更新日:2025年2月26日
ここから本文です。
令和7年第1回区議会定例会の開会にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
2月2日に行われた区長選挙において、区民の皆様のご信託をいただき、引き続き2期目の区政運営を担わせていただくこととなりました。どうぞよろしくお願いいたします。
また、同日に行われた区議会議員補欠選挙においてご当選の栄誉を得られました「ふかみ貴子」議員に心よりお祝い申し上げると共に、今後のご活躍を期待いたします。
さて、現在の区を取り巻く状況ですが、円安や国際情勢の変化による物価高騰が、区民の皆様の暮らしを直撃しています。
また、本区では人口はなお増加傾向にあるものの、ペースは鈍化しており、少子高齢・人口減少社会に対する対応は、本区でも待ったなしの状況です。
首都直下地震などの大規模災害への備えと共に、近年における気候変動に伴う酷暑やゲリラ豪雨など、新たな災害ともいうべきリスクも発生しています。
加えて、体感治安の悪化やネズミによる被害のような衛生環境への懸念など、良好な生活環境を維持するための多角的な取組みも求められています。
さらに本区は、皇居周辺に代表される緑と水辺の豊かな環境を継承し、ネイチャーポジティブについて考える機会にも恵まれていながら、活かしきれていません。
また、本区は早くから都市化が進んだこともあり、地域コミュニティの衰退、マンションや中小ビルの老朽化、都市インフラの維持が大きな課題となっており、こうした課題を克服し、持続的に発展する都市を目指す必要があります。
その他にも、AIの進化など、急速に進むデジタル化が区民生活や区政運営に及ぼす影響についても注視する必要があります。
長く続いたコロナ禍からの復興を果たせたものの、社会情勢の変化は加速し、時代は大きな転換期を迎えています。
現下の諸課題に挑戦し、第4次基本構想でお示しした「伝統と未来が調和し、躍進するまち」を実現するためには、まずは、暮らしを守る物価高騰対策を最優先としつつ、併せて「最高水準の災害・防犯対策、世界一安全安心なまち」、「子育て世代やシニア、障がい者、一人ひとりが輝ける社会」、「環境・デジタル・文化・スポーツで100年後も持続的に発展する都市」の3つを柱に、2期目の区政を進めていきたいと考えております。
私は、これまで千代田区長として、現場主義を旨とし、多くの区民の皆様と思いを共有させていただきながら、新時代に向けた取組みを全力で進めてまいりました。
今後も、区民の皆様の貴重なご意見に耳を傾けながら、区民の視点から区政課題を捉え、区民の皆様と共に、地域の実情に即した施策を展開し、誰もが住みたいと思える、魅力あるまち千代田をつくっていきたいと考えています。区議会の皆様におかれましても、ご支援、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
次に、令和6年度第4号補正予算案及び令和7年度当初予算案について申し上げます。
はじめに、令和6年度第4号補正予算案でお示しした物価高騰対策についてです。
物価高騰は、光熱水費や食料品、家事用品、衣料品、通信費、エネルギー、サービスなどに及んでおり、区民の家計の負担を増大させています。
とりわけ、主食である米は5キログラムあたりの平均価格が4千円程度となっており、前年との比較で2倍近くとなっています。
これまでの物価高騰対策としましては、18歳以下の子どもを持つ全ての保護者に対して、子ども1人あたり5万円を給付する子育て教育応援給付金をはじめ、電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金、また住民税非課税世帯に加え、区独自に住民税均等割のみ課税世帯も対象とした3万円の給付など、適宜、支援策を講じてまいりました。
しかしながら、物価上昇を上回る賃上げが定着していない中で、米や野菜などの食料品、日用品をはじめ生活必需品の多くの品目で価格上昇が続く見通しとなっており、家計の負担増は、すべての区民に等しくのしかかっています。
