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更新日:2024年9月12日

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令和6年第3回区議会定例会区長招集挨拶

令和6年第三回区議会定例会の開会にあたり、私の区政運営における所信を申し上げます。

はじめに

まず、令和6年1月に発覚した本区における官製談合防止法違反事件についてです。

本事件につきましては、区民の皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけするとともに、区政に対する信頼を損ねる結果を招いたことを深くお詫び申し上げます。区では再発防止に向けて、庁内に「入札不正行為に関する調査及び再発防止対策検討委員会」を設置するとともに、公正・中立な立場から専門家のご意見をうかがうため、「入札不正行為に関する再発防止対策有識者会議」を設置し、対応を検討してまいりました。その間の調査内容や検討内容、有識者会議からの意見などを踏まえ、7月に再発防止検討報告書を取りまとめました。

有識者から本事件の要因として指摘を受けましたのは、談合などの不正行為への関与について、幹部職員側に事の重大性に関する認識が希薄であったこと、組織のガバナンスの脆弱性や区議会議員との関係を規律するルールが曖昧であることでした。区の再発防止の取り組みにおいてはこうしたご指摘を踏まえ、議員や利害関係者との関わり方に関すること、職員倫理に関すること、契約に関することの3つの課題を設定し、再発防止策をまとめています。

今後は、「再発防止策」の内容に沿った取り組みを着実に実行することにより、全ての職員が二度と不祥事を起こさないという強い決意のもと、全庁を挙げて再発防止に取り組んでまいります。加えて、区民の皆様とのより一層の信頼構築を目指し、新しい組織風土を築く改革として、組織とのつながりの深化や職員間のコミュニケーションの活性化などを通じ、区民サービスの向上に資する組織変革に取り組んでまいります。

1 猛暑対策、風水害対策について

さて、今年の夏は例年にない猛暑となり、記録的な猛暑となった昨年を上回り、東京では熱中症警戒アラートが発令された日数が、7月から8月にかけて34回にも上りました。

区では連日続く猛暑対策として、これまでの熱中症対策に加え、神保町交差点や淡路公園にテントや日よけを設置する取組み、外遊びができない子ども達のために、冷房の効いた小学校の体育館を開放する取組み、また、高齢者への見守り訪問や電話相談を通じた安否確認の強化など、子どもから高齢者まで、地域の皆様や職員の命を猛暑から守る取組みを行ってきました。

9月以降も、厳しい残暑が続くとの観測もあり、引き続き猛暑対策を継続していくと共に、来年度以降も「酷暑災害」ともいうべき事態への対策をより一層強化してまいります。

また、これからの季節は台風や大雨などの風水害にも万全の対策が必要です。

先月には近隣区で1時間100ミリメートルの雨量が記録されるなど、気候変動によって豪雨が激甚化・頻発化しています。現時点では区内で大きな被害は生じておりませんが、地下鉄市ヶ谷駅に雨水が流入する報道では、ゲリラ豪雨の被害が身近になっていることを実感しました。

これまでの想定をはるかに超えるような雨が降った場合に備え、区としても対策を検討する必要があります。日ごろからゲリラ豪雨を想定した対策を啓発し、早期警戒の周知、警戒情報のこまめな修正と更新を行うとともに、区民の安全を守るための取組みを進めてまいります。

2 就学前教育及び子育て施策の充実について

次に、子育て施策について、申し上げます。

就学前教育及び子育て施策の充実に向けて、昨年度策定した「千代田区子育て・教育ビジョン」及び今年度「第3期千代田区子ども・子育て支援計画」の策定を進める中で、区立幼稚園のあり方について検討を行っているところです。

区立幼稚園の園児数の過去10年の推移を見ますと、平成30年度のピーク時の728人と比べて、令和6年は515人と、30%程度減少しています。本年3月に取りまとめた「子育て支援に関する区民ニーズ調査」では、幼稚園を利用されていない未就学児の保護者に、必要とするサービスについて伺い、改めて給食や長時間保育などのニーズの高さが明らかになりました。

こうした状況を受け、現在給食を実施していない幼稚園4園のうち、すでに多様な保育需要を見据えて調理室スペースを確保できているお茶の水幼稚園において、令和7年度早期の給食提供に取り組むことといたしました。そのためには本年度中に準備作業を開始する必要があり、調理室に必要な整備に関する経費について、今定例会に補正予算として提案しております。

幼稚園の給食は、保護者の子育て支援もさることながら、食育の観点から子どもの健全な育成に寄与するものでもあります。保護者や現場の声を受けとめ、区立の全ての園での給食提供を目指し、調理室の確保が困難な麹町幼稚園や九段幼稚園、番町幼稚園の3園について、給食提供の方策等の調査・検討を進めてまいります。

引き続き、地域への子育て支援事業や特別な教育プログラムの導入など、子どもたちが健やかに成長できるよう、幼稚園のあり方の検討を進め、次年度の園児募集に際して保護者の方々のニーズに応じた選択につながるように努めてまいります。

3 令和5年度決算状況と令和7年度予算編成について

令和5年度決算について

次に、令和5年度決算について申し上げます。

令和5年度予算は、アフターコロナ社会の兆しを感じつつも、いまだ新型コロナウイルス感染症の拡大が予断を許さない中、エネルギー価格高騰に伴う光熱費の上昇が区民生活や事業運営に様々な影響を与えていた厳しい状況のもとでの予算編成を行いました。

このような背景のもと、一般会計予算は第4次基本構想で掲げる将来像をめざすための初年度予算として位置づけ、区民の生活と健康を支える様々な施策を着実に実施し、コロナ禍からの本格的な復興、そして、新たな躍進に向けて立ち上がるために必要な事業を、積極的に予算化しました。

また、長引く物価高騰に対応するために、5回に及ぶ補正予算を編成し、低所得世帯や子育て世帯等への様々な対策にも取り組んでまいりました。

これらの取り組みを実施しました令和5年度決算につきまして、特徴的な内容をご説明いたします。

まず、歳入についてです。特別区税や地方消費税交付金などの一般財源をコロナ禍でも堅実に収入することができ、歳入総額約741億円で前年度比約56億円の増となりました。

歳出については、建物の耐震化等促進事業、自転車通行環境整備など一部の事業で見込んでいた予算執行に至らない状況もありましたが、歳出総額約713億円で前年度比約51億円の増となりました。執行率は前年度と同じ85.4%となっております。

その結果、実質収支額は約24億円の黒字でした。また、財政運営の指標とする旨を定めた健全化を判断する4つの指標のいずれもが適正な数値となっており、引き続き健全な財政を維持しております。

今後も、千代田区第4次基本構想とともに策定しました「今後の行財政運営の考え方について」に基づいて、健全な行財政運営に取り組んでまいります。

令和7年度予算について

次に、令和7年度予算編成について申し上げます。

時代の変化が早く、区民ニーズが多様化する中、より良いサービスを届けるためには、組織のあり方を変えていく必要があります。

組織変革を進め、利用者視線で「誰のために何をするのか」、「どうやって届けるのか」を常に考え、所管の垣根を越えて施策の展開を図ってまいります。

施策の分野ごとに申し上げますと、出産・子育て支援や教育の充実、子どもの遊び場となる公園の整備等、子どもたちが健やかに育ち、安心して生活できる環境の整備に引き続き取り組んでいく必要があります。

様々な自然災害に備えたハード・ソフト両面での防災施策を推進するほか、排出量の多い事業系の紙ごみ等の削減、食品ロス対策など、脱炭素社会の実現に向けた多角的な施策の展開にも取り組んでいかなければなりません。

その他にも、地域コミュニティ活性化の取組み、高齢者・障害者福祉サービスの充実、多様性を認め合う社会づくり、地域経済活性化や物価高騰に対する支援、区有施設の効果的な整備や利活用、ウォーカブルなまちづくり、スポーツ・文化芸術の振興などにも積極的に取り組んでいくことが求められます。

こうした中、第4次基本構想の下で、将来にわたり持続可能な地域社会の発展を実現するためには、行政手続きの利便性向上などあらゆる分野でデジタル技術を活用した取組みを推進する必要があります。

以上のような認識の下、不確実性の高い時代においても安定的・継続的な区政運営を推進するため、令和7年度予算の編成に取り組んでまいります。

一般会計補正予算案について

次に、補正予算について申し上げます。

先に述べましたお茶の水幼稚園における給食開始に向けた準備経費のほか、予防接種法におきまして、今年度からB類疾病として定期予防接種に位置づけられた新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種単価が、国が提示していた見込み単価よりも大幅に増加いたしました。そのため、当初予算に計上した額では接種を希望する高齢者等全員分として不足が見込まれることから、追加の予算を計上いたします。

また、令和8年度の竣工に向けて整備中である(仮称)四番町公共施設において、建設資材や労務単価の高騰及び働き方改革関連法が実施され、時間外労働の上限規制等が適用されることによる工期延長の影響などを反映させた令和7年度から令和8年度までの債務負担行為を追加いたします。

4 議案

最後に、今回提案いたしました諸議案について申し上げます。

まず、予算案件といたしまして、令和6年度一般会計補正予算第2号の、1件であります。
次に、決算案件といたしまして、令和5年度各会計歳入歳出決算の認定について、がございます。
次に、条例案件といたしまして、条例の一部を改正するもの、2件であります。

また、報告案件といたしまして、

令和5年度千代田区健全化判断比率について、1件、
後楽橋補修補強工事請負契約の一部を専決処分により変更した件について、1件
損害賠償請求事件に関し専決処分により和解した件について、3件
の計5件で、今回の付議案件は合わせて9件であります。

何とぞ、慎重なご審議の上、原案どおりご議決を賜りますようお願い申し上げます。

以上をもちまして、令和6年第三回区議会定例会の開会の挨拶といたします。
ありがとうございました。

令和6年9月12日 千代田区長 樋口 高顕

(注意) 本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他若干の変更があることがあります。

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