更新日:2026年9月17日
ここから本文です。
令和8年第3回区議会定例会の開会に当たり、私の区政運営における所信を申し上げます。
はじめに、令和8年熊本地震をはじめ、全国各地で地震や集中豪雨等の自然災害が相次ぎ、多くの尊い命が失われました。犠牲となられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災されたすべての皆様に心からお見舞い申し上げます。
まず、災害対策について申し上げます。
本年は、大規模地震や集中豪雨、さらに、将来発生が懸念される富士山噴火への備え等、改めて災害対策の重要性を強く認識する年となっております。区民の安全・安心を最優先に、平時からの備えと発災時の対応力強化に取り組んでおります。
まず、令和8年熊本地震について、本区では、発災直後から被災地支援に取り組み、区議会とともに見舞金100万円を熊本県に贈呈するとともに、熊本市に罹災証明書発行や住家被害認定調査を支援するため職員2名を派遣、さらに、宇城市へ清掃職員6名と大型プレス車1台を派遣し、災害廃棄物の収集・運搬支援を行いました。
また、宇城市及び氷川町に対し、ふるさと納税制度を活用した災害支援の代理寄附を受け付け、寄附金を被災地へ届けてまいります。
本区といたしましても、被災自治体に寄り添いながら、被災者の生活再建と地域復興に向けた支援を着実に進め、今後も継続的かつ実効性のある取組みを行ってまいります。
次に、近年頻発している集中豪雨への対応について申し上げます。
この夏も全国各地で線状降水帯が発生し、レベル5の大雨特別警報が発表される等、相次ぐ大規模な豪雨災害はもはや例外ではなく、今後、毎年発生し得る脅威となっております。
本区は、昼間人口約90万人を抱え、都市機能が高度に集積していることから、短時間の豪雨であっても区民をはじめ在勤者や来街者の安全確保が重要となります。
こうした中、8月22日に発生した大雨では、神田川において氾濫危険警報が発表されたことから、直ちに職員が参集し、河川・道路の緊急点検を実施しました。このため、区内でもJR秋葉原駅北側のアンダーパスや有楽町駅前等で道路冠水が発生したものの、幸いにも大きな被害には至りませんでした。
また、9月7日に警報級の大雨が予想されたことを踏まえ、区では前日の6日に危機管理対策会議を開催し、区立学校園の臨時休業、九段中等教育学校後期課程におけるオンライン授業の実施、学童クラブの開設等の対応方針を決定いたしました。区民への迅速な情報提供に努めるとともに、児童・生徒をはじめ区民の安全確保を最優先として対応いたしました。
あわせて、災害による被害を最小限に抑えるためには、区民一人ひとりが気象情報や避難情報に関心を持ち、早めの避難行動につなげていただくことが何より重要であります。
区といたしましても、区民への周知啓発に加え、国や東京都、東京消防庁、警察署等との連携を一層強化しながら、河川監視、水防資器材の点検・配備、避難情報の発信体制の充実等を図ることで、想定を超える災害にも迅速に対応できる体制づくりを早急に進めてまいります。
次に、富士山噴火への対応について申し上げます。
富士山はいつ噴火してもおかしくない活火山であり、ひとたび大規模噴火が発生した場合には、首都圏を中心に広範囲に降灰被害が生じることが想定されております。
国の広域降灰対策ガイドラインでは、本区でも約3時間後に火山灰が到達し、その後2週間程度にわたり断続的な降灰が続くことが見込まれております。また、最終的には約10センチの降灰が想定されており、交通機関の停止や物流の停滞等、区民生活や経済活動への深刻な影響が懸念されております。
一方で、噴火には一定の予兆が想定されており、計画的な備えを進めることができます。
そのため、9月5日号広報千代田では、降灰の影響等について専門家のご意見とともに分かりやすくお知らせし、備蓄の必要性や予兆時及び降灰時に取るべき行動等、自助の取組みについても周知を行いました。
現在、本区では地域防災計画火山対策編の改定作業を進めております。本改定作業では、降灰発生時の対応や除灰対策等について検討するとともに、噴火の予兆段階から降灰収束後に至るまで、区のみならず関係機関、区民、事業者、来街者等が取るべき行動を時系列で示したタイムラインを新たに作成し、全国的にも先進的な対応体制を確立してまいります。