区としても区民生活を支援するため、国の施策とも連携し、幅広く物価高騰対策に取り組む必要があります。
そこで、国の「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」を活用した補正予算案を今定例会に提出することにいたしました。
具体的には、広範かつ多様な店舗で生活に必要な食料品や日用品の購入にあてていただくことができるプリペイド型のギフトカードを全区民に配布いたします。
今回の給付にあたっては、等しく公平に支援するため、所得制限を設けず、1人あたり5千円分を一律に配布いたします。4人世帯であれば、2万円となりますので、昨今の物価高の中での生活費の一助となればと思います。
配布にあたっては手続きの簡素化を図り、区民の皆さまのお手元に夏ごろまでには届くよう、迅速な対応に努めてまいります。
次に、令和7年度予算案について、申し上げます。
令和7年度予算案は、大きな時代の転換期を迎えている今、区政の改革をさらに進め、「未来を拓き、区民生活の安心と幸せにつなげる予算」として編成しました。
令和7年度予算案の概況について、申し上げます。
一般会計は753億5,305万円、国民健康保険事業会計、介護保険特別会計、後期高齢者医療特別会計の3つの特別会計を加えた全会計合計は894億4,507万円となり、当初予算としては過去最大の規模となっております。
歳入につきましては、基幹的歳入である特別区民税は前年度並みの約207億円ですが、日本全体における税収増を踏まえ、地方消費税交付金は、前年度に比べ12億円、11%増加する116億円を見込んでいる他、令和6年度より開始した、いわゆる「ふるさと納税制度」を活用した寄附金は、前年度に比べ約16億円の増加を見込んでおります。
歳出につきましては、今後4年間区政を進めていく上での3つの柱を踏まえ、施策テーマとして、「子ども・子育て支援施策」、「高齢者施策」、「持続的に発展するまちづくり」、「デジタル技術の活用」の4つをテーマとして掲げ、それぞれのテーマごとに様々な施策を展開できるよう予算計上しています。なかでも、「子ども費」は、一般会計の約4分の1を占める196億円あまりを計上しており、子ども・子育て支援施策の一層の充実を図っています。
次に、令和7年度に実施する主な施策についてご説明いたします。
子ども・子育て支援施策につきましては、これまでもおむつのサブスクや次世代育成手当、教育ローンの利子補給などの様々な支援を行ってきました。
令和7年度は、前年度の「子育て教育環境の整備充実」、「経済的支援」、「身体的精神的支援」の3つの視点からさらに踏み込んで、総合的に取り組んでまいります。
まず、子育て教育環境の整備充実として、幼稚園環境の充実に努めてまいります。
本区の区立幼稚園4園の園児数は、毎日のお弁当の手間や預かり時間が短いことなどがネックとなり、平成30年の348人をピークとして、令和6年度は211人と40%程度減少しております。
そこで、令和7年度は給食の提供を開始するとともに、早朝及び夕方の時間帯での延長保育を実施することで、子どもの健やかな成長を支え、保護者の方々がより安心して預けられる環境を整えてまいります。
次に、経済的支援について申し上げます。
国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、子どもがいる多くの世帯が、子育て費用に不安を感じるとしています。また、理想の子どもの数を2人とする回答が50%を超える一方で、2人目以降の出産を躊躇う理由としては、子育てや教育に係る家計の見通しなどの経済的な理由が50%を超えて最も多くなっています。
そこで、妊娠前から学齢期以降までステージごとの総合的な経済支援を行ってまいります。
まず妊娠出産期においては、卵子凍結に係る費用、不妊治療に係る費用、さらに出産育児一時金を超える費用に対する助成を行います。
次に、中高生世代応援手当についてです。
区はこれまでも国の児童手当の対象とならない子どもに対して、区独自に所得制限なしで対象を高校生相当まで広げた「次世代育成手当」を支給してまいりましたが、国が児童手当制度を拡充したことにより、区の支援策は一定の役割を終えたものと認識しております。
しかしながら、子育ての経済的な負担は依然として大きく、とりわけ中学生以降に負担が増大する現状を踏まえ、中学生及び高校生の子育て世帯を支援するため、新たに「千代田区中高生世代応援手当」を創設いたします。
さらに、学齢期以降においては、大学等進学のための給付型奨学金を実施いたします。
最後に身体的精神的支援についてです。
本区では、特別な支援を要する子どもに対して、保育支援シート、就学支援シートなどを保護者とともに作成することで、発達段階に応じた切れ目のない支援を行ってきました。
しかし、各支援シートが多岐に亘り、子どもの支援や成長について過去に実施した支援を迅速に共有したり、統合的に把握することが難しいため、引継ぎに時間がかかったり、最適な支援策が見い出しづらいといった課題がありました。
そこで、令和7年度は、各種シートの情報を統合した「(仮称)千代田区こどもカルテシステム」を構築します。
これにより、就園・就学・進学の際に関係機関が迅速に情報を共有し、それを踏まえた適切な支援が計画的に行われるようにするとともに、各シート作成に係る保護者の負担を軽減します。
次に、高齢者施策、障害者施策について申し上げます。
全ての区民の方に、住み慣れた地域で、いつまでもいきいきと自分らしく暮らしていただくためには、お互いが配慮しながら存在を認め合うことで孤立や孤独を防ぎ、安全安心な社会を築いていくことが必要です。
本区は、高齢者世帯に占める一人暮らしや高齢者のみ世帯の割合が7割という大都市ならではの特性があります。このような中でも、高齢者の日常生活を支え、地域とのつながりを感じられる、あたたかなまちづくりが求められています。
令和7年度は、認知症施策をさらに推進していくための予算を計上しております。
令和4年の認知症の高齢者数は約443万人、軽度認知障害(MCI)の高齢者数は約559万人と推計されています。その合計は1,000万人を超え、高齢者の約3.6人に1人が認知症又はその予備群と言える状況にあります。
令和4年の本区の認知症有病率は16.7%となっており、国の12.3%より高くなっていることから、今後さらなる進展が見込まれる高齢化を見据えた認知症の予防、早期発見、症状の進行抑制など、一貫した取組みをより一層強化いたします。
まず、予防の視点での支援策としまして、補聴器購入費助成を拡充します。
認知症患者の8%は難聴に起因すると言われています。米国での研究では、難聴がある認知症の人に補聴器装着などの介入をした場合に、認知機能の低下が48%抑制されたと報告されています。
すでに耳の聞こえが悪いという人にとっても、補聴器などを用いて対策を施せば、認知症を予防したり、進行を遅らせたりすることができる可能性があります。
こうした研究報告の動向を踏まえ、60歳以上の方を対象にした補聴器購入の助成限度額を引き上げ、認知症予防策の充実を図ります。
進行抑制策としましては、軽度認知障害(MCI)の方が、主体的に進行の抑制に取り組むことができるよう、「認知症とともによりよく生きるためのプログラム」の開発を進めます。
令和7年度は、東京都健康長寿医療センター及び九段坂病院の山田院長と三者共同で、臨床美術の要素を盛り込み、認知症の本人視点を重視したプログラムの実証実験を行い、令和9年度からの地域実装を目指します。
次に、高齢者をはじめとする住宅確保要配慮者の方々に対する支援について申し上げます。
高齢者の方が区内で住み替えを希望される場合、ご本人の年齢や身体状況のほか、低廉な家賃の賃貸物件が少ないという本区の地域特性により、住まいを見つけることが困難な状況にあります。
区は、これまでも高齢者の方の住まいに関するご相談に対応するとともに、必要に応じて協力不動産店に物件の紹介を依頼し、住み替えの支援を行ってまいりました。
令和7年度は、専門の相談員による相談体制を整備するとともに、住み替え支援を居住支援法人に委託することにより、高齢者など住宅確保要配慮者の方々の、民間賃貸住宅への円滑な入居に向けた支援を行います。
また、国土交通省の調査によると、家主が高齢者の入居を敬遠する理由として、居室内での死亡事故等に対する不安が約9割を占めています。死亡事故発生時の原状回復費等の家主負担を補償し、家主の不安感を払拭することを通して、単身高齢者等の賃貸住宅への入居を推進してまいります。
次に障害者施策についてですが、区は、障害等のある方や要介護高齢者などの増加を見据え、旧千代田保健所敷地において、障害者向け日中サービス支援型協働生活援助や認知症高齢者グループホームなどを主な機能とする「(仮称)神田錦町三丁目施設」の整備を進めてきました。
令和7年度は、令和8年度の施設開設に向けて、既存施設の解体工事及び新施設の設計を行うとともに、建設工事に着手します。
次に、持続的に発展するまちづくりのための取組みについて申し上げます。
令和7年度予算における取組みは、「都心の多様性を活かした地域コミュニティの活性化」、「安全安心なまちづくり」、「2050ゼロ・ウェイストちよだ・2050ゼロカーボンちよだの実現」、「緑と水辺のネットワークの豊かな環境を継承」の4つの視点から進めてまいります。
まず都心の多様性を活かした地域コミュニティの活性化の取組みについてです。
町会や連合町会は、区民の身近な暮らしに関わる活動や災害時の助け合いなど、良好な地域社会の維持・形成に重要な役割を担う地域コミュニティの中核です。
しかし、地域活動の参加率や町会加入率の低下、町会活動への負担感に伴う担い手不足や役員の高齢化などが課題となっています。
こうした状況を踏まえ、令和7年度は、町会関係者への聞き取りを行うなど、現状の課題を整理し、近隣・先進自治体の事例を調査します。
調査・分析結果をもとに、地域の特性や特徴に合わせた支援プログラムを作成し、各町会のニーズに応じたサポートを提供するほか、地域コミュニティ醸成と祭礼文化の継承に関する調査研究に取り組みます。
次に安全安心なまちづくりについての取組みです。
はじめに道路陥没事故対策についてです。
埼玉県において道路の陥没や水道管の破裂事故があり、早くから都市化が進んだ千代田区においては、都市インフラの維持管理は大きな課題です。こうした事故を防ぐには予防保全の積み重ねが極めて重要です。
まず区内の下水道については、現在、東京都下水道局が緊急点検を行っております。今後、点検結果の共有など緊密な連携を図り、補修などが必要な場合には区としても直ちに対応してまいります。
また区内の他のインフラにつきましては、道路はレーダーによる路面下の空洞調査を定期的に実施し、橋梁は長寿命化修繕計画に基づく定期点検をしており、異常が確認された場合には直ちに補修を行っております。
今後は、事故の詳細な原因究明などの結果を踏まえ、ドローンやAIなど新たな技術の活用も検討しながら適切に維持管理し、区民生活の安全を守ってまいります。
次に、高経年分譲マンションの耐震化促進についてです。
首都直下地震が想定される中、区民の9割はマンション等の共同住宅に暮らしていますが、このうち分譲マンションの4割は築40年以上となっています。建物の老朽化が進む中、耐震改修や大規模修繕の計画策定・積立金の状況に課題があるという状況です。
安心して快適に住み続けることができる住環境整備のためにも、耐震化の促進・適正管理の実施に向けた取組みを進め、分譲マンションを長寿命化していくことが必要です。
そこで千代田区は、現状の分譲マンションの耐震化促進助成の助成率・助成上限額を引き上げます。
耐震補強工事の具体的な事例や管理組合内での合意形成過程などの情報を区と共有する案件をモデル事業としまして、今後の区の施策を検討し、耐震化を躊躇う他のマンションへの支援につなげていきたいと考えています。
次に、ねずみ対策についてです。
近年、区では、ねずみの被害に関して、相談件数が大幅に増加しており、対策を包括的かつ継続的に行う必要があります。
令和5年度から、区内全域で生息調査し、相談や苦情が多い地区を重点的に対策してきました。ネズミの発生を抑えるためには、餌場や巣を無くす取組みが重要で、そのためには、ごみを放置しないことが大前提となりますが、ごみ出しルールが徹底されていない状況が分かってきました。
そこで千代田区は、マンションの廃棄物集積所の修繕費用や、蓋付ごみストッカーの設置費用の一部を補助することで、ねずみ対策を強化します。さらに、ごみ出しルールの徹底に向けて条例化に向けた検討も行ってまいります。
ごみの排出そのものも循環型社会に向けて大きな課題です。
オフィスビルが多い千代田区の地域特性から、事業系ごみが全体の8割近くを占め、その内、飲食店やホテルの調理中に出るくずや食べ残しなどの厨芥(ちゅうかい)ごみが約3割を占めます。そこで、区内の飲食店やホテル等の事業者が事業系生ごみ処理機を設置する際の費用を新たに補助します。
こうした取組みを通じ、2050年までに無駄や浪費をなくし、ごみを極力出さない、ごみ焼却量や最終処分量を限りなくゼロに近づける「2050ゼロ・ウェイストちよだ」の実現を目指してまいります。
また、ソフト面においても、持続的な消費行動を促進するため、食品ロス削減全国大会を開催します。
次に2050ゼロカーボンちよだの実現に向けての取組みについてです。
冬においても温暖化の影響が身の回りで顕著に現れ始めています。脱炭素の取組みを加速させていく必要があります。
令和7年度は、これまでの家庭や事業所への再エネ電気への切り替え促進など点での対策の一層の強化に加え、再開発事業と連携し、地区内での面的な脱炭素対策を推進していきます。
AIなどの先端技術をはじめ、次世代型の太陽電池や省エネ機器等を活用することで、地区内のCO2実質ゼロを目指してまいります。
次に、緑と水辺のネットワークの豊かな環境の継承についてです。
区の調査によると、区立公園や水辺の環境に対し、それぞれ4割の方が「不満がある」、「満足していない」と回答されています。
特に外濠は流入水が少なく、水が滞留しやすい閉鎖的な水域となっていることに加え、雨天時に下水が外濠へ越流することにより、夏季にはアオコが発生し、景観の悪化や悪臭の発生が課題となっています。
そこで、外濠の水質改善に向け、令和7年度は、市ヶ谷濠におけるアオコ以外の臭気等の原因を調査し、対策を検討します。
また、外濠に対する区民の理解と関心を深めるため、区内の大学生等を対象に外濠の歴史や水質、生物環境を学び、外濠に関する新たな取組みを検討するワークショップを実施します。
歴史を継承し、未来につなげるまちづくりを進めるため、本区のポテンシャルである緑が持つ多様な機能や水辺の環境を活かし、より一層親しみやすい良質な空間を創出してまいります。
次に、区立公園の整備と活用についてです。
令和6年度は、手持ち花火ができる区立公園や、公園でボール遊びが出来るルール作りなどに取り組み、多くの子どもたちや保護者の皆様に喜んでいただきました。また、夏には酷暑対策として公園にフラクタルテントを設置し、今年の1月にはご要望が多かった区営ドッグランの開設など、特定の利用者を対象とした具体的なニーズに応えることも満足度の向上に繋がることから柔軟な公園づくりを進めてきました。
令和7年度はスケートボードパークやボルダリング施設を備えた公園を整備してまいります。
この他にも、持続可能なまちづくりという観点からは、安心して生活できる住宅の供給も重要です。千代田区の住まいを取り巻く状況を踏まえた、住宅施策を展開してまいります。
建設コストの上昇等、昨今の社会状況を踏まえると、老朽化したマンションやオフィスビル、全てを建て替えることは現実的ではありません。サステナブルでエコであるリノベーションを賢く活用することが大切です。
子育て世帯などが区内で安心して生活できるよう民間事業者とも協同し、老朽化したビルやマンションのリノベによりコストを抑え、都のアフォーダブル施策とも連携しながら手頃な価格で住むことができる住宅供給を検討してまいります。
次に、デジタル技術の活用について申し上げます。
区は、令和4年4月、本区のデジタル政策の羅針盤として、DX戦略を策定しました。区民一人ひとりを個と捉えたカスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)を掲げ、これを念頭に置きながら、「プッシュ型のサービス提供と行政手続きのオンライン化」を一体的に推進するポータルサイトを開設するとともに、生成AIの導入によって業務の効率化を図るなど、主に区民の利便性と職員の生産性向上に注力してまいりました。
令和7年度に向けてバージョンアップしたDX戦略では、これまでの「CRM」や「温もり」を継承しつつ、地域が一体となって課題解決に取り組む理念として、新たに「つながる」を掲げました。また、行政手続きの利便性向上や職員の業務効率化の取組みに留まらない、「地域のスマート化」を目指すなど、区民をはじめ地域の英知を結集したDXの取組みをさらに加速してまいります。
具体的な取組みとしましては、今後3年間で、原則すべての行政手続きのオンライン化と、すべての窓口へのキャッシュレス決済の導入を進めてまいります。
さらに、令和7年度は、「地域のスマート化」のカギとなるデジタル地域通貨やデジタルポイントの活用を検討し、地域経済活性化や区民の地域活動への参加促進につなげてまいります。
デジタル分野は、絶え間ない技術革新と、時に非連続的なイノベーションにより、新たな価値が創造されます。
そのため、常に最新の技術動向を注視し、変化を捉え、先入観や固定観念にとらわれずチャレンジしていくことも大切です。
区は、人の持つ創造力や情熱とテクノロジーを掛け合わせることで、区民や地域とともに、より豊かで多様な未来を創造してまいります。
最後に、組織変革の取組みについて申し上げます。
行政サービスを区民一人ひとりに着実に届けるためには、区政の土台となる行政組織の強化が不可欠です。
職員の働き方が多様化する中、一つのチームとして、チームワークや個としての資質の向上を図るとともに、 複雑・高度化する区政課題や様々な区民ニーズに対応可能な組織への変革を推進する必要があります。
職員の意識改革の取組みを実施し、それにより、コミュニケーションの活性化や職員同士が協力しあう文化、信頼関係を重視する組織風土の醸成を進め、区民サービスの向上につなげます。
子育て世帯に対する支援も、高齢者に対する福祉サービスも、行政サービスの受益者となる一人ひとりの対象者を意識して、その方が抱える悩みや不安の解決に資するサービスを、お手元まで確実に届けるラストワンマイルの取組みが必要です。
そうした住民サービスの充実のためにも、千代田区の組織風土の変革に取り組み、区政の土台を支える行政組織の強化に努め、千代田区第4次基本構想が掲げる概ね20年先の将来像である「伝統と未来が調和し、躍進するまち~彩りあふれる、希望の都心~」をめざし、職員一人ひとりがそれぞれに、千代田らしさを意識しつつ、新時代へ果敢に挑戦してまいります。
最後に、今回提案いたしました諸議案について申し上げます。
まず、予算案件といたしまして、
次に、条例関係でありますが、
何とぞ慎重なご審議の上、原案どおりご議決賜りますようお願い申し上げます。
以上をもちまして、令和7年第1回区議会定例会の開会のご挨拶といたします。
ありがとうございました。
令和7年2月26日 千代田区長 樋口 高顕
(注意) 本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他若干の変更があることがあります。
お問い合わせ
政策経営部総務課総務係
〒102-8688 東京都千代田区九段南1-2-1
電話番号:03-5211-4134
ファクス:03-3239-8605
メールアドレス:soumu@city.chiyoda.lg.jp
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください