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更新日:2023年6月21日

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令和5年第2回区議会定例会区長招集挨拶

令和5年第2回区議会定例会の開会にあたり、私の区政運営における所信を申し上げます。

1 第4次基本構想を踏まえた今後の区政の方向性について

はじめに、第4次基本構想を踏まえた今後の区政の方向性について申し上げます。

私たちの暮らしに未曽有の困難をもたらした新型コロナウイルス感染症は、本年5月8日、感染症法上の分類が季節性インフルエンザ並みの「5類」に引き下げられました。休止されていた地域の行事も次々と再開され、まちに人が、地域には活力が戻りつつありますが、区はこれまでコロナ禍の最中にありましても、区民生活に関わる諸課題の解決に手を尽くしてまいりました。ロシアによるウクライナ侵攻に端を発する物価高騰への対策をはじめ、区民の健康維持の観点からは各種の予防接種費用の負担軽減を、疲弊した地域経済の活性化の観点からは消費喚起策や事業者への支援など、コロナ禍にありましても手を休めることなく、区民の皆様の暮らしや健康を支える取組みを、区議会の皆様のご協力のもと、適時適切に展開してまいりました。

さて今、地域社会や経済の現状は、長かったコロナ禍から回復の明るい兆しが見える一方で、この3年の間も進行していた我が国が直面する本質的な課題が一気に表面化してきております。それは少子化問題であり、地域コミュニティの希薄化、デジタル化の遅れ、労働人口の減少、地球規模の気候変動や首都直下地震のリスクなどであります。

いずれも待ったなしの区民生活に直結する課題であります。コロナ禍を経て、私たちの暮らし方・働き方、価値観が大きく変わってきたからこそ、この間に得られた学びや気付きを活かしながら、社会システムを変革し、まさにピンチをチャンスにして、明るさと豊かさを実感できる新たな時代を切り拓いていかなければなりません。

今、時代の大きな転換期を迎える中で、千代田区は、あるべき姿を明確にし、進むべき道を示そうと、区政運営の最上位に位置付けられる指針である基本構想を20年ぶりに策定しました。本年の第一回区議会定例会では、第4次基本構想を全会一致でご議決賜りました。この基本構想では、「変化に柔軟に対応し、すべての人が輝き、希望に満ちたまちを目指す」ことを理念としております。区には、住民に最も身近な地方公共団体として、区民の生活を支え、区民福祉を増進していく責務がございます。

令和5年度は新たな基本構想の初年度です。社会経済情勢の変化を的確に捉えつつ、デジタルの力を活用しながら、様々な課題の解決を図るため果敢にチャレンジし、区民一人ひとりのWell-Being(区民の皆様が幸福ですべてにおいて満たされた状態になること)を実現してまいります。

2 DXの取組みについて

次に、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の取組みについて申し上げます。

区は、コロナ禍の下ではありましたが、昨年4月に「千代田区DX戦略」を策定し、この戦略で掲げた「顧客志向の追求」、「行政内部の変革」、「情報資産の管理と運用」を基本理念として、デジタル技術を活用した区民の利便性と職員の生産性の向上を目指し、DXの取組みにチャレンジしております。

こうした中、本年第一回区議会定例会におきまして、小林副区長の人事案件を提案させていただきました。区議会の皆様には、慎重なるご審議の上ご同意を賜り、改めて厚く御礼を申し上げます。

現在、小林副区長のもと、区はDXの取組みをこれまで以上に加速させておりますが、現下のデジタル技術は飛躍的に進化しており、その変化は目まぐるしい状況にあります。特に今年に入って話題になっている「Chat GPT」に象徴される生成AI(コンピュータが大量のデータを自動で学習することによって、テキストや画像、動画など新しいデータの生成が可能な人工知能)は、人々の仕事や日常生活に大きな影響を与える可能性を秘めています。今後の取組みとして、社会の課題解決や業務効率化の観点からどのような業務に利活用できるのか、実務を通じて人と生成AIの役割を明確化していくことが重要です。区におきましては、国や都の動向を注視しつつ、セキュリティにも万全を期し、慎重な対応を心掛けながら、区政への利活用を見据えた検証を行ってまいります。

さらには、こうしたデジタル技術の急速な進展に取り残されることがないよう、DX戦略の中間時点である本年秋頃を目途に、計画に掲げた施策の取組み状況を検証してまいります。検証によって洗い出された課題や、技術の進歩などにより生じた新たな問題を整理し、アジャイルに改善(方針変更やニーズの変化に機敏に対応)しながら、戦略の残り期間も施策の歩みを止めることなく、次期DX戦略へと繋げてまいります。

加えて、「地域のスマート化」につきましては、区のさらなる成長に不可欠な取組みとして捉えております。健康医療や観光、教育など多岐にわたる分野でデジタルを活用し、快適で利便性の高い千代田区を築き上げてまいります。他の自治体や海外の主要都市で進めている「スマートシティ」の先行事例などを参考に、区民の皆様や区議会とも連携を図りながら、持続可能な仕組みの構築を検討してまいります。

真のDXの実現は、区民の皆様の信頼のもとに成り立つものと考えております。そのためにも、デジタル技術を安全・安心に利用でき、誰もがその恩恵を受けられる環境を整えることが重要であります。今後も、区民の幸福な暮らしの実現を最優先に、DXの取組みを一層推進していく所存であります。

3 新型コロナウイルス感染症対策について

次に、新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。

わが国で新型コロナウイルスの感染者が報告されてから3年の間、ウイルスが変異をしながら、季節を問わず流行を繰り返し、その都度、私たちは区民の命と健康を守るために、区内医師会や医療機関等と連携して、全庁を挙げて、力の限り取り組んでまいりました。こうした努力と地域の皆様や関係機関のご協力により、本区のワクチン接種は迅速かつ着実に行われ、また、本区では自宅療養中に亡くなられた方は一人もいらっしゃいませんでした。昼夜を問わない皆様のご尽力に、心より感謝を申し上げます。

感染症法上5類に移行した現在は、感染者の発生の届け出も、行動や就業の制限もなくなりましたが、高齢者など、重症化リスクの高い方を守るための取組みは、継続していかなければなりません。このため、ホテル療養や入院調整につきましても継続することとし、高齢者施設のクラスター防止策などの必要な支援を継続してまいります。

また、令和5年度のワクチン接種については、重症者を減らすことを目的とし、高齢者などの重症化リスクの高い方を対象とした「春開始接種」を5月から実施しており、今後は、5歳以上のすべての方を対象とする「秋開始接種」を実施いたします。引き続き、希望するすべての区民の皆様に接種していただけるよう、医療機関と連携しながら、集団接種から個別医療機関を中心とした接種体制への移行を進めてまいります。

他方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大後、季節性インフルエンザの感染者数に目立った増加は見られませんでした。しかし、昨年末からインフルエンザの感染者が徐々に増加したまま、春になっても収束せず、全国で集団感染による学級閉鎖や休校となる事例が発生しております。

また、海外からの渡航者の増加に伴い、これまで以上に感染力の強い新型コロナウイルスの変異株の出現も懸念されます。

今後も最新の情報を収集し、日常生活における基本的な感染対策の継続の周知や、重症化リスクの高い患者への適切な支援など、気を緩めることなく感染症対策に取り組んでまいります。

4 物価高騰対策について

次に、物価高騰対策について申し上げます。

令和4年度においては、食料品などの物価、あるいはエネルギー価格が著しく高騰したことによる電気やガス料金の上昇に鑑み、区民の皆様や事業所に対して様々な支援策を講じてまいりました。

区民に対する支援策としては、18歳以下の子どもを持つすべての保護者に対して、子ども1人あたり5万円を給付する子育て教育応援給付金、区立小・中・中等教育学校における学校給食費への補助金の増額、また、住民税非課税世帯へ1世帯あたり5万円を給付する電力ガス食料品価格高騰緊急支援給付金などを実施することで、物価高騰による経済的負担を軽減してまいりました。

また、私立認可保育園、学童クラブ、高齢者や障害者施設、そして、公衆浴場などの事業所に対しては、著しく増加している光熱費により、ひっ迫する経営への支援策を実施するとともに、小規模事業者に対して、高い補助率のチャレンジ・チェンジ応援補助金を交付することによって、事業者の新たな取組みを支援してまいりました。

さらに、令和5年度は、レシートを活用した区民生活応援事業のほか、融資限度額や期間が非常に有利な借り換え一本化資金を創設するなどの新たな対策を実施しております。

しかしながら、こうした様々な対策を実施しているものの、総務省統計局が発表する東京区部の消費者物価指数は、前年同月比で3.2%上昇となっており、今なお物価高騰が収まる状況には至っておりません。加えて、光熱費は、今年に入ってから下落傾向にあったものの、電気料金は6月使用分からの値上げが発表されております。

このような現状を勘案し、区では、国の令和4年度予算の予備費を原資として、東京都経由で交付される「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」を活用し、物価高騰の影響が特に大きい低所得世帯に対して、3万円を給付するための補正予算案を、今定例会に提出することといたしました。今回の給付金については、物価高騰が1年以上という長期にわたって継続している異例な状況を考慮し、従前からの対象世帯である住民税非課税世帯に加え、区独自に住民税均等割のみ課税世帯に対しても特別給付することを予定しております。

加えて、子ども・子育て施策についても同様の対応が求められます。

国においては「異次元の少子化対策」を掲げ、東京都においては「こども未来アクション」を策定するなど、子ども・子育て施策を加速させる動きが顕著になっています。

本区においては、これまでも国や東京都の子ども・子育て施策に先駆けた取組みを実施してきておりますが、加速化するこれらの動きと軌を一にして、さらに子ども・子育て施策を推進すべきと考えております。

物価高騰の長期化により、子育て世帯を取り巻く環境は引き続き厳しい状況にあります。今後も必要な対策について検討を進めるとともに、物価高騰対策、そして子ども・子育て施策の実施に向けて準備を進めてまいります。

5 議案

最後に、今回提案いたしました諸議案について申し上げます。

まず、予算案件といたしまして、令和5年度千代田区一般会計補正予算第1号の、1件であります。

次に、条例関係ですが、条例の一部を改正するもの、5件であります。

次に、契約関係ですが、雉子橋補修補強工事請負契約について1件、新川橋塗装塗替等工事請負契約について1件、災害対策用備蓄物資の購入に関するもの2件、区立お茶の水小学校・幼稚園の物品の購入に関するもの2件、特別区道千第578号(多町大通り南)及び周辺路線電線類地中化事業の施行に伴う電力引込管路工事等委託協定の締結について1件の、計7件であります。

また、報告案件として、

令和4年度千代田区一般会計予算の繰越明許費に係る歳出予算の繰越しについて
明大通りⅡ期歩道拡幅工事請負契約の一部を専決処分により変更した件について

和泉公園周辺地区道路整備工事請負契約の一部を専決処分により変更した件について
専決処分により訴訟上の和解をした件についての、計4件で、

今回の付議案件は、合わせて17件です。

何とぞ、慎重なご審議の上、原案どおりご議決賜りますようお願い申し上げます。

以上をもちまして、令和5年第2回区議会定例会の開会の挨拶といたします。

ありがとうございました。

令和5年6月21日 千代田区長 樋口 高顕

(注意) 本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他若干の変更があることがあります。

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