また、国や東京都、関係機関との広域連携を一層強化し、首都機能を支える自治体として、降灰災害に対する実効性の高い備えの構築を着実に進めてまいります。
災害の様相は年々多様化・激甚化しておりますが、区といたしましては、あらゆる災害を想定した備えを不断に進め、誰もが安全で安心して暮らせるまちの実現に全力で取り組んでまいります。
次に、中高生の居場所づくりについて申し上げます。
近年、共働き世帯の増加や地域とのつながりの希薄化等、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化しております。また、本区においては集合住宅の居住割合が高く、自宅において必ずしも十分な居場所を確保できない中高生も少なくなく、学校や家庭以外にも安心して過ごし、自分らしく活動できる「第三の居場所」の重要性がより一層高まっております。
こうした中、昨年度と今年度の2回にわたって開催した「ちよだキース・フォーラム」において、「学校や家庭以外で自由に立ち寄ることができる居場所が欲しい」との声が数多く寄せられるとともに、居場所に置いてほしいものや、やってみたいことについて、活発な意見交換が行われました。
これらを踏まえ、旧九段中学校を活用した「中高生の居場所」プレ施設について、本年12月1日の開設に向けて準備を進めております。開設後は、利用状況やニーズの把握、運営体制等の検証を行いながら、中高生にとってより魅力的で利用しやすい居場所の実現につなげてまいります。
次に、切れ目のない高齢者支援について申し上げます。
我が国は人口構造の転換期を迎え、高齢化は今後さらに進行することが見込まれております。本区においても、65歳以上の高齢者は既に全人口の約17%を占めており、2040年には約20%に達すると見込まれる等、高齢者施策の重要性は一層高まっております。
本区ではこれまで、安心できる高齢者の暮らしを支えるため、区の高齢者支援の関係部署に加えて、コミュニティ・ソーシャル・ワーカー(CSW)を擁する社会福祉協議会や高齢者あんしんセンター等が相互に連携した相談対応や介護・認知症の予防、フレイル対策につながる多様な活動の実施、自分の意思や希望を伝えることが難しい方の権利を守るための支援等、様々な観点から幅広い取組みを進めてまいりました。
一方で、単身世帯の増加や家族形態の変化により、従来の取組みや地域の支え合いだけでは対応が難しい課題が顕在化しております。介護や医療のニーズはもとより、孤立の防止、見守り、権利擁護、住まいの確保、そして人生の最終段階を見据えた終活への支援等の多岐にわたる課題への対応の強化が求められております。
こうした問題意識のもと、高齢者が必要なときに必要な支援へ確実につながる仕組みの構築や、一人の高齢者を中心に関係機関が連携し、継続的に関わる伴走型支援の一層の充実、地域福祉を支える関係機関・地域団体との連携強化に取り組んでまいります。
私たちは、高齢化を決して負担とみなすのではなく、人生100年時代において誰もがいきいきと暮らし活躍できる社会づくりへの挑戦と捉えて、高齢者が地域の担い手として活躍し、誰もが支え合う共生社会の実現を目指してまいります。
本区は、今後さらに進展する高齢化を見据えながら、「支援が必要になってから支える福祉」だけではなく、「元気なうちから支え、安心して歳を重ねられるまち」の実現に向け、デジタル技術も活用しながら、切れ目のない支援体制の充実に取り組んでまいります。
スポーツセンターは、開設以来50年以上にわたり、本区のスポーツ振興の中核施設として多くの区民に利用されてまいりました。一方で、施設や設備の老朽化が進んでおり、バリアフリー化や防災機能の充実等、各種機能の更新が求められております。
こうした状況を踏まえ、区では新たなスポーツセンターの整備に向けた検討を進めており、施設機能や規模、整備の考え方等を示した基本計画を取りまとめたところです。また、建設地については、現地での建替えを計画しており、隣接する東京都千代田合同庁舎との合同整備の可能性についても検討を進めております。
