともに、区内経済の活性化にもつながるものと期待しております。
なお、このカードには千代田区にお住まいのすべての方々への応援の気持ちを込め、本区独自のデザインを施しました。桜色を基調に、高齢者、子育て世帯、単身者など、多様な区民が買い物を楽しむ様子を描いており、手に取った方々に少しでも温かさを感じていただければと願っております。
区民の皆様が、早期にご活用いただけるよう、本年7月末から8月にかけての配付開始を目指し、準備を急ピッチで進めております。
次に、「世界一安全安心なまち」を目指す取組みのうち、防犯対策について申し上げます。
近年、「トクリュウ」と呼ばれる匿名・流動型の新たな犯罪が社会問題となっております。こうした状況を受け、東京都では、防犯カメラなどの機器を個人で設置する際に費用を補助する「防犯機器等購入緊急補助事業」を開始しました。
区においても、区民の皆さまが日々の暮らしの中で安心して過ごせるよう、東京都の補助に上乗せする独自の支援を行います。今年度限りとなりますが、最大4万円までの防犯カメラ等の設置費用を補助する補正予算案を本定例会に提出いたしました。
こうした取組みは、個人の防犯意識と行動を後押しするものですが、区といたしましても、安全・安心を確保するための有力なツールとして、防犯カメラの活用を考えております。個人情報の保護には最大限配慮しつつ、地域の要望や地域特性を踏まえて、設置を検討してまいります。
特に公園につきましては、夏に向け、一昨年から夏休みに実施している手持ち花火の解禁を、今年も区内8か所の公園で行い、また夏休みの午前中に子どものボール遊び等のできる機会を大幅に拡大するなど、子ども達や家族連れが楽しめる場所としての取組みを進めているところです。皆様がより安心して楽しめる場となるよう、安全・安心対策も併せて強化していく必要があります。既に、今年1月には錦華公園に防犯カメラを設置し、この夏には東郷元帥記念公園にも設置できるよう準備を進めております。
また、子ども達の安全・安心という観点からは、登下校時の対策が重要です。これまでは、地域住民、保護者、シルバー人材センターなどによる見守り活動が主な対策でしたが、これまで活動の中心だった地域住民の高齢化や共働き世帯の増加により担い手不足が課題となっています。そこで、本年度は、区内大学生と連携した見守り事業の拡大を図るとともに、モデルケースとして試行的に区立小学校の通学路上等への防犯カメラの設置を検討しています。
防犯カメラの設置にあたりましては、設置による犯罪の抑止や安全・安心を脅かす事態の早期の把握にとどまらず、安全・安心を確保するための迅速な対応ができるよう、青色パトロールカーとの連携強化なども併せて検討してまいります。
今後も、犯罪行為のみならず、路上喫煙、落書き、違法な客引きといった、日常の中に潜む不安要素にも戦略的に対応し、「世界一安全・安心なまち」の実現に向けて、施策を一層充実させていく所存です。
次に、「一人ひとりが輝ける社会」を目指す取組みのうち、高齢者等の住宅施策について申し上げます。
高齢者など福祉的課題を抱える方々は、年齢や身体状況等を理由に住まいを探すことが難しいうえ、低廉な家賃の物件が少ない等の千代田区の地域特性から、住宅を確保することが困難な状況にあります。
そこで、区では、民間賃貸住宅への住み替えを希望するものの、高齢等を理由に断られるなど住まい探しにお困りの方を対象として、不動産店等と連携しながらご相談に応じています。今年度は、専門相談員によるきめ細やかな相談体制の整備や、物件の紹介や内見等に同行する住み替え支援を開始します。
また、単身高齢者等の賃貸住宅における死亡事故等に対する家主の不安感を払しょくするために、高齢者の賃貸住宅への入居支援として、区と保険会社で保険契約を締結し、原状回復費などの家主の負担を補償する高齢者向けの家主サポート保険事業を5月20日から開始しています。
こうした福祉部門とまちづくり部門の双方からのアプローチによる取組みを通じ、高齢者等お住まいを探すことが困難な方でも安心して地域で居住できるよう努めてまいります。
次に、「100年後も持続的に発展する都市」を目指す取組みのうち、まず祭礼文化の継承と地域コミュニティの再生・活性化について申し上げます。
去る5月8日より、神田祭が盛大に斎行されました。神田祭は、江戸時代より続く日本三大祭の一つであり、徳川将軍の上覧を仰いだ「天下祭」として、全国にその名を知られる千代田区の誇るべき文化資源であります。
本年は2年に一度の本祭にあたり、神田神社を中心に、氏子地域の町会の皆様をはじめ、企業、学校、地域団体など多くの方々のご尽力により、賑わいと活力に満ちた祭礼が繰り広げられました。
神幸祭の行列や連合宮入、地域における神輿の巡行やお神酒所の運営など、祭礼の随所において、町会長、婦人部・女性部や青年部をはじめとする多くの皆様が、準備から後片付けに至るまで献身的に支えてくださっている姿を拝見し、地域の絆と底力を改めて実感いたしました。
祭礼は単なる伝統行事にとどまらず、地域に根差し、世代や立場を超えた交流を生み出すことで、地域コミュニティの再生と活性化に大きく寄与するものであります。
本区にはほかにも、地域に根付いた多様な祭礼が継承されており、それぞれが町会や地域団体、企業、大学、そして多くの区民の皆様の協働によって支えられています。
町会加入率の低下や担い手不足といった地域コミュニティの課題が顕在化する中、特に若い世代や新たに地域に加わった方々が、祭礼を通じて地域と関わる機会を得ることは、意義深いものと認識しております。千代田区における祭礼文化の継承は、地域の伝統と誇りを次世代へとつなぎ、持続可能な地域社会の形成に資するものであります。
こうした認識のもと、本年度後半より、祭礼文化の継承を支援するための具体的な手法の検討を開始いたします。併せて、江戸期の天下祭における江戸型山車や附け祭など、当時の祭礼文化の研究にも取り組み、その文化的価値を広く発信し、地域の魅力向上にもつなげてまいります。
また、町会活動の支援に関しましては、地域や町会の実情や課題を丁寧にお伺いしながら、個別のニーズに応じた「オーダーメイド型」の支援のあり方を検討してまいります。
具体的には、7月以降、各町会の実態と課題を把握するためのアンケートやヒアリングを実施し、その結果を踏まえて、町会運営や活動における支援プログラムの構築と町会長等の負担軽減について検討するとともに、町会等の地域コミュニティに関する情報発信の強化にも取り組んでまいります。
次に「持続的に発展する都市」を目指す取組みのうち、神保町のまちづくりと、日本橋川周辺のにぎわい創出について申し上げます。
まず、神保町についてです。世界有数の規模を持つ古書の街として知られ、歴史と文化が息づくまちです。また、大学や出版社、書店、飲食店などが集まり、新しい文化が生まれ続ける活気ある地域として多くの方々に認識されています。しかしながら、この魅力的なまちも課題を抱えております。老朽化した建物や複雑かつ狭小な敷地の存在、生業の継続といった問題により、まちの機能更新が進みにくい状況にあります。
こうした状況のなか、昨年度には東京都の支援も受け、地域の課題や特性を整理するなどの取組みに着手し、課題を解決するための具体的な方策を検討しております。
5月28日には、古書店をはじめ、出版社、書店、近隣大学や町会などの方々を構成委員とした「神保町地域まちづくり協議会」を設立し、学識経験者をお招きし、業種の垣根を超えた具体的なまちづくり方針の検討を開始しました。
さらに、6月2日には活字文化議員連盟による「神保町ナイトウォーク企画」が行われ、超党派の国会議員の方々が神保町を視察し、私も同行したところです。同議連の上川陽子会長は、神保町の書店街を「日本の知のプラネタリウム」と表現し、この事例を全国の書店に広げられるような支援を目指す意向を表明されました。このように、神保町の持つポテンシャルには国からも大きな期待が寄せられております。
今後、区は「神保町地域まちづくり協議会」において具体的な方針をさらに検討してまいります。また、地元の皆様の声を伺い、都や国と連携しながら、神保町の未来を築けるよう努めてまいります。
次に、日本橋川周辺のにぎわい創出についてです。
現在、東京都において基本方針を取りまとめているところですが、千代田区においても、周辺のまちづくりとの連携を図りながら、江戸から続く文化を継承・発展させ、新たな水の都の実現に向け、取組みを加速してまいります。日本橋川エリアを区民が楽しめる空間にすべく、まずは大手町川端緑道において歴史資源・祭礼文化等をいかした回遊性を創出する等、賑わい創出に向けたウォーカブルな取り組みを検討していきます。また、水質改善についても関係機関に強く働きかけるとともに、区としても新たな技術の活用などを視野に実証事業等を進めてまいります。
最後に、今回提案いたしました諸議案について申し上げます。
まず、予算案件といたしまして、令和7年度千代田区一般会計補正予算第1号の、1件であります。
次に、条例関係ですが、条例の一部を改正するもの、6件であります。
次に、契約関係ですが、西神田コスモス館外壁・屋上防水等改修工事請負契約について1件、区立内幸町ホールの改修に関する工事請負契約について2件、災害対策用備蓄物資の購入について1件、議場会議システム及びAV機器の購入について1件の、計5件であります。
また、報告案件として、令和6年度千代田区一般会計予算の繰越明許費に係る歳出予算の繰越しについて1件で、今回の付議案件は合わせて13件であります。
何とぞ、慎重なご審議の上、原案どおりご議決賜りますようお願い申し上げます。
以上をもちまして、令和7年第2回区議会定例会の開会の挨拶といたします。
ありがとうございました。
令和7年6月11日 千代田区長 樋口 高顕
(注意) 本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他若干の変更があることがあります。
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