新たなスポーツセンターでは、「気軽にスポーツを楽しみ、生涯を通じて心と体とコミュニティを育むことができる、スポーツのシンボルとなる中核施設」を基本コンセプトに掲げております。子どもから高齢者まで、障害の有無にかかわらず、誰もが気軽に利用できる施設を目指すとともに、公式大会の開催、防災機能の強化、環境性能の向上やデジタル技術の導入等、将来を見据えた施設として整備を進めてまいります。
また、スポーツセンターは、多くの競技団体や区民の活動を支える重要な拠点であります。そのため、整備期間中においてもスポーツ活動の機会を可能な限り維持できるよう、主競技場機能の維持をはじめとする代替機能の確保について検討を進めてまいります。
なかでも主競技場は、区民のスポーツ大会や多くの競技団体の活動を支える重要な施設でもあることから、小川広場を候補地の一つとして、その活用の可能性について必要な検討を進めてまいります。
また、その他の機能についても、区立学校や区内大学、区内民間スポーツ施設、近隣自治体等との連携を含め、様々な選択肢について幅広く検討し、可能な限り区民のスポーツ環境を維持できるよう取り組んでまいります。
引き続き、区民や関係団体の皆様のご意見を丁寧に伺いながら、本区のスポーツ振興を支える中核施設として、将来にわたり親しまれるスポーツセンターの実現に向け、着実に整備を進めてまいります。
次に、業務改革とAI活用について申し上げます。
社会は目まぐるしいスピードで変化しており、経済動向やAIの進展等を踏まえると、私たちは既に新たな時代を迎えていると言っても過言ではありません。
本区が区制80周年という節目を迎える今、先人たちが築き上げてきた歴史と伝統を大切に継承しながらも、これまでの常識や時間感覚を新たな時代に合わせていくことが重要です。課題の本質を見極め、変化を恐れず、必要な施策に迅速かつ果敢に挑戦していかなければなりません。
一方で、人口減少社会の進行や人材確保を取り巻く状況を踏まえますと、多様化・複雑化する行政需要に従来と同じ手法で対応することは、マンパワーの面で困難な状況にあります。
そのため、区政のあらゆる分野において、業務の効率化・高度化を図り、区民サービスをより一層向上させるため、業務改革を力強く推進していかなければなりません。その実現に向けて、AIやデジタル技術を積極的に活用し、業務のあり方そのものを見直していくことが重要であります。
また、職員一人ひとりが主体的に能力を発揮しながら、やりがいや成長、チームの一体感を実感できる組織を実現していくという観点からも、こうした改革を一層推進していく必要があります。
職員が真に力を発揮すべき業務や領域に注力し、地域課題の解決や新たな価値の創出に果敢に挑戦していくことが、区民へのより質の高いサービスの提供につながるものと確信しております。
パーパス「挑戦-千代田らしさを、わたしらしく-」のもと、意識改革、業務改革、職場環境の改善等を一体的に推進することで、区民にとっても、職員にとっても、千代田でよかったと思える組織となるよう取り組んでまいります。
次に、予算・決算について申し上げます。
はじめに、令和7年度決算についてです。
令和7年度予算は、長期化する物価高騰や治安への不安等、区民生活を取り巻く環境が変化する中、子ども・子育て支援施策、高齢者施策、持続的に発展するまちづくり及びデジタル技術の活用を重点テーマに掲げるとともに、行政サービスを必要とする方々の状況を的確に把握し、必要な支援を確実に届けることを意識して、各種施策を推進してまいりました。
また、物価高騰による家計負担の増加に対応するため、区民の暮らしを支援するギフトカードの配付に要する経費について補正予算を編成する等、区民生活を支える各種施策にも取り組んでまいりました。
これらの取組みを実施しました令和7年度決算につきまして、特徴的な内容をご説明いたします。
まず、歳入についてです。特別区民税や地方消費税交付金をはじめとする一般財源を堅実に確保することができ、歳入総額は約793億円、前年度比約87億円の増となりました。
次に、歳出についてです。橋梁の整備、自転車通行環境整備等、一部の事業で不用額を計上いたしましたが、全体の執行率は86.4%となり、前年度比で0.8ポイントの改善となりました。
その結果、実質収支額は約46億円の黒字となりました。また、財政の健全化を判断する4つの指標のいずれも適正な数値を維持しており、引き続き健全な財政を維持しております。
今後も、千代田区第4次基本構想とともに策定しました「今後の行財政運営の考え方について」に基づき、持続可能で健全な行財政運営に取り組んでまいります。
次に、令和9年度予算編成についてです。
我が国の景気は緩やかに回復し、特別区民税は堅調に推移しているものの、物価・人件費の上昇や将来の投資的経費の増大等により、財政運営を取り巻く環境は決して楽観視できません。
また、人口減少や少子高齢化の進行に加え、首都直下地震への備え、気候変動に伴う自然災害の激甚化、体感治安や衛生環境への不安、偽・誤情報への対応等、区政には区民の安全・安心をはじめとする様々な課題が山積しております。こうした課題に的確に対応し、子ども、高齢者、障害者をはじめ、すべての区民が安心して住み続けることのできる地域社会を実現していく必要があります。
さらに、江戸由来の祭礼文化や神保町の文字・活字文化をはじめとする本区の多彩な文化・地域資源を活かすとともに、地域特性を踏まえた産業振興等による持続可能なまちづくりを進め、地域のにぎわいと活力を高めていかなければなりません。
加えて、変化の激しい時代にあっても、区民一人ひとりの暮らしに寄り添い、区民の期待に応える施策を着実に推進することで、誰もが安心して暮らし続けることのできる地域社会の実現を目指していかなければなりません。
こうした認識のもと、令和9年度予算は、「千代田でよかった、そう思える毎日をつくる予算」をテーマに掲げ、編成に取り組んでまいります。
次に、令和8年度補正予算についてです。
地球温暖化対策の推進に向けて実施しております省エネルギー改修等助成につきましては、住宅や事業所ビルにおける省エネ機器導入への関心の高まりを背景に、多くの区民・事業者に活用いただいております。こうしたニーズに的確に対応し、CO2排出量の削減に向けた取組みを着実に推進するため、助成に必要な経費を追加計上いたします。
また、区内における居住機会の確保に向けて実施するアフォーダブル住宅供給モデル事業につきまして、市場調査の結果、改修工事が令和9年度にわたることが見込まれることから、事業の円滑な実施に必要な債務負担行為を追加いたします。
最後に、今回提案いたしました諸議案について申し上げます。
予算案件といたしまして、令和8年度一般会計補正予算第3号の1件、決算案件といたしまして、令和7年度各会計歳入歳出決算の認定についての1件、条例案件といたしまして、条例の一部を改正するもの3件、契約案件といたしまして、旧区立外神田住宅解体工事請負契約について、四番町図書館什器等の購入について及び塵芥車(小型プレス車)の購入についての3件、指定管理者の指定及び一部変更についての3件であります。
また、諮問案件といたしまして、地方自治法第206条の規定に基づく審査請求に関する諮問についての1件、報告案件といたしまして、令和7年度千代田区健全化判断比率について、西神田コスモス館外壁・屋上防水等改修工事請負契約の一部を専決処分により変更した件についての2件であります。
何とぞご審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
以上をもちまして、令和8年第3回区議会定例会の開会の挨拶といたします。
ありがとうございました。
令和8年9月17日 千代田区長 樋口 高顕
(注意) 本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他若干の変更があることがあります。
お問い合わせ
政策経営部総務課総務係
〒102-8688 東京都千代田区九段南1-2-1
電話番号:03-5211-4134
ファクス:03-3239-8605
メールアドレス:soumu@city.chiyoda.lg.jp
